F1 バーレーンGP

F1分析|ルクレール、まだまだ余裕残しだった可能性も? まさに完勝:バーレーンGP決勝ペース分析

2022年のF1開幕戦バーレーンGPを制したフェラーリのシャルル・ルクレール。そのレースペースを分析してみると、まだまだ余裕残しだった可能性があることが分かった。

田中 健一

編集: 2022/03/21 8:56

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Charles Leclerc, Ferrari F1-75, Max Verstappen, Red Bull Racing RB18

 2022年のF1がついに開幕。その初戦を制したのは、フェラーリのシャルル・ルクレールだった。フェラーリとしても、2019年シンガポールGP以来の勝利。ポールポジションとファステストラップも併せて獲得するという、華麗な復活劇だったと言えよう。

 そのルクレールの決勝のレースペースを見てみると、最大のライバルとなったレッドブルのマックス・フェルスタッペンがレース終盤にリタイアしたとはいえ、完璧な勝利だったと言えるだろう。

F1バーレーンGP決勝レースペース分析(Top3+レッドブル勢)

F1バーレーンGP決勝レースペース分析(Top3+レッドブル勢)

Photo by: Motorsport.com / Japan

 このレース、フェラーリとレッドブルのレースペースは、ほぼ互角と言える。実はこれがまず最初の驚きであった。

 金曜日のフリー走行2回目(FP2)では、フェルスタッペンがライバルに圧倒的な差をつける、驚異的なペースでロングランを行なった。フェラーリはそこから大きく離されていたため、多くの人が「レッドブル優勢」と見たわけだ。しかし蓋を開けてみると、2チームの実際のペースには、FP2で見られたような差は見られなかった。そしてほんの僅かな差が、勝敗を分けることになった。

 第一スティントでは、ルクレールとフェルスタッペンが抜け出し、一騎打ちの様相となった。しかしふたりのレースペースを細かく分析すると、5周目頃から差が拡大し始めるのが分かる。この差はスティントが終わるまで縮まることはなく、両者の間隔も広がることになった。

 これはデグラデーションの値に差があったことに他ならない。デグラデーションとは、タイヤの性能劣化による、ペースの低下を意味する。つまりフェルスタッペンの方がデグラデーションが大きく、ルクレールの方がより余裕を持って走れていたということが分かる。

 しかもラップタイムの推移をみると、ルクレールは余裕を持って走っており、もっとペース上げることができた可能性もあったように思われる。その傾向が見て取れるのは、9周目(グラフ赤丸の部分)のことだ。フェルスタッペンのペースが右肩下がりに落ちていくのに対し、ルクレールはこの1周だけ、ペースを僅かに上げている。そして次の周からは、それ以前のデグラデーション値通りにペースが落ちている。

 これを踏まえると、ルクレールはペースを上げることができる余力がありながらもそうはせず、フェルスタッペンのペースに合わせて走っていた感がある。

 それをさらに裏付けるのは、第4スティントのルクレールの速さ(グラフ青丸の部分)であろう。

 セーフティカーが解除された後、ルクレールはあっという間に加速し、フェルスタッペン以下をあっさりと置き去りにした。トラブルによりその後ストップすることになるフェルスタッペンはおろか、チームメイトのカルロス・サインツJr.もついていけず……ルクレールはその着差以上の完璧なレースでF1新時代の開幕戦を制したわけだ。

 タラレバを言うのであれば、フェルスタッペンがレース中に何度が言っていたように、アンダーカットを成功させていたらどうだったかということだろう。レース中の最高速は、フェルスタッペンが全20台中最も速い327.9km/hを記録したのに対し、ルクレールは最も遅い302.6km/hだった。一方コーナー途中で速度が計測される”INTERMEDIATE 2”では、フェルスタッペンの265.9km/hに対し、ルクレールは265.4km/hまで接近している。ここから判断すると、フェラーリはトラクション&コーナリング重視のマシンだったということだろう。そう考えると、タイヤのデグラデーションが少なかったのも頷ける。

 ただ、もしフェルスタッペンに前に出られ、ターン1までに差をつけられてしまったのならば、ルクレールとて簡単にはオーバーテイクできなかったかもしれない。

 そういう意味では、次のサウジアラビアGPのような高速コースでは、レッドブルの方に分がある……ということになるかもしれないが、どうなるだろうか?

 さて決勝で3位に入ったのは、メルセデスのルイス・ハミルトンだった。昨シーズンまで長らく先頭争いから外れることのなかったメルセデスだが、今回のグランプリでは大苦戦。フリー走行の時点から、中団グループに埋もれることになった。

 決勝レースでのレースペースを見てみると、実はデグラデーションはトップチームより少ないくらいだった。しかし絶対的なペースは完全に劣っており、1周につき1秒程度と大きな差をつけられている。まさに完敗。これを埋めるのは、容易ではないだろう。

 そんな中でも厳しいレースを戦い抜き、3位まで辿り着いた。さすがハミルトンと言うほかない。

 

 

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