仮想ル・マンでフェルスタッペンとアロンソ襲ったトラブルを、rFactor開発者が説明
6月13~14日に開催されたバーチャル・ル・マン24時間レースは、シムレースにおける重要なマイルストーンとなったが、いくつか技術的なトラブルにも見舞われた。
写真:: Xynamic
開催延期が決まったル・マン24時間レースに代わり、6月13~14日に開催された『バーチャル・ル・マン24時間レース』。世界中からプロドライバーやシムドライバーが集まり、現実さながらのレースが繰り広げられた。
ル・マン24時間レース主催者のACO(フランス西部自動車クラブ)は、FIAやWEC、Motorsport Gamesと協力し、レーシングシミュレーター『rFactor2』を使用して世界最大のバーチャルレースを開催した。ランド・ノリスやマックス・フェルスタッペン、シャルル・ルクレールといった現役F1ドライバーだけでなく、2度のル・マン王者であるフェルナンド・アロンソなど、耐久レースで実績のあるプロドライバーたちが、シムレーサーと共にレースに臨んだ。
レースはサーバートラブルにより計1時間ほど中断されたものの、それ以外の約23時間は正常に進められた。何台か技術トラブルによるリタイアがあったものの、トラック上のバトルや戦略の駆け引きなど現実さながらの展開となったことから、rFactor2のディベロッパーであるスタジオ397は、今回のレースに満足しているようだ。
「我々はとてもハッピーだ」と、スタジオ397のディレクターであるマルセル・オッフェルマンズはmotorsport.comにそう語った。
「イベント全体を振り返り、関わった人々やレースを見ていた人々からのポジティブなコメントをすべて読んだ結果、それはとてもエキサイティングで素晴らしい放送だったと言える」
現実のレースと同じように、それぞれの参加者にストーリーがあった。チーム・ペンスキーのシモン・パジェノーは、走行中にプレイシートとステアリングの交換を行ない、ソーシャルメディアなどで話題を呼んだ。バイコレスのシムレーサーであるジェスパー・ペダーソンは、ステアリングを左に切るとマシンが右に曲がるという状態のまま2周を走行した。
一方、フェルスタッペンとアロンソは不具合の犠牲になった。チーム・レッドライン20号車のドライバーとして、夜間に首位を走行していたフェルスタッペンだが、回線接続の問題に苦しみクラッシュを喫した。オッフェルマンズは、熱心なシムレーサーのひとりとして、フェルスタッペンのフラストレーションは理解できると話した。
「私としても、物事がうまくいかなかった時に、感情的になることは完全に理解できる。私もおそらく同じことを感じただろう」
「マックスは、コンピューターか接続に問題を抱えていた。彼はフレームレートが低かったんだ。レース前に、我々は彼の新しいコンピューターの最適化を手伝ったが、おそらくまだ何かが正しくなかった。理論的には、システムに別のバグがあった可能性もある。我々は調査する必要がある」
「彼のチームメイトであるアッツァ・ケルクホフには、これまでに見たことのない別の問題が発生していた。それについてはまだ詳しくコメントできない」
「24時間レースは、装備にも厳しいレースだ。マシンではなく、コンピューターやシミュレーターリグ、インターネット接続などに問題が出ることもある。それもレースの一部だ」
レース序盤には、FA/RB ALLINSPORTS 14号車をドライブしたフェルナンド・アロンソがGTEクラスのマシンと接触し、ストップアンドゴーペナルティを受けた。その後アロンソは燃料補給をするつもりでピットインしたものの、このタイミングでペナルティが自動的に消化され、燃料補給ができないままピットアウト。アロンソはガス欠でマシンを止めることになってしまった。
オファーマンズは、この件は”予期せぬ一連の状況”の結果だったと説明したが、そうした事態を避けるためにもっと多くのことができたはずだと認めた。
「我々はそこで小さなミスを犯した」
「ペナルティが発生した場合、ピットストップメニューですぐにそれを消化するか、先に通常のピットストップをするか選択できる。ペナルティを消化するのと同時にルーティーンのピット作業をこなすことはできない」
「レースコントロールがペナルティを出した時、我々はアロンソがピットインしてくる直前にそれを適用した。彼にはピットストップの設定を変更する時間はほとんどなかった。それは我々のミスだった」
「その後は、関係するマシンがフィニッシュラインを通過した時、またはピットストップをした時にペナルティを適用するようにしたので、それに対応するために十分な時間が確保できるようになった」
それでも、オッファーマンズはこのイベントがどう受け取られたかについて満足しており、今後に活かしていきたいと考えている。
「数字に関しては、これは史上最大のシミュレーションレースだったので、間違いなく唯一無二のマイルストーンとなった」と彼は付け加えた。
「我々はこれを後押しに、実際のレースが再開したあとも、シムレースを確かなものにしていきたいと考えている」
「それは、実際のスポーツと同じスキルが求められるeスポーツだ。現実のプロドライバーがシムレーサーのチームメイトに以上に近づいていたのが、その良い例だ。我々は今、イベントを整理し続け、両方の世界の違いを減らし続けていきたいと思っている」
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