2022年F1マシンのサイドポンツーン、全10台で4つに分かれた解決策。正解はどれだ?
2022年のF1マシン10台が出揃った。レギュレーションで厳しく制限されている中でも、各所にそれぞれ個性が光る。その中でもサイドポンツーンのデザインは、チーム間で大きく分かれた。
写真:: Motorsport.com / Japan
アルピーヌのA522が発表され、2022年シーズンのF1を戦う10台のマシンが出揃った。
今シーズンからは新たなテクニカルレギュレーションが導入される。厳密なレギュレーションになっているため、各チームのマシンは似通ったモノになると考えられていた。しかしながら実際に発表されたマシンを見てみると、各チーム様々な解決策を講じてきたことが分かる。
その中でも、サイドポンツーンにはバリエーションがあるが、それでも傾向と言うべきモノが見えてくる。
現状で主流とも言うべきグループは、サイドポンツーン下部にきついアンダーカットを設け、サイドポンツーンの上下で気流を分割するスタイルのものだ。
最も顕著なスタイルを持つのは、アルファロメオC42とアストンマーチンAMR22である。サイドポンツーンは左右に張り出し、リヤサスペンションの直前まで続いている。サイドポンツーンを流れる気流は、リヤウイングのメインプレーン下、もしくは今季から装着が許されたロワウイングに向かっており、この部分でのダウンフォース発生に寄与しているモノと考えられる。上面にはいずれもルーバーが開けられており、この上面の気流をコントロールすることにも使われているのだろう。一方アンダーカットを通った気流は、ディフューザーの効果を高めるのに役立てているはずだ。
これに続くのはフェラーリF1-75である。ただこのマシンのサイドポンツーンは実に過激。上面は窪んだようになっており、ここに集まった気流をリヤウイングに流しているのだろう。側面は地面の垂直に切り立っており、近年のF1で見られてきたスタイルとは大きく異なる、1990年代から2000年代前半頃のスタイルによく似ている。その下にはきついアンダーカットが前後を繋ぐように続いている。程度の差はあるものの、アストンマーチンやアルファロメオに近い考え方であると言えよう。
レッドブルRB18も、アストンマーチンやアルファロメオに近い考え方。しかしながら、アンダーカットは若干浅めの印象だ。ただ発表されたRB18は、昨年F1が発表した2022年マシンのイメージモデルによく似ており、実車が同じようになっているとは限らない。
第2のグループは、サイドポッド前端にはアンダーカットがあるものの、後端に向けて緩やかにフロアまで降るスタイルを持つマシンだ。これには、アルファタウリAT03とアルピーヌA522が当てはまる。
この2台は、サイドポンツーンの上面を流れてきた気流と、サイドポンツーン側面を通ってきた気流を合流させ、ディフューザーの上に流しているのだろう。ただこれらは2台とも、エンジンカウルには段差がつけられている。この段差の上を通った気流は、リヤウイングに向かっているのだろう。
考え方は異なるとは言え、最初のグループと同様に上と下で気流を分け、パフォーマンスに繋げるという考え方ではなかろうか。ただ最初のグループと比べると、よりディフューザー重視の選択肢と言えるかもしれない。
3つめのグループは、サイドポンツーンが小さく、フロア上の面積が大きいスタイルのマシンだ。これにはメルセデスW13、マクラーレンMCL36、ウイリアムズFW44の3台が該当すると言える。
これらはリヤウイングというよりも、ディフューザーを重視したパッケージと言えるのではないだろうか。
面白いのはこれら3台全てが、メルセデス製のパワーユニットを搭載しているという点だ。もしかしたら、パワーユニットの形状とも関係しているのかもしれない。
第4のグループというか、1台のみ独自のレイアウトを採用してきたと言えるのが、ハースVF-22であろう。
Nikita Mazepin, Haas VF-22
Photo by: Haas F1 Team
このマシンはアンダーカットもゼロではないが小さく、サイドポンツーンの上面も後傾していない。よりリヤウイングのパフォーマンスを重視した考え方と言えるかもしれない。コクピット横、ハロの付け根付近とロールフープ両側につけられたフィンも、エンジンカウル後端のボーテックス・ジェネレータとも言えそうなシャークフィンも、それを補完するためのモノのように思える。
各チームともこのままのサイドポンツーンのスタイルでシーズンを戦うのか、あるいはいずれかのタイプに集約されていくのか、今後2回のテスト、そして開幕戦に注目が集まる。
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