F1アメリカ決勝:フェルスタッペン、”攻撃的戦略”でハミルトンとの一騎打ちを制す! 角田裕毅も王者経験者とのバトル制し9位入賞
F1第17戦アメリカGPの決勝が行なわれ、マックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)がレースを制した。アルファタウリ・ホンダの角田裕毅も9位に入った。
写真:: Glenn Dunbar / Motorsport Images
F1第17戦アメリカGPの決勝が行なわれ、マックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)がルイス・ハミルトン(メルセデス)との一騎打ちを制した。
F1はヨーロッパからアメリカ大陸に舞台を移し、アメリカ中南部のテキサス州・オースティンにあるサーキット・オブ・ジ・アメリカズ(COTA)でのアメリカGPを迎えた。
2012年からアメリカGPを開催してきたCOTAは、高低差30mと起伏に富んだ全長5.513kmのコースに高速から低速まで20のコーナーが配置されている。中でも、ターン1手前はドライバーからエイペックスが確認できないほどの急坂であり、このコースの特徴のひとつとも言える。
2年ぶりの開催となったF1アメリカGPには金曜日から多くのファン、そして多くのセレブがサーキットに駆けつけた。来季からはアメリカ2レース目となるマイアミGPがカレンダーに加わることもあり、アメリカ市場でF1に追い風が吹いている。
当初メルセデス優位と思われた中行なわれた土曜日の予選では、フェルスタッペンがポールポジションを獲得。ハミルトンがその隣フロントロウに並んだ。セルジオ・ペレス(レッドブル・ホンダ)はフェルスタッペンを援護する好位置、2列目3番手につけた。
今年はタイトル争いが注目されがちではあるが、マクラーレンとフェラーリによるランキング3位の“ベスト・オブ・ザ・レスト”を賭けた戦いも白熱している。予選ではフェラーリの2台がマクラーレンを先行し、シャルル・ルクレールが4番手、カルロス・サインツJr.が5番手に並んだ。マクラーレン勢はダニエル・リカルドが6番手、ランド・ノリスが7番手である。
アルファタウリ・ホンダのふたりは、パワーユニットのICE(内燃エンジン)交換によって9番手まで後退したバルテリ・ボッタス(メルセデス)を挟む形で、ピエール・ガスリーが8番手、角田裕毅が10番手に並んだ。
レース週末を通じ、基本的には天候に恵まれ、決勝が行なわれた日曜日もサーキット上空には青空が広がった。気温27度、路面温度は37度と、前回開催の2019年とはかなり異なるコンディションだ。今回は5種類のタイヤコンパウンドのうちC2〜C4の平均的な組み合わせが供給されているが、バンプやヒビなどの粗い路面状況もあり、決勝ではタイヤには比較的厳しいと予想されていた。そのような中トップ10では、自身4度目の予選Q3進出を果たした角田とサインツJr.以外のドライバーがミディアムタイヤで決勝スタートを迎えた。
決勝レースに向け会場のボルテージ、そして緊張感も増す中フォーメーションラップが完了。全車グリッドにつき、シグナルライトオフ。56周のアメリカGP決勝が幕を開けた。
抜群の蹴り出しでホールショットをイン側から奪ったのはハミルトン。フェルスタッペンとペレスのレッドブル勢がその後ろに並んだ。
角田もスタートを決め、10番手から8番手にジャンプアップ。9番手ボッタスから攻められるも、ソフトタイヤの優位性を活かし抑え込んだ。ボッタスはスタートでコースオフした際にガスリーを抜いてしまっていたため、そのガスリーに順位を戻す形で10番手に後退。レッドブル勢に攻め立てられるチームメイトを援護できないポジションとなった。
ソフトタイヤを履く角田は10周目にピットイン。ハードタイヤに履き替え、14番手でコースに戻った。
フェルスタッペンは「マシンがスライドしている」と無線でチームに不満を漏らすも、トップのハミルトンを1秒圏内で追った。上位3人が1パック、4番手ルクレール以下7番手ノリスまでのマクラーレンとフェラーリがもう1パックで走行を続けた。
トップ争いで先に動いたのはフェルスタッペン。11周目でハードタイヤに履き替え、ペースを上げた。フェルスタッペンに続きノリスやガスリー、ペレスなど上位勢もピットイン。多くがハードタイヤを選択する中、新品のハードタイヤを1セットしか持っていないペレスはミディアムタイヤをチョイスした。
メルセデスは14周目にトップを走るハミルトンをピットへ呼び込みハードタイヤを装着。先にピットストップしていたフェルスタッペンに、アンダーカットされる形となって首位を奪われた。
ガスリーにはサスペンショントラブルが発生。ガスリーは15周にピットへ戻り、ここでレースを終えることとなった。
チームのためにもできるだけ多くのポイントを稼ぎたい角田は、後方からボッタスが迫る中、まだタイヤを換えていないランス・ストロール(アストンマーチン)をバックストレートエンドのターン12で抜き8番手に浮上。その後角田は数周に渡りボッタスを抑え込んだものの、ペースに勝るボッタスに同じターン12で8番手を明け渡すこととなった。
レース中盤では10番手争いも激化。ターン1でフェルナンド・アロンソ(アルピーヌ)はアウト側にキミ・ライコネン(アルファロメオ)を押し出すも抜かれ、チームに「アウト側から抜かれた。彼はポジションを戻すべきだ」と不満を漏らした。要求が通らなかったことで、アロンソはライコネンのチームメイトであるアントニオ・ジョビナッツィをランオフエリアからオーバーテイク。チームはポジションを戻すようアロンソに指示を投げ、それに従った。ただ、仕切り直しとなったバトルでは、ジョビナッツィがアロンソから順位を守るべくランオフに飛び出した。こちらもチームから順位を戻すよう指示が飛んだ。
