トヨタWRC、新規則対応の2022年ハイブリッドマシン開発と並行して今季の開発も継続

TOYOTA GAZOO Racing WRTのチーム代表を務めるヤリ-マティ・ラトバラは、今季のマシン開発を完全にストップし、2022年のマシン開発に焦点を切り替えることはないと語った。

Toyota Yaris 2022 car

 世界ラリー選手権(WRC)は来季、ハイブリッドシステムの搭載を含む新たなレギュレーションに移行するため、2017年から導入されている現行レギュレーションのWRCカーが使われるのは今季までとなっている。

 レギュレーション変更を控え、トヨタやヒュンダイ、M-スポーツは来季に向けたマシンの設計・製造・開発と並行して今シーズンを戦っている形となる。

 ヒュンダイが随所で速さを見せながらも、トヨタは今季これまでの6戦で5勝を記録しており、ドライバーズ選手権とコンストラクターズ選手権の両方でリードしている。

 TOYOTA GAZOO Racing WRTのチーム代表を務めるヤリ-マティ・ラトバラは、トヨタが大きなリードを築いているにも関わらず、今季のマシン開発を完全にストップし、ハイブリッドの新型GRヤリスWRC開発に全力を注ぐことは出来ないと感じているという。

「過去には、新しいマシンが登場するからと現行マシンの開発を中止したところ、突然他のメーカーが競争力を増してきたという状況に陥ったことがある。僕たちは本当に苦労した」

 そうラトバラはmotorsport.comに語った。

「現行マシンの開発を完全に止めることはできない。年末までは開発を続けなければならないが、ポルトガルで行なわれたエンジンアップデートのように、大きなモノはもうない。間違いなくエンジンの変更はもうない」

「トランスミッションについては、すべてのパーツがホモロゲーションを受けている。これ以上のパーツはホモロゲーションできない。あとは、サスペンションや車重など、年末までに改善できることを少しずつやっていきたいと思っている」

 トヨタは5月に新型GRヤリスWRCの画像を公開しており、今月中にも同車のテストおよび開発作業を行なう予定となっている。

 チームが公開した画像を見る限り、新型マシンはアグレッシブなエアロパッケージを採用している。マシンの側面には、ハイブリッドシステムのバッテリーを冷却するための巨大な通気口が設けられている。

「印象的なデザインだと言わざるを得ない。マシンの側面にトンネルが出ていることで、とてもアグレッシブな見た目になっていると思うが、その目的はハイブリッドユニットのバッテリーを冷却することだ」とラトバラは付け加えた。

「我々はクルマにバッテリーを搭載し、そこからフィードバックを得て、バッテリーを使ってドライブをしている」

「願わくば、7月末には2022年型マシン全体のテストができるようにしたい」

Puma Rally1 WRC Prototype

Puma Rally1 WRC Prototype

Photo by: M-Sport

 M-スポーツは先日のグッドウッド・フェスティバル・オブ・スピードで新型マシンを発表。2022年マシンを正式に発表した最初のチームとなった。

 ヒュンダイも先日、新型i20の画像を公開したが、ヒュンダイ・モータースポーツのチーム代表であるアンドレア・アダモは、今週末のラリー・エストニアでいくつかの開発パーツを投入する予定だと明かした。

「我々が定義する開発の意味で言えば、現行マシンの開発を止めることはない」と、アダモはmotorsport.comのインタビューに答えた。

「確かにホモロゲーションに関しては終了している。我々は新しいパーツのホモロゲーションを7月1日に取得し、それをエストニアで使い始める」

「我々にはふたつのチームがある。ひとつは現行マシンを担当するチームで、もうひとつは来年のことに集中している。お互いに干渉することはないんだ」

Read Also:

Be part of Motorsport community

Join the conversation
前の記事 11年ぶりラリー・ジャパン、開催に向け“ラリー・ガイド1”を公開。11月11日に名古屋市内でセレモニアルスタート
次の記事 WRCエストニア:カッレ・ロバンペラが最年少優勝果たす。タイトル争いはオジェが変わらずリード

Top Comments

最新ニュース

Sign up for free

  • Get quick access to your favorite articles

  • Manage alerts on breaking news and favorite drivers

  • Make your voice heard with article commenting.

エディション

日本 日本