【WTCC】チルトン「Class One規則を導入すれば、参加台数は減る」と警鐘を鳴らす
WTCCドライバーのトム・チルトンは、Class One規則が導入されれば、参戦台数が大きく減るだろうと考えている。

















DTMとスーパーGTが統一に向け議論を進めているClass One規則。この規則については、WTCCも2019年から導入することを検討中だと言われている。
2012年からWTCCに参戦しているトム・チルトンは、Class One規則が導入されれば、WTCCに自分が関与できる余地はなくなるだろうと語る。
「僕は新しいレギュレーションであるClass Oneについて、少し心配している」
そうチルトンはmotorsport.comに対して語った。
「それにより、高価なカテゴリーになってしまうんじゃないかと思う。そうだろ? より多くのエアロダイナミクス、より多くの風洞での作業、そしてより多くの空想的なカーボンファイバーのパーツが必要になるんだ。多くのパーツが壊れやすくなり、他のクルマと少し接触しただけで、その都度直さなければいけない。それはより多くの予算が必要になるということだろう」
「もしClass One規則が実際に導入されれば、ワークスチームもしくはメーカーから多くのサポートを受けられる契約を結んだ場合を除いて、僕はそこにいることはできないだろう。それは確かだと思う。あまりにも多くのことが、必要になるからなんだ」
「そしてその後、このカテゴリーは死んでしまうかもしれない。インディペンデントのチームがすべていなくなったら、このカテゴリーは僅か10台だけになってしまうんだ」
2016年のインディペンデントチームは、セバスチャン・ローブのシトロエン、ゼングーのホンダ、そしてシボレーを使う数チームだった。彼らの状態はWTCCの主要な議題のひとつとなっていて、そしてチルトンはClass Oneへの切り替えはこの問題を助けることにはならないだろうと考えている。
「Class One規則では、古いシトロエンや古いシボレーを走らせることはできない。グリッド上にいるクルマの台数を維持するためには、別のグリッドを用意する必要があるだろう。これまでのTC1は”Class Two”になり、そして後方でそれらのチームによるレースが行われることになる」
「だけど……僕はふたつ目のクラスのマシンに乗りたいとは思わない。僕は最も良いクラスで走りたい。Class One規則を導入するなら、グリッド上の台数を増やすために、より多くのメーカーが必要になるだろう」
ただでさえWTCCはコスト削減が不可欠
チルトンは現在のTC1規定のマシンが大好きだとしながら、コストの増加によってスポンサーを獲得するのが毎年難しくなっていると主張する。
「WTCCのマシンは、とても印象的だ。でも、印象的だと通常はお金がかかるものだ」
「僕はスポンサーを見つけることで、この仕事を15年間続けることができた。そしてメーカーのサポートを受けて数年を過ごしたけど、それは本当に数年だけのことだった。しかしスポンサーを見つけようと思った時、毎年同じようなことを言っている。『サーキットには多くの観客が来ていて、高い視聴率を取ることができ、そして多くの国のチャンネルで見られている』とね」
「しかしいずれは、『どのくらいツーリングカーのために(予算を)持って来ることができるか?』というポイントに達してしまう。僕らは今は、あまりにもコストが高くなりすぎているという危機に瀕していると思う。スポンサーを見つけやすい僕でさえ、ギリギリのところにいる。僕らは戻るべきではない」
WTCCはコスト削減に向かっていくと思うかと訊かれたチルトンは、次のように答えた。
「僕は、僕らのクルマからカーボンファイバーを排除する必要があると思う。カーボンファイバーは禁止されるべきだ。なぜなら、それはあまりにも高価すぎるから」
「僕は、僕のクルマを毎レース壊すわけじゃない。しかし、請求書は天文学的な数なんだ。それは僕にとってはとても大きな事だ」
「それ以外の点で言えば、エンジンも少し高すぎると思う。しかし、僕らはそれを1年中使う。5基も使うような事はないんだ。なぜなら、基本的には非常に信頼性が高いからね。それはレーシングエンジンほどではなかった。それで、エンジンにかかるコストを4万ドル(400万円)削減する事も出来た。これは明らかに大きな金額だ」
「僕らは世界中で12回のレースを行う。この渡航とその他にかかる費用もとても高い。もしそれを10レースに減らせば、明らかにコストを少しカットできる。これにより、さらに数千ドル削減できるだろう。そして、もし遠くに行くならば、そこで2レースを行えばいいんだ」
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この記事について
シリーズ | WTCC |
ドライバー | Tom Chilton |
執筆者 | Valentin Khorounzhiy |