F1分析|決勝はミディアム&ハードが主流? トップ2は前回と同じだが、アルファロメオに躍進の兆し
F1オーストラリアGPのフリー走行2回目(FP2)を分析すると、今回もフェラーリとレッドブルが速そうだ。しかしそのすぐ後には、アルファロメオが接近してきているようにも見える。
George Russell, Mercedes W13, Valtteri Bottas, Alfa Romeo C42
Mark Sutton / Motorsport Images
2022年のF1第3戦オーストラリアGPのフリー走行2回目、各車がロングランを行なったが、やはり今回もフェラーリvsレッドブルという構図になりそうだ。しかし、フェラーリのデグラデーション(タイヤの性能劣化)値が大きそうに見えるのが気になるところだ。
今シーズンは2戦を終え、いずれもフェラーリとレッドブルが激しい優勝争いを繰り広げた。そして今回のオーストラリアGPも、初日FP2の走行を見る限りでは、同じ傾向が続いているようだ。
一発のアタックラップはもちろん、FP2でのロングランのペースも、この2チームは同等。他のチームを引き離している。
2022年第3戦オーストラリアGP FP2ロングランペース(ミディアム)
Photo by: Motorsport.com / Japan
フェラーリのシャルル・ルクレールと、レッドブルのマックス・フェルスタッペンは、いずれもミディアムタイヤを履いてロングランを実施。その時のベストラップは、共に1分22秒台……わずか0.01秒の差しかなかった。ただ注目しておきたいのは、そのベストタイムを出した周回数と、その後のペースだ。
ルクレールはロングラン2周目にベストタイムを計測し、その後徐々にペースが落ちていった。一方でフェルスタッペンは、途中で赤旗中断を挟んだとはいえ、このタイヤでのロングラン4周目にベストタイムを継続。その後のペースの落ちも緩やかである。
それぞれのチームメイトであるセルジオ・ペレス(レッドブル)と、カルロス・サインツJr.(フェラーリ)のロングランも見てみよう。彼らもミディアムタイヤでのロングランを行なったが、ペレスはデグラデーション値がほぼゼロで走行を終えたが、サインツJr.は周回数が多いとはいえ、スティント終盤は特にペースが大きく落ちていた。
ここから判断すると、レッドブルとフェラーリはペースこそ互角なれど、デグラデーションという要素を見れば、レッドブルに軍配が上がりそうだ。コース特性としては、トラクションに優れたフェラーリに分がありそうだが、今季はコース改修により高速セクションが増えたため、レッドブルに肩入れしている感もある。
いずれにしてもこの2チームによる激しい優勝争いとなりそうだ。
この2チームの後方にいるのはメルセデス……ではなく、アルファロメオである。アルファロメオはバルテリ・ボッタスがミディアムタイヤでロングランを行なった。まともな計測ラップは2周のみだが、上位2チームに次ぐロングラン時のベストタイムといえる。アルピーヌのフェルナンド・アロンソもこれに僅差で続いており、前戦サウジアラビアGP同様、この2チームによる激戦となるかもしれない。
メルセデスは、ジョージ・ラッセルがこの2チームに匹敵するラップタイムをロングラン中に1度だけ記録したが、実力は未知数。チームメイトのルイス・ハミルトンは、これに遠く及ばなかった。
アストンマーチンのランス・ストロールも、ミディアムタイヤを履いてデグラデーションの実に少ないロングランを行なった。ペース的には上位4チームには及ばないが、ハミルトンのペースを信じれば、メルセデスとアストンマーチンが同じような位置を走る可能性もある。
そういう意味では、今回ここまでのメルセデスは、開幕2戦以上に苦しんでいるようである。
2022年第3戦オーストラリアGP FP2ロングランペース(ソフト)
Photo by: Motorsport.com / Japan
なお今回のFP2では、ほとんどのドライバーがミディアムタイヤでロングラン。ソフトタイヤでロングランを行なったのは、アルファタウリのピエール・ガスリーのみであった。
このガスリーのロングラン時のペース推移を見てみると、ペースが著しく下落していっている。今回のソフトタイヤは、ハードがC2、ミディアムがC3なのに対し、C5タイヤとなっている。つまりC4をひとつ飛ばした選択ということだ。そのため、絶対的なパフォーマンスの面では優れていても、耐久性という面では難がある可能性が指摘されていた。このガスリーのロングランを見てみるとズバリその懸念の通りで、決勝レースでは使いにくいタイヤかもしれない。
しかし一方で、フェルスタッペンなどはFP2の序盤にソフトタイヤで何度もアタックを行ない、その都度ペースを上げていっていた。そういう意味では、「使える!」と判断するチームがいても決して不思議ではない。
2022年第3戦オーストラリアGP FP2ロングランペース(ハード)
Photo by: Motorsport.com / Japan
他方、ハードタイヤは十分に使えるタイヤかもしれない。このFP2では3人のドライバーがハードタイヤを履き、ロングランを実施。角田裕毅(アルファタウリ)が最長の12周を走った。このペースの推移をみると、右肩上がりにどんどん速くなっており、さらにベストタイムも1分24秒台前半と、同じアルファタウリのガスリーがソフトタイヤで記録したロングランのベストタイムよりも速い。
ここから考えると、ミディアムとハードを使った1ストップが、決勝のオーソドックスな戦略ということになるのではなかろうか?
ただ前述のようにソフトタイヤでのロングランデータが不足していること、ピットレーンの制限速度が以前の60km/hから80km/hに引き上げられたことで、タイヤ交換時のロスタイムが減るだろうことを考えれば、異なる戦略を用意してくるチームもあるかもしれない。
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