テロ発生も続行のF1。サウジアラビア当局は「サーキットはミサイル・ドローン迎撃システムの庇護下にある」と説明
F1チームの代表陣は、サーキット付近の施設で起きたテロを受け、サウジアラビア政府から迎撃システムに関する“信頼できる”説明が行なわれたと明らかにした。
写真:: Zak Mauger / Motorsport Images
F1チームの代表陣は、F1サウジアラビアGPの続行を決断する際に、サウジアラビア政府からサーキットを守る防衛設備についての“信頼できる”説明を受けたと明らかにした。
現地3月26日(金)、サウジアラビアGPが開催されているジェッダ市街地サーキットから約16kmのところにある国営石油企業アラムコの石油精製施設に対するテロ事件が発生。施設にはミサイルが打ち込まれ、火の手が上がった。
犯行声明がイエメン北部を拠点とする武装組織フーシ派から出されており、安全性への懸念からF1ではグランプリ続行の可否を問う緊急集会が行なわれた。
FIA、F1、チーム代表、そしてドライバーが参加したこの会議で焦点となったのが、ジェッダの街とサーキットを囲むように設置されている、ミサイルやドローンを迎撃する防衛システムだった。
そして金曜日に標的となった石油精製所は、この防衛システムの守備範囲外だったと説明が行なわれた。
翌日の早朝まで続いた長い話し合いの結果、ドライバーはサウジアラビアGPをボイコットするという選択肢を選ばず、予定通りグランプリが開催され続けることとなった。
なおチーム代表陣は今回の事件を受け、サウジアラビアGPの今後について話し合う必要があることを示唆している。
Guenther Steiner, Team Principal, Haas F1, in the Press Conference
Photo by: Carl Bingham / Motorsport Images
防衛システムの存在に加え、地元のVIPが安全面の心配をせずに家族連れでサーキットを訪れているという事実も、グランプリの続行に寄与する重要な要素になったという。
「政府の人間が自分の家族をここに連れてきていて、彼らが安全だと感じているのなら、私も安心していられる」とハースのギュンター・シュタイナー代表は語る。
「彼らが設置している技術的なシステムは理解している。私としては、彼らの家族がここにいて、彼らが安全だと感じているのなら、私も安全だと思えるのだ」
「彼らは非常に信頼できる説明をしてくれた。技術的に詳しいことは、私は専門家ではないので説明できないが、私たちを守るための設備があることは確かだ。私は詳しくないがね」
「しかし、彼らがしていることに関する説明は信頼できたし、彼らの家族がここにいることが、私の安全を保証している。私のチームも安全だ」
アストンマーチンのマイク・クラック新代表も、政府からの説明内容に満足している。
「昨日はかなり位の高い人物が来ていた」とクラックは言う。
「彼らは我々に状況を説明し、それはとても信頼できるモノだった。その結果、その場にいた(チーム代表)10名全員が、彼らが責務を全うすると確信したのだ」
ウイリアムズのヨースト・カピトCEOは、サウジアラビアの防衛システムは他国の専門家からも認められたモノだとコメントを残している。
「そこにはもうひとり、防衛の専門家がいた」とカピトは言う。
「サウジアラビアの専門家ではなく、別の国から来た専門家が独自調査を行ない、イベントを安全に開催する体制が整っていると認めたのだ」
またF1や政府同様に、F1チーム代表陣も最新情報を常に把握し、状況に応じた対応が必要であるという意見で一致している。
「昨晩、F1とFIA、関係者やドライバー、チーム代表たちと話し合いを行なった際、間違いないという保証は得たし、サウジアラビア当局とも議論をした」とフェラーリのマッティア・ビノット代表は言う。
「しかし我々としても、自分たちで(情報を)更新していこうという結論に達した。対処すべき、もしくは議論すべき最新情報があるか見ていこう」
マクラーレンのアンドレアス・ザイドル代表はこう語る。
「昨日と同じようなやり取りや話し合いがまた行なわれると思う」
「最終的には、F1が、そしてサウジアラビア当局が、ここのパドックにいるひとりひとりの安全を第一に考えていると信頼する必要がある」
「私は全面的に信頼している。そしてF1と当局からの助言に従うまでだ」
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