【WRC】ワークス復帰を熱望する、最強の”プライベーター”Mスポーツ
現在ドライバーズ部門とマニファクチャラーズ部門で首位に立つオジェとMスポーツ。その活躍の裏事情をチーム代表に訊いた。

Mスポーツのエースのセバスチャン・オジェは今季2勝を獲得したことで、ドライバーズ部門の首位につけている。また、セカンドドライバーのオット・タナクも初優勝を獲得したことによって、マニュファクチャラーズ部門でも首位で前半戦を折り返した。
まさにイギリスの名門コンストラクターであるMスポーツは、2007年にマニュファクチャラーズ部門を制覇して以来、タイトル奪還に向けて突き進んでいる状況にある。しかし2012年を最後にフォードがワークス活動を終了したことから、Mスポーツはあくまでも有力プライベーターチームに過ぎない。2017年はレギュレーションの一新により、2台のワークスマシン「フィエスタWRC」も新型に切り替わったことで、フィエスタR5に代表されるカスタマービジネスが順調に展開されているとはいえ、台所事情は厳しい状況にあるようだ。
「今もフォードからはベースモデルの技術情報の提供など、テクニカル面でのサポートを受けているが、金銭面を含めてコマーシャルベースのサポートは受けていない」と語るのは、Mスポーツのチーム代表、マルコム・ウィルソンだ。
それゆえにシーズン序盤で起きた様々なトラブルに対しても、その対策に苦心しているようで、「いくつかトラブルを出してトップ争いのチャンスを失ったことは残念に思う。オジェが期待どおりのパフォーマンスを見せてくれているおかげで、ドライバーズ部門とマニュファクチャラーズ部門の両方で首位につけてはいるが、ライバルとは僅差でシーズン後半も厳しい戦いになるだろう」と語る。
オジェはラリー・フィンランドのスタート前に行われた取材に対して「まだ2018年のプランは決まっていない。フォードが復帰するかで判断を決めるだろう」と語っているが、果たしてフォードがワークスチームとしてWRCに復帰する可能性はあるのだろうか?
その質問に対してウイルソンは次のように語っている。
「常にフォードと話し合いをしているが、2018年のワークス復帰は難しいだろう」
とはいえ、Mスポーツが2017年のWRCで二冠を達成すればフォードに対する最高のプレゼンテーションになり、その結果を受けてフォードがワークス復帰に向けて舵を切ればオジェを繋ぎ止める可能性も高くなるだけに、シーズン後半もMスポーツの動向から目が離せない。
取材・文/廣本泉
【関連ニュース】
WRCフィンランド3日目:ラッピ首位堅持。ラトバラはトラブル
この記事について
シリーズ | WRC |
イベント | ラリー・フィンランド |