レース28周目にはコース上に落ちたデブリを回収すべくバーチャル・セーフティカーが宣言されるもすぐに解除。首位フェルスタッペンにハミルトンが3秒差まで迫る一方、3番手ペレスはハミルトンに離され、その差は14秒に開いた。
ジリジリとハミルトンに迫られるフェルスタッペンは30周目に2度目のピットイン。続けてペレスもピットへ戻り、新品のハードタイヤに履き替えた。一方ハミルトンは、タイヤを使い切りつつピットストップのタイミングを遅らせることを選択し、タイヤの理を活かしレース終盤にフェルスタッペンを追い抜くことを狙った。
角田は34周目に2度目のピットイン。アウトラップで後方から迫るライコネンを払いのけ、まだ2度目のピットストップを行なっていないストロールを35周目にをパス。続いてストロールを抜いたライコネンとアロンソのベテランふたりを後方に従え、角田は自己ベストタイムを更新しながら9番手を走った。
ハミルトンは38周目まで2度目のピットインを引っ張った。ピットストップのロスタイムによりフェルスタッペンには9秒先行されたものの、8周若いタイヤでファステストラップを更新しながら、その差を徐々に縮めていった。ひたひたと迫るハミルトンに対し、フェルスタッペンも自己ベストタイムを更新し、逃げ切りを狙った。
残り10周というところで、フェルスタッペンとハミルトンの差は3秒に。ハミルトンは更に毎周コンマ数秒ずつその差を削っていき、残り2周という段階では一気に1秒差にまで近付く。ただフェルスタッペンはタイヤを温存していたのか、差は徐々に縮まらなくなっていった。最終ラップでその差は0.9秒。ハミルトンはDRSで攻めるも、フェルスタッペンはバックマーカーのDRSも活用しその差を保った。
ラストラップの最終コーナーを先頭で立ち上がったのはフェルスタッペン。1秒差でハミルトンを抑え込み、トップチェッカーを受けた。攻撃的なレッドブルの戦略を成功させたフェルスタッペンはオランダGP以来今シーズン8勝目を挙げ、ドライバーズランキングのリードを12ポイントに広げた。また僚友ペレスも、ドリンクシステムの故障により身体的に厳しいレースになったものの表彰台の一角3位を獲得し、チームとしても大きなポイントを稼ぎ、メルセデスとの差を23ポイントに縮めた。
フェラーリは4位にルクレール、7位にサインツJr.が入り、5位リカルド、8位ノリスという結果に終わったマクラーレンとのポイント差を縮めた。グリッド降格によって9番手からスタートしたボッタスは、思うように順位を上げきれず6位フィニッシュ。前戦トルコGPでの勝利から流れを活かすことが出来なかった。
角田裕毅はハンガリー以来の入賞となる9位。6度目のポイント獲得を果たした。レース終盤も自己ベストを更新し、F1世界チャンピオン経験者であるライコネンやベッテルに対し堂々たる走りを見せた。
なお、アメリカGPに合わせ、ホンダの北米高級ブランド「アキュラ」のロゴを掲げ走ったレッドブル・ホンダ。勝利を祝い、表彰台のコンストラクターズポディウムにはホンダの山本雅史F1マネージング・ディレクターがチームを代表して登壇した。
熾烈なフェルスタッペンvsハミルトンの2021年タイトル争い。次の舞台はメキシコGPとなる。ペレスとしては母国GPであり、ヒーローの凱旋にメキシコは大盛り上がりとなることは間違いなし。そして標高2300mと高地に位置するエルマノス・ロドリゲス・サーキットは、ホンダF1が1965年に初優勝を遂げた地でもある。
ゲンの良さなどを後押しにレッドブルが久々のタイトル獲得に向けて勢いを増すか、それともメルセデスが攻勢に転じるか? 今年のグランプリレースは、まだまだどうなるか分からない。
順位 | ドライバー | 周回数 | タイム | 差 | 前車との差 | 平均速度 | ポイント |
---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | マックス フェルスタッペン | 56 | 1:34'36.552 | 195.586 | 25 | ||
2 | ルイス ハミルトン | 56 | 1:34'37.885 | 1.333 | 1.333 | 195.540 | 19 |
3 | セルジオ ペレス | 56 | 1:35'18.775 | 42.223 | 40.890 | 194.142 | 15 |
4 | シャルル ルクレール | 56 | 1:35'28.798 | 52.246 | 10.023 | 193.802 | 12 |
5 | ダニエル リカルド | 56 | 1:35'53.406 | 1'16.854 | 24.608 | 192.974 | 10 |
6 | バルテリ ボッタス | 56 | 1:35'56.680 | 1'20.128 | 3.274 | 192.864 | 8 |
7 | カルロス サインツ Jr. | 56 | 1:36'00.097 | 1'23.545 | 3.417 | 192.749 | 6 |
8 | ランド ノリス | 56 | 1:36'00.947 | 1'24.395 | 0.850 | 192.721 | 4 |
9 | 角田 裕毅 | 55 | 1:35'10.081 | 1 Lap | 1 Lap | 190.962 | 2 |
10 | セバスチャン ベッテル | 55 | 1:35'12.119 | 1 Lap | 2.038 | 190.894 | 1 |
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