F1分析|レッドブル6連勝も、これまでにはない辛勝? フェラーリに逆襲開始の兆しが見えた
レッドブルが6連勝を達成したF1カナダGP。しかしレースペースを見ると、フェルスタッペンはかなり苦しんでいたように見える。フェラーリに復調の兆しか?
写真:: Andy Hone / Motorsport Images
F1カナダGPを制したのは、レッドブルのマックス・フェルスタッペンだった。これでフェルスタッペンは今季6勝目、レッドブル勢としては第4戦エミリア・ロマーニャGPから6連勝……すでに今シーズンを手中に収めた感がある。
ただ今回のレース中のペースを見ると、ここ数戦のような”楽勝”ではなかった。
確かに前回のアゼルバイジャンGPではフェラーリ勢が揃ってリタイア。モナコでもフェラーリが戦略ミスを喫して後退していった。ただレースペースを見ると、明らかにフェラーリ勢のデクラデーション(タイヤの性能劣化)は大きく、レッドブル勢には太刀打ちできそうもなかった。事実、エミリア・ロマーニャ〜スペインGPまでの3戦は、デグラデーションが大きかったため、レッドブル勢を相手に完敗を喫している。
ただ今回のカナダGPでは、カルロス・サインツJr.がフェルスタッペンに真っ向勝負を演じた。それが特に現れているのが第2スティントであろう。
F1カナダGP決勝レースペース分析:トップ2
Photo by: Motorsport.com / Japan
レースを始めから見ていこう。ポールポジションからスタートしたフェルスタッペンは、後続に差をつけ、逃げの体勢に入った。サインツJr.は3番手。ふたりの間には、予選で完璧なアタックを成し遂げてみせたフェルナンド・アロンソ(アルピーヌ)がいた。
サインツJr.は3周目にアロンソを抜くと、その後はフェルスタッペンとほぼ同じペースで走った。
レースが動いたのは9周目。フェルスタッペンは、チームメイトのセルジオ・ペレスがトラブルによりコース脇にマシンを停めたことで宣言されたバーチャル・セーフティカー(VSC)の際に真っ先にピットに飛び込み、ミディアムタイヤからハードタイヤへと交換した。
サインツJr.はここでピットに入らず、首位に浮上。彼がピットストップを行なったのは、ミック・シューマッハー(ハース)がストップしたことで出た2度目のVSCのタイミングだった。
この直前のペースは、既にタイヤを交換したフェルスタッペンの方が当然速かった。しかしサインツJr.は、ミディアムタイヤでもあまり大きなデグラデーションの傾向を見せず、20周を走り切った。
また両者のタイヤ交換が終わった後のレースペースを見てみると、サインツJr.がペースを落とさず安定したペースを維持したのに対し、フェルスタッペンのペースは徐々に下落(グラフの黄色い丸で示した箇所)……フェルスタッペンはたまらず43周を走り切ったところで2回目のピットストップを行なった。
つまりサインツJr.の方がデグラデーションが小さく、フェルスタッペンの方がデグラデーションに苦しんでいたわけだ。
これを見ると、ここ数戦のフェラーリとレッドブルの立場が入れ替わったようにも思えた。前述の通り、ここ数戦はフェラーリの方がタイヤに厳しかったはずだ。しかし今回は明らかに、レッドブルの方が苦労していた。
そんな中でもレッドブルが勝利を掴んだ要因は、早め、早めに動くという戦略にあっただろう。早めに新しいタイヤに交換することで、そのメリットを存分に活かしてポジションを維持することに成功。2回目のピットストップはアンダーグリーンでのピットストップだったため致命傷になる可能性もあったが、コースに復帰した後即座にサインツJr.との差を縮めることができたため、SC中にピットインしたサインツJr.の前を押さえることができたわけだ。
もしSCがあと3周ほど早く出ていたら、サインツJr.が先頭のままコースに復帰し、そのまま逃げ切った可能性もある。
レッドブル楽勝と思われた今シーズン。しかし今回のフェラーリの走りを見ると、まだまだ大勢が決したとは言えそうもない。
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