インタビュー
WRC
TOTALが明かす、WECとWRCの燃料&オイル”裏事情”。2030年の市販ガソリンも開発中?
motorsport.comは、トタルのコンペティションディレクターであるロマン・オブリーにインタビューを行なった。

Guillaume Navarro
編集: 2019/12/09 3:29
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フランスの石油会社であるトタルは、FIA世界耐久選手権(WEC)のオフィシャル燃料サプライヤーであり、世界ラリー選手権(WRC)でもシトロエンに燃料・潤滑油を供給してきた。motorsport.comは、トタルのコンペティションディレクターであるロマン・オブリーにインタビューを行ない、燃料やオイルの重要性について訊いた。
ーー耐久用に製造された燃料とラリー用に製造された燃料の基本的な違いは?
成分を決める上で重要なのは、ラリーでは誰もが同じエンジン技術を使っているということだ。全て1.6リッターのターボエンジンを使用している。これは成分を決める上では大いに役立つ。
また燃料消費に関して特別な制約がない。彼らは満タンで走ることも滅多にない。燃料消費に関してマージンをとることができ、主にパフォーマンスに焦点を当てることができる。
一方、耐久レースでは様々なモーター(エンジン)が使われている。したがって、アプローチが全く異なる。たとえみんなが同じ燃料を使っていたとしても、燃費を向上させることができればチームの利益になる。燃費の影響が全く違うんだ。
さらにWECでは、走る実験室という概念がより強い。我々は、将来のための燃料開発をすることができる。15〜20年後の皆さんのための燃料となるような製品を導入する。WECのシーズンやル・マン24時間レースでテストされた燃料は、2030年代にガソリンスタンドで提供されるようなモノなんだ。
ーーそうした研究開発は、社会的および技術的進化といった観点から、ハイブリッドや電気、水素といった自動車とどのように関連するのか? 今、サーキットで燃料開発を行なうことが、10〜15年後に向けて本当に重要なのか?
ああ、もちろんだ。現在、車両の電化が進んでいるとしても、2030年または2040年はまだ燃料が利用可能なんだ。一部、水素(燃料電池)自動車に切り替えている人たちもいるだろう。もちろん、2030年にはエネルギー供給が今とは異なっているだろうが、ガソリンを満タンにする必要がある人はいるんだ。
2019年と2020年のWEC燃料に関して現在行なっている作業は、2030〜2035年のネットワークに向けて作業をしている我々のチームにとっても有用だ。
ーーWECに参戦することは、製品開発の点でどのような意味があるのか? どのように燃費を節約する燃料を作るのか?
最初の手段は、使う分子の選択だ。各分子はその化学的性質に関係なく、エネルギーを持っている。一滴の燃料(またはひとつの分子)には、いわゆるPCI(発熱量)が決まっている。これは燃焼するときに放出されるエネルギー量だ。
燃焼した時に1kgあたり約30MJのエネルギーを放出する分子と、40MJ放出する分子があるとすれば、より高い発熱量を持つ分子を選択する必要がある。
エンジンは基本的に、化学エネルギーを液体燃料の形で導入するということを忘れてはいけない。液体燃料は燃焼して熱エネルギーを生む。放出するエネルギーが多いほど、ピストンを強く押し、運動エネルギーへと変わり、車輪に伝達される。
ーーWECおよびWRCで、潤滑剤の開発でパフォーマンス向上ができるか? 最適化できる分野は?
WECでは、潤滑剤は2チームのパートナーであるため、パドック全体に影響を与えることはない。しかし、潤滑剤の粘度や添加剤を工夫することで摩擦を減らし、マシンの燃費やパフォーマンスに影響を与えることができる。これらは、量産車に転用できる技術でもある。
今や潤滑油は燃費開発競争に重要で、全てのサプライヤーが燃費を改善するために開発に取り組んできている。
ーーエンジンの効率は24時間レースの開始前と後で同じか?
24時間レースの後は、普通そうではない。ル・マンの後、エンジンはとても消耗している。使い尽くされてしまっているんだ!
一部の可動部品は変更する必要がある。しかしそれでも、チームは引き続きそのエンジンを使用できる。
ーーではラリーはどうか? フルチャージが繰り返され、マシンが非常に暴力的な動きをする。液体の循環には厳しい環境だ。
ラリーのエンジン寿命は短くなる。35メートルのジャンプを見るのは楽しいが、エンジンにとっては理想的じゃないね!
ーー気象状況、そして標高などによって、使われる潤滑油の量は異なるのか?
ラリーごとに異なる潤滑油を使っているわけではない。新しい潤滑油を検証するには時間がかかりすぎるし、必ずしもそれは意味をなさないだろう。
しかし再発のリスクとカロリーを排出する必要性に応じて、ケーシング内に同じ量が存在するわけではない。例えば暑いコンディションのラリーでは、少し涼しいコンディションのラリーと比較して、カロリーを排出するために多くの潤滑油を通すようにする。オイル漏れの危険性がある場合には、ポンプが絶えず空気ではなく潤滑油を送ることができるように、ケーシングに多めに潤滑油を入れる。そうしなければ、この熱量によっては破壊的な結果になってしまうんだ。
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