F1、開幕直前に競技規則を一部変更。セーフティカー解除時の手順に関する文言が”any”から”all”に
FIAは、昨年のF1最終戦アブダビGPの論争を受け、セーフティカー解除時の手順に関するレギュレーションを微調整したことを明らかにした。
写真:: Sam Bloxham / Motorsport Images
FIAは、2022年のF1開幕を前に、スポーティングレギュレーションの一部を改訂。セーフティカー解除時の手順に微調整を加えた。
昨年のF1最終戦アブダビGPでは、セーフティカー解除時の手順を巡って論争が巻き起こり、レースディレクターのマイケル・マシが解任される事態にまで発展した。
昨年の時点でのレギュレーションには、セーフティカー解除時の手順は次のように記載されていた。
「競技長がそうすることが安全であると判断し、公式メッセージ送信システムにより『"LAPPED CARS MAY NOW OVERTAKE"(周回遅れ車両は追い越し可)』のメッセージがすべての競技参加者に送信された場合には、先頭車両に周回遅れにされていたすべての車両は、先頭車両と同一周回(リードラップ)にいる車両およびセーフティカーを追い越すことが求められる」
アブダビGPのセーフティカー解除時、レースディレクターのマシは先頭のルイス・ハミルトン(メルセデス)と2番手のマックス・フェルスタッペン(レッドブル)の間にいるマシンのみ、リードラップに戻すよう指示。フェルスタッペンの後方にいたマシンはリードラップに戻ることなく、レース再開となった。これで新しいタイヤに履き替えたばかりのフェルスタッペンが、既に使い古したタイヤを履いていたハミルトンをオーバーテイクし、同年のワールドチャンピオンに輝くことになった。
日本語だけを見れば、一部の周回遅れだけをリードラップに戻すという判断は、レギュレーション違反にも見える。しかしレギュレーションの本文ではこの”すべての車両”は”any cars”と記載されており、”あらゆるマシン”と解釈することもできる。これがアブダビGPで一部のマシンのみをリードラップに戻した根拠とされた。
FIAは再発を防止するためにこの文言を改定。anyの文字がallに変更され、解釈のぶれがなく「全てのマシン」と規定された。
スポーティングレギュレーションはシーズン開幕に向けて変更が繰り返されており、セーフティカー解除時の手順に関する変更が加えられた最新版は第5版ということになる。
この他にも、いくつかの変更が加えられている。例えば決勝でトップ3フィニッシュを果たしたドライバーは、表彰式およびレース後のインタビューにレーシングスーツを着用した状態で出席することが求められ、ファスナーを首まで閉めならない。
さらに全てのドライバーについてもセッション後及びレース後のインタビューでは、チームのユニフォームを着る必要があると規定された。
また昨年のブラジルGPでは、フェルスタッペンがメルセデスのマシンのリヤウイングを触り、罰金を科されるという事例も発生した。これに対処するため、「ドライバーはパルクフェルメの手順に干渉してはならない」という文言もレギュレーションに追加されている。
その他にも、昨年レーシングスピードでの走行がないまま終了することになってしまったベルギーGPの一件を受け、今シーズンからは走行距離によってポイントの割り当てが変わるシステムが導入されることになっている。そのうち、規定周回数の50〜75%でレースが終了した場合のポイント数が、4位の場合は当初の9ポイントから10ポイントに増やされ、7位は5ポイントから4ポイントに減らされることになった。これにより1位19ポイントを筆頭に14-12-10-8-6-4-3-2-1ポイントが、それぞれの順位のドライバーに与えられることになる。
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