インディカーでの脊髄損傷の大クラッシュから約4年。ウィケンス、レース復帰後初優勝に「記念すべき一勝だ!」
2018年にインディカーでの大クラッシュにより脊髄を損傷したロバート・ウィケンスは、ハンドドライブのヒョンデ『エラントラN TCR』を駆り、IMSAミシュラン・パイロット・チャレンジでレース復帰後初優勝を遂げた。


ロバート・ウィケンスは、インディカー・シリーズのデビューイヤーとなった2018年8月に行なわれたポコノ戦でのエアボーンクラッシュにより脊髄を損傷。ウィケンスはその年の開幕戦でいきなりポールポジション、第2戦で初表彰台を獲得するなど非凡な才能を見せつけ、有望株として期待された中での選手生命を左右する大事故となった。
しかしウィケンスはレース復帰に向けリハビリに励み、2022年1月に IMSAミシュラン・パイロット・チャレンジからの復帰を宣言した。
そしてワトキンスグレンで行なわれた2時間の決勝レースで、同郷のカナダ人ドライバーであるマーク・ウィルキンスと共にブライアン・ハータ・オートスポートの33号車ヒョンデ『エラントラN』を駆り、ウィケンスはTCRクラスでレース復帰後初優勝を遂げた。
レース勝利で言えば、2017年9月にDTMニュルブルクリンク戦をメルセデスで制して以来のことだった。
ウィケンスは脊髄損傷のため、足の感覚は残っているものの短時間のつかまり立ちが限度。そのためスロットルとブレーキを手で操作する”ハンドドライブ”仕様でレースに挑んでいる。
33号車は4番グリッドから2時間の決勝レースをスタートし、ウィケンスが第1スティントを担当。ウィケンスは黄旗提示中のピットストップでトップに躍り出ると、ウィルキンスにバトンタッチ。ウィルキンスはニュータイヤを活かしてリードを10秒以上に拡大し、一時は総合9番手を走行した。
その後は終盤に黄旗提示が相次いだこともあり、アルファロメオ『ジュリエッタ ヴェローチェ』を駆るティム・ルイスに0.3秒差まで迫られたが、ピットで車いすに乗るウィケンスが見守る中、33号車がトップチェッカーを受けた。

スロットルとブレーキを手で操作する”ハンドドライブ”仕様のヒョンデ『エラントラN』
Photo by: Bryan Herta Autosport
レース後、ウィケンスはNBCにこう語った。
「僕らは今年、(勝利まで)何度もあと一歩のところまで行ったが、自分たちの問題ではないことでそれを奪われてきた」
「ようやく比較的クリーンなレースがやってきた。(チームメイトのパーカー・チェイスのマシン後方にぶつけた)最初のピットストップはちょっと怖い思いをしたけどね」
「でもマシンは素晴らしかったし、この週末、ヒョンデ エラントラ N TCRのセットアップはまさにドンピシャだった」
「アルファロメオは僕らとは違う強みを持っていて、最後の数周はとってもハラハラしたよ。ストレートでかなり速いんだ」
「マークはコントロールラインで0.5秒差だったけど、(バックストレートエンドのインナーループである)”バスストップ”でも順位を守り切る必要があったんだ。彼はとても良い仕事をしてくれた。僕はただ無事に、そしていい状態でマシンを彼に繋ぐことができて良かったと思ってる」
またウィケンスは、ウィルキンスのスティントをNBCのライブオンデマンド配信で見ていたが、実際のレースがファイナルラップに突入するまで、配信の遅延に気が付かなかったと明かしていた。
レース復帰後の勝利が、自身のキャリアの中でどういう意味を持つかと尋ねられたウィケンスはこう答えた。
「記念すべき一勝という感じだね。フィニッシュラインを(ウィルキンスが)通過した時に座った状態だったからか、マシンに乗っていた時のようなアドレナリンは出なかったね」
「正直なところ、この週末はとてもうまくいった。予選では少し問題があったけど、チームがうまく修正してくれて、少なくとも1周は走れるようにしてくれた。最終的には、明らかに僕らのペースは良かった」

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