トヨタWRC、勝田貴元昇格の理由を語る「彼は準備ができている」。4台目持て余す一部ラリーではカスタマー向けにレンタルも？

　先日、2023年の世界ラリー選手権（WRC）におけるドライバーラインアップを発表したTOYOTA GAZOO Racing WRT。その中で、勝田貴元がセバスチャン・オジェと3台目のGRヤリス Raly1をシェアして参戦することが明らかにされた。

　勝田は今季、TOYOTA GAZOO Racing WRT Next Generationのドライバーとして自己最高のランキング5位でシーズンを終え、来季はトップチームからマニュファクチャラーズタイトル獲得に貢献する立場でWRCを戦うことになるが、オジェが参戦するラリーでは、チーム外からの参戦という形で4台目のGRヤリスを走らせる。言い換えれば、勝田がトップチームから走るラリーでは、トヨタが4台目を持て余すということになる。

　ただチーム代表のヤリ-マティ・ラトバラによると、トヨタはカスタマー向けプログラムの拡大に意欲的であり、4台目のマシンを貸し出すことも検討中。既にいくつかの依頼を受けているようだ。

　体制発表後、ラトバラはメディアに対して次のように語った。

「今シーズンに向けてあのラインアップで戦うということは確かだ」

「ただもちろん、4台目のマシンが使えるイベントにおいて、レンタルの選択肢を検討するということも考えている。

「それは純粋なレンタルの話であり、それ以上のものはない。もし誰かがレンタルに興味があれば、その選択肢も検討しようと思っている」

「現時点ではそれが実現するかどうかは分からない。でもそれに興味を持っているドライバーがいるかどうか、データを収集しているところだ」

　ラトバラはさらにこう続ける。

「我々はカスタマープログラムを一歩一歩構築したいと考えている。将来的には何台かを走らせ、ビジネスの面も考えていきたいからだ」

「それ（GRヤリス Raly1）を経験してもらうのは良い機会だと思う。これまで1回のイベントしかやってこなかったが、今はドライバー次第ではもっと多くのイベントで走らせることができる」

「4台目のマシンをレンタルするという選択肢は、100％ビジネスを考えてのことだ。ポイントを獲得することが目的ではない。既にいくつかのリクエストが来ているが、現時点ではまだ何も決まっていない」

　今季オジェとシートをシェアしていたエサペッカ・ラッピがヒョンデに移籍することで、それに伴って空くシートを狙っていたドライバーが何人かいたようだ。しかし今季勝田が見せた安定感は、オジェと共にシーズンを戦う資格があることを証明したとラトバラは言う。

「確かに、オット（タナク）がヒョンデを去り、エサペッカがヒョンデに行くという噂が出た時、そのポストに関して電話やメールで問い合わせを受けた」

「シートが欲しいドライバーたちは、我々のシートに空きが出るということで連絡してきたんだ」

「我々はタカにステップアップの準備ができていると思っていたので、新たにドライバーと契約することなく、このような形をとろうと決めた。これには満足しているし、非常に自信がある」

　なおオジェは来年1月のWRC開幕戦、伝統のラリー・モンテカルロに参戦する見込みで、勝田は2月のラリー・スウェーデンにてトップチームデビューを果たすものとみられる。