F1 アブダビGP

F1分析|フェラーリのレースペースが劇的に改善……来季逆襲に向けた手応えを掴んだのか?:F1アブダビGP決勝

今シーズン、タイヤのデグラデーションに苦しみ続けてきたフェラーリ。しかし最終戦アブダビGPのレースペースを見ると、改善に向けた可能性を掴みつつあるようにも見える。

田中 健一

編集: 2022/11/21 9:41

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Charles Leclerc, Ferrari F1-75

 F1の2022年最終戦アブダビGPでは、フェラーリのシャルル・ルクレールが1ストップ戦略で走り切って2位。2ストップ戦略を採ったセルジオ・ペレス(レッドブル)を抑え、2022年のドライバーズランキング2位を死守した。

 今季のフェラーリは、開幕直後は圧倒的速さを見せていた。しかしその後は、予選では最速であっても、決勝ではレッドブルに逆転されるレースが続いた。その原因は激しいタイヤのデグラデーションにあった。

 フェラーリのマシンはタイヤに厳しいとされ、スタート直後は持ち前のスピードで後続を引き離すも、徐々にペースが下落し、よりタイヤに優しいライバルたちに逆転を許してしまっていたわけだ。巷では今季のフェラーリの敗因は、チームやドライバーのミスと言われることが多いが、実は最大の弱点は、このデグラデーションの酷さにあったのではないだろうか。

 ただ最終戦のルクレールは、この弱点を打ち消す走りを見せた。ルクレールは「スタートから最終ラップまで、ずっと110%の力で走った」と語ったが、レースペースを分析すると、それが如実に読み取れる。

F1アブダビGP決勝レースペース分析:レッドブル&フェラーリ

F1アブダビGP決勝レースペース分析:レッドブル&フェラーリ

Photo by: Motorsport.com / Japan

 上のグラフは、F1アブダビGP決勝のトップ3、フェルスタッペン、ルクレール、ペレスと、もう1台のフェラーリのカルロス・サインツJr.のレースペースを、折れ線で表示したものだ。

 第1スティントでは、3人いずれもミディアムタイヤを履いており、デグラデーションが生じているのが見て取れる。ただ、ペレスが比較的大きなデグラデーションを示しているものの、ルクレールは周回を重ねるに連れてフェルスタッペンに匹敵するペースで走るようになった。

 大きなデグラデーションに見舞われていたペレスは、15周を終えた段階でピットストップしなければならなかった……この時点でペレスは、少なくとも2ストップ以上でなければレースを走りきれないのは明らかだった。

 ルクレールはフェルスタッペンの1周後、21周を走り切ったところでピットインし、ハードタイヤに履き替えた。このハードタイヤに履き替えた直後のルクレールのペースに特に注目したい。

 フェルスタッペンは、非常にゆっくりとしたペースで第2スティントを走り始めた。一方でペレスとルクレールは、フェルスタッペンよりも1周あたり1秒程度速いペースで走り始めたのだ。

 おそらくフェルスタッペンは、この時点で1ストップでレースを走り切ることを目指し、タイヤをマネジメントする走りをしていたはずだ。そのせいか、フェルスタッペンは徐々にペースを上げ、ルクレールと同等のペースで走るようになった。

 ペレスは走り出しこそ1分30秒前後のペースで3周ほど走ったが、すぐに1分31秒前後まで落とし、その後再びペースを上げていった。

 対するルクレールは、1分30秒前後のペースをずっと並べ、そのまま最後まで走り切っている。これまでのフェラーリならば、そのデグラデーションの大きさから、どんどんペースが下がっていったはずだ。しかし今回はそうはならなかった。

 ルクレールは元々1ストップで走り切ることを計画していたと公言しているが、このペース推移を見る限り、タイヤを最後までもたすことができる、ギリギリのペースで走り続けたということだろう。

 もちろん、ルクレールが渾身の走りを披露したのには疑いの余地はないだろう。しかしサインツJr.のペースを見ると、それだけではないのでは? と勘ぐりたくなってくる。

 サインツJr.は、ペレスと同じく2ストップでレースを走り切った。そのサインツJr.のレースペースを見ても、デグラデーションの傾向はほとんどみられない。つまり今回のフェラーリからは、今季の弱点となっていたデグラデーションの大きさが消えていたということだ。

 これが事実なら、フェラーリは今季悩まされてきた問題を、セッティングもしくは何らかの形で突き止めたということになる。今季はレッドブルの前に大敗を喫したが、この最終戦のレースペースが、来季逆襲する布石だとは考えられないだろうか?

 来季は今季以上の大激戦……となるかもしれない。

 

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