F1新車”雑感”解説2022「ハースVF-22」:昨年のリソースを完全投下。各所に細かな空力処理が施された1台
2022年型マシンVF-22をシェイクダウンしたハースF1。サイドポンツーンなどはオーソドックスに見えるが、各所に細かな空力的処理が加えられているのが伺える。
写真:: Haas F1 Team
ハースF1が、2022年用マシンVF-22をカタルニア・サーキットでシェイクダウンした。実際に走行したハースのニューマシンは、先日公開されたレンダリング画像とは大きく異なるマシンだった。
ハースは2月4日に2022年用マシンのカラーリングを発表した。この時にカラーリングが施されていたクルマは、チームの説明によれば開発初期段階の2022年マシンだという。しかし2月21日にニキータ・マゼピンが走らせたマシンの形状は、カラーリング公開時とは全く別のモノだった。
カラーリング公開時のクルマは、ノーズが細く見えた。しかし実車は比較的太めであり、断面形状も四角である。フロントウイングのフラップは4枚だが、そのうち3枚がノーズに接続。最前方の1枚はノーズには取り付けられず、2枚目のフラップに固定される形だ。
このフラップの1枚目と2枚目は中央部分の形状が異なっている。1枚目のフラップは、地面と水平。しかしながら2枚目は中央のノーズ部分が少し持ち上げられており、隙間が設けられている。ここを通した気流をどう活用しているのかは興味深い。
サイドポンツーンは、上面が後方まで地面と水平に続いていく形状。ただショルダー部分は少し盛り上がっており、若干ながらエアダムを形成していそうだ。そしてこの上面には、別パーツ化された大きなルーバーが開けられている。またサイドポンツーン下部のアンダーカットは小さめである。
ここまで発表されてきた他チームのマシンは、アンダーカットもしくはサイドポンツーン上面を通った気流を、ディフューザーやリヤタイヤの内側に流していた。しかしこのハースは、積極的にこのエリアに気流を流すことを目指していないようにも見え、他とは空力コンセプトが違っている可能性が伺える。インテークはカラーリング発表時よりも巨大化した。
サイドポンツーンの前端には、2本ステーのリヤビューミラーが存在しており、ミラーの本体にも周囲にカバーがつけられ、後方に向かう気流を制御していると思われる。またハロの付け根部分には左右1枚ずつバイキングウイングが取り付けられ、さらにロールフープの両側にもバイキングウイングが存在している。
Nikita Mazepin, Haas VF-22
Photo by: Haas F1 Team
面白いのはエンジンカウル後端のシャークフィンだ。シャークフィンは小型なだけでなく、後端がカウルから浮き、2本のステーで支えられるような格好になっている。これはシャークフィンというよりも、ボーテックス・ジェネレータの役割が持たされており、空気の渦を作り出すことで後方に向かう気流を制御しているように感じられる。またこのシャークフィン後端の浮いた部分の下には細い冷却用の開口部が設けられている。
なおサスペンションはフロントにプッシュロッド、リヤにはプルロッドを採用しているようだ。
昨シーズンは当該年のマシンの開発はほとんど行なわず、このVF-22の開発に注力してきたハース。サイドポンツーンはオーソドックスに見えるが、各所にかなり細かい開発を施してきたようだ。さて、その選択の効果やいかに?
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