WRC、ようやく来季の規則が確定? FIAの提案に猛反発、現行規則が2026年まで継続へ

WRCは、数ヵ月に渡って議論が続いてきた今後の技術レギュレーションについて、ようやく結論を出すことができそうだ。

Sébastien Ogier, Vincent Landais, Toyota Gazoo Racing WRT Toyota GR Yaris Rally1

 世界ラリー選手権(WRC)は、6月11日に行なわれる世界モータースポーツ評議会(WMSC)に向けて動いている。そこで、不透明だったいくつかの疑問に答えが出るだろう。

 そこでの議題の中心は、2025年および2026年の技術レギュレーションだろう。現状では、現行のラリー1レギュレーションが2026年末まで維持されるとの見方が強い。

 今年2月、FIAはWRCの将来についての提案を発表したが、それが多くの議論を巻き起こしてきた。

 この提案は、昨年12月に設置されたFIAのワーキンググループが”ラリーの将来の方向性を評価し、推奨する”ために出されたものだった。

 その内容は来年ラリー1車両からハイブリッド・パワーを排除し、エアロの削減、リアウイングの変更、エアリストリクターの小型化によってラリー2車両との性能差を縮めるというものだった。

 また、メーカーにはラリー2車両の性能を向上させるためのオプション・アップグレード・キットを製造し、一部の競技者がラリーの最高峰で戦えるようにするという提案もされている。

 しかしこの案には、現行のラリー1クラスに参戦しているチームと、ラリー2車両メーカーが強く反対。4月にはFIAに対して、現行ルールの維持を求める書簡が提出された。

 各チームの主な不満は、来季に向けてマシンを再設計・テストし、変更を検証する時間が短いということや、5年間のホモロゲーション・サイクル(2022~2026年)にわたって使用することが期待されていた現行マシンにすでに投資が行なわれているという点に集中していた。

 一方でFIAの狙いは、エントリーの増加や現在のラリー1規定のコンセプトをベースにした新しいレギュレーションを導入する予定の2027年へのスムーズな移行を図ることだった。

 次世代マシンはコストを削減するために共通のセーフティセルを使用し、メーカーやチューナーが市販モデルをベースに独自の車体を持つ車両を開発できるようにする予定だ。

 2月以来、関係者やWRC委員会が様々な会合を開き、今後の解決策を探ってきた。WMSCに提出される書類がまとまり、そこで決定が下される予定だ。

Ott Tänak, Martin Järveoja, Hyundai World Rally Team Hyundai i20 N Rally1

Ott Tänak, Martin Järveoja, Hyundai World Rally Team Hyundai i20 N Rally1

Photo by: Vincent Thuillier / Hyundai Motorsport

 FIAは発表される内容については口を閉ざしたままだが、ラリー・サルディニアでの講演でFIAロードスポーツ・ディレクターであるアンドリュー・ウィートリーは、2027年に向けてのスムーズな移行が期待できると語っている。

「この3ヵ月で信じられないほどの量の仕事が行なわれ、おそらく仕事の50%は終わったと思う」とウィートリーはmotorsport.comに語った。

「我々は以前の議論からかなり遠ざかってしまった。しかし、それは長い間、かなり広範な議論が続けられてきたからでもある」

「2027年に向けてスムーズに移行していくことができるだろうし、これまで生み出されてきたコンセプトや前向きなエネルギー、そして懸命な努力は、WRCに強い未来があると皆が信じていることの証しだ」

 ウィートリーの言うスムーズな移行が具体的に何を意味するのかはまだわからないが、WRCを戦うチームはすでに、来年もラリー1規定が継続されることを示唆している。

 4月のクロアチアでは、トヨタのチーム代表であるヤリ-マティ・ラトバラはあまり大きな変化は期待していないと話していたが、5月のサルディニアでは次のように話した。

「メディアでは、今後2年間は現在の車両が残るという話も出ているが、私はそうなると思っている」

「私はそれが正しい道だと信じている。すでに投資は行なわれているし、短期間のために大きな投資をする意味はない」

「2027年のレギュレーションに集中すべきだし、全チームがそれに同意している。そうなることを願っているんだ。私にとっては、ハイブリッドがあってもなくても、全体として大きな違いはない。現行マシンに追加投資はしない。それがみんなにとっても、コストを削減する上でベストなことだ」

 ヒョンデのシリル・アビテブールは、レギュレーションが不確実なせいで、2025年に現行車両に搭載する予定だったアップデートを断念せざるを得なくなったと明かし、FIAの提案を取り入れれば、WRCの基準に達しないマシンが生み出されるだろうと語った。

 結果として、アビテブールは現行ルールの継続に賭け、デザインチームに来季に向けて現行車両の改良に取り組むよう指示を出した。

 アビテブールはmotorsport.comに対し、「チームとデザインオフィスにとって、何よりもまず将来について明確にする必要がある。どのようなクルマでどのようなレギュレーションに取り組むべきかを定義するのは非常に難しいことだからだ」と語った。

「WMSCの結論がどのようなものになるのか、我々は予想し、ある程度の想定をしてきたんだ」

 M-スポーツ・フォードのリチャード・ミルナー代表は来年もレギュレーションが安定することを期待しており、WRCが2027年に向けて新たなブランドを惹きつけるためにも、可能な限りベストな状態にしておくことが重要だと考えている。

「まだ確かな結果は出ていないが、聞くところによると、安定性が鍵であり、我々が望むような2027年に焦点が当てられているようだ」

 ミルナー代表はサルディニアでmotorsport.comにそう語った。

「すべてのメーカーが2027年に向けての道を見出そうとしており、非常に前向きだ。我々は様々なパワートレインやオプションを検討している。どのメーカーが参入しても、言い訳はできないだろう」

「最終的な決定が必要であり、そうすれば前進できる。この数ヵ月は不安定で、大変だったと思う。本当に不要なものだった」

 

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