DRSに頼りすぎ? F1重鎮ロス・ブラウン「形式的なオーバーテイクばかりの現状は、ファンも我々も好まない」
ロス・ブラウンは、DRSを使った形式的なオーバーテイクが増えている現状を嘆いており、F1はそうした現状を積極的に改善していく必要があると考えている。
写真:: Zak Mauger / Motorsport Images
F1のマネージングディレクターを務めるロス・ブラウンは、2023年以降、DRS(ドラッグ・リダクション・システム)の効果を軽減していくことを恐れてはいけないと語っている。
2022年シーズンから、新たなテクニカルレギュレーションを導入したF1。これにより各チームのマシンはグラウンドエフェクトカーとなり、多くの接近戦が繰り広げられることを目指した。この目論見通り、2021年まで見られたように、マシンが前後に接近しにくいという状況は軽減され、現在は新レギュレーション2年目に向けた微調整に焦点が当てられている。
ただその一方で、DRSを使うことができた場合には、オーバーテイクが簡単すぎるという弊害も指摘されている。いくつかのサーキットでは、DRSが使用可能となる1秒圏内に先行車を捉えれば、オーバーテイクはほぼ100%可能だった。
F1はさらに、決勝レースでDRSの使用が解禁される周回数を早めることを検討。2023年は試験的に、6大会で行なわれるスプリントにて、レーススタート/再スタートから3周目ではなく、2周目から使用が許可されることとなる。そのため、DRSの効果によるオーバーテイク数は増加の一途を辿ることが予想される。
ブラウンはまもなく現在の職を離れるが、DRSによる安易なオーバーテイクに対する苛立ちは、ファン同様にオーガナイザーも感じているモノだと語っている。
「我々が知っているのは、ファンも我々もそれを好まないということだ。みんな、『ストレートを走って、DRSをオンにしてオーバーテイク。速度を上げてギャップを広げる』ということを嫌っているのだ」
そうブラウンはmotorsport.comに語った。
「理想的な状況では、DRSは(前を行く)マシンの後ろに近付くために使われるべきだ。そして、そこからちゃんとしたアタックができるのだ」
Carlos Sainz, Ferrari F1-75, Fernando Alonso, Alpine A522, George Russell, Mercedes W13
Photo by: Mark Sutton / Motorsport Images
ブラウンは、DRSは即座にオーバーテイクを完了させるためのモノではなく、ドライバーが先行車に接近するために使われるべきモノだということを覚えておく必要があると念を押している。そして、今年DRSゾーンが削減されたオーストラリアGPが、それをよく表しているという。
「覚えているかどうかはわからないが、メルボルンには以前4つのDRSゾーンがあった。しかし誰かが、そのうちのひとつを取り除くよう説得していた」
「あれらのDRSゾーンは、そこでオーバーテイクするためではなく、次のセクションでアタックできるようにマシンの背後につくためモノだった。それが理想的な状況なのだ」
「モンツァのような場所では、DRSゾーンを削減することを恐れてはいけないと思う。『相手の後ろを走って、ボタンを押したらオーバーテイク』というように見えるからね。これでは、ちょっと形式的な感じがするよね?」
「あまり感心できないことだ。だから、明らかに強力すぎることが証明されているDRSの使用を、削減することを恐れてはいけないのだ」
F1はDRSを全く必要としない状態でバトルができるようになることを望んでいるが、2026年からは可変エアロパーツの導入も検討されている。そしてブラウンは、現時点でのF1に追い越し支援は必要だと考えている。
「DRSは、他のマシンの後ろに並んでコーナーで横に並び、ホイール・トゥ・ホイールのバトルをするときに役立つツールだと思う」
「DRSを賢く使うこと、それが必要だ。依然DRSは我々に必要なツールだが、可変エアロパーツがあれば、それも変わるかもしれない」
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