WRC日本、招致準備委員会に訊く。キャンディデイトは必要なし!?

2019年のWRC日本開催に向け動き始めた招致準備委員会。現在の準備状況や今後のスケジュールについて訊いた。

 2019年のWRC(世界ラリー選手権)日本ラウンド開催に向けた招致準備委員会が設立されたことが、幕張メッセで行われていた東京オートサロンの際に発表された。

 この招致準備委員会とは、一体どういう組織なのか? そして今後はどのようなスケジュールで招致活動が進められていくのか? 招致準備委員会の発起人である株式会社サンズの高橋浩司氏に話を訊いた。

「この組織の名称は、WRCの招致準備委員会です。招致の活動が実って、申請が受理された場合には、実行委員会という形に変化していき、それが国内プロモーターの立ち位置になります」

 そう高橋氏は語る。ただ、現在この招致準備委員会のメンバーとして名が挙がっているのは、サンズ一社のみ。これについて高橋氏は、次のように説明する。

「我々は幹事会社ということになりますが、規模的には我々だけではとてもできません。広告代理店とか、イベント会社とか、いくつか手を挙げていただいている会社があります。まだ調整がついていないので発表できませんが」

「とにかく我々が幹事会社となり、国内のプロモーターとなってイベント全体を司ります。そして、イベントの主催者であるTMSC(トヨタ・モータースポーツ・クラブ)は競技を司ることになります」

 実際の業務の分担については、業務が発生してみないと分からないと高橋氏は説明する。

「やってみないと、正直分からない部分もあります。例えば数億円、数十億円という規模の資金を回すのも我々の使命ということになるかもしれませんが、そうなった場合には大手の広告代理店が横について、しっかりと回していかなければいけません。我々が前面に出て業務を進めていきますが、お金の部分や行政との交渉の部分、それらをどう手分けしていくかは、まだこれからの話です」

「招致のアイデアについては、我々が関わるずっと前から進んでいました。開催の申請については、我々プロモーターの仕事というより主催者であるTMSCの仕事ですから、そちらで準備が進んでいました。ただ、申請をするにあたっては、運営を実現させるための組織が必要で、資金面も含めたプロモーター的な立場である招致準備委員会が入ることになりました」

 発表によれば、今年の11月にリハーサルイベントが行われるということになっている。通常、WRCを初開催する際には、その前年に”キャンディデイト”と呼ばれる所謂テストイベントを開催しなければならないことになっている。しかし今回のWRC日本開催には、このキャンディデイトの実施は求められていないと高橋氏は語る。

「今年行う予定のリハーサルイベントは、キャンディデイトとは少し違います。キャンディデイトというのは、準国際格式のイベントを実際に行って、それをオーガナイズできるかということを確認するためのモノだと思います。でも、我々に求められていることは、WRCのプロモーターによる視察がメインになると理解しています。つまり、キャンディデイトはやらなくていいということに、今のところはなっています」

「FIAやWRCの判断基準という話になるので、我々にはそこは分かりません。少なくとも我々に求められているのはリハーサルイベント。キャンディデイトではありません」

 キャンディデイトを行わなくていいということは、それだけ開催に向けたハードルは低いように感じられる。しかし高橋氏は、実際の準備は「大変ですよ」と語る。とはいえその中にも、明るい見通しがあるようだ。

「TMSCや新城ラリーをやってくださっている地方の皆さんが、あの地域(発表によれば”愛知・岐阜の両県を含む中部地域”でWRCを開催することが目指されている)でのラリーの実績を作ってくださっています。そのため、行政機関の理解度も高いです」

 そう高橋氏は説明する。

「今回、開催地となる県までは発表できたので、あとは市町村などへの説明を、ひとつずつ丁寧に進めていかなければいけません。公道を使って行う競技ですから、そこがNGになればイベントが成り立たなくなる。ある意味では、お金以上に大事なところです」

「市町村と話ができた後には、住民の皆さんに説明したり、警察や消防に話をしたりと、やることはたくさんあります。今年の前半は、それに集中しなければなりません。基本的にはTMSCの仕事ということになりますが、我々準備委員会も一緒になってやっていきます」

 高橋氏が在籍するサンズは、モータースポーツ関連の業務を中心に長く活躍してきた会社だ。しかしその中心はサーキットレースであり、ラリーとの繋がりはそれほど強くない。そんな立場にもかかわらず今回の役割を買って出た理由について尋ねると、高橋氏は次のように説明した。

「イベントが大規模になればなるほど、リスクがある反面利益も当然あると思っています。我々はモータースポーツを生業としてきた会社ですから、業界を活性化させるための投資という意味合いも当然あります」

「でも、日本のメーカーがWRCに1社も参戦していない状況では、我々も頼まれてもできなかったと思います。しかし今は環境も整ってきましたし、東京オリンピックも控えています。そういう意味では良いタイミングだったと思いますが……これは我が社にとってもチャレンジだと思います」

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この記事について
シリーズ WRC
記事タイプ 速報ニュース