フェラーリ、“想定外に速い”ウイリアムズのラッセルに阻まれ「予選の戦略が崩されてしまった……」
フェラーリのシャルル・ルクレールとカルロス・サインツJr.によると、F1オーストリアGPの予選Q2でミディアムタイヤを履く戦略は、ペースの良かったウイリアムズのジョージ・ラッセルによって挫かれたと語った。
写真:: Steven Tee / Motorsport Images
F1第9戦オーストリアGPの予選Q2をミディアムタイヤで突破しようと試みたフェラーリの戦略は、ミディアムタイヤで予選Q3進出を果たしたウイリアムズのジョージ・ラッセルによって無に帰したとフェラーリのシャルル・ルクレールとカルロス・サインツJr.は語った。
オーストリアGPには、C5〜C1の5種類のタイヤのうち1番柔らかいタイヤセットであるC5(ソフトタイヤ)、C4(ミディアムタイヤ)、C3(ハードタイヤ)が用意されている。同サーキットで先週行なわれた前戦シュタイアーマルクGPからは、1段階柔らかいセットとなっている。
F1のスポーティングレギュレーションにより、予選Q3進出を果たしたドライバーは予選Q2のベストタイムを記録したタイヤで、決勝レースをスタートしなければならない。フェラーリは、寿命の短いソフトタイヤでのスタートを避けるべく、予選Q2では両ドライバーにミディアムタイヤを装着した。
しかしその予選Q2ではサインツJr.が11番手、ルクレールは12番手に終わり、予選Q3進出を逃した。一方、ウイリアムズのラッセルは同じミディアムタイヤで10番手を獲得。サインツJr.とは0.006秒差で、念願の予選Q3進出を果たした。
ルクレールとサインツJr.曰く、チーム側はラッセルの予選ペースを想定しておらず、もし彼がいなければ少なくともサインツJr.は予選Q3に進出できていただろうと述べた。
「(決勝レースを)ソフトタイヤでスタートするという選択肢は、絶対に避けたかった」と予選後にルクレールはmotorsport.comに対して語った。
「だからミディアムタイヤを試したけど、上手く行かなかった。ウイリアムズが僕らの前にいるというのは、少し驚いたよ。理想は(予選Q3を)ミディアムタイヤで突破することだったけど、僕らには上手く機能しなかった」
「完璧なラップでもなかった。でもカルロスのラップと僕の(ラップ)を比較してみると、タイムはとても、とても近かった。もちろん、あちこちでもっと上手くやれたとも思う。彼は、そういうところで上手くやったんだろうね。でも多かれ少なかれ、僕らはマシンの限界に達していた。だからこれが今日できる全てだった」
George Russell, Williams FW43B
Photo by: Zak Mauger / Motorsport Images
一方、サインツJr.はチームが遅いミディアムタイヤを選択したことで、予選Q3に進出できないリスクがあったと認めている。
「理解してはいるけど、ソフトタイヤで5番手にいるよりもミディアムタイヤで11番手の方が良かった。これが最優先事項だった」とサインツはmotorsport.comに語った。
「僕らはそうすることを選択した。実際は、ミディアムタイヤを履いて0.006秒で予選Q3進出を逃した。7番手以内を狙っていたんだけど。でもしょうがない」
「アタックラップの中で0.006秒は稼ぎ出せただろう。先週もラッセルに予選で負けたから、ウイリアムズは速くなっている。先週の決勝で(ラッセルは)8番手を走行していた。ウイリアムズにはペースがあるし、明らかに彼はとても良い仕事をしている。彼にはおめでとうと言いたいね」
「でも、彼らは先週既に速そうだったから、僕らが全力を出しきれなかったという訳ではない。『0.006秒差って何?』って気持ちだ」
「だからこそ、全てを前向きに捉えて、なぜだかは分からないけどこのサーキットで強いのは明日(の決勝レース)だということを理解しないといけない。先週は厳しい予選のあと、決勝(の結果)に僕らはとても満足していた。どこまで巻き返せるか見てみよう」
「先週と比較すると、僕は成長できているとも感じている。正直に言うと今回の予選ではあまり調子が良くなかったけど、同じコースで週末ごとに進歩を実感できて嬉しかった」
「週末ごとに僕のエンジニアリングチームと僕自身は、このマシンで少しずつラップタイムを稼ぎ出せていると思う。嬉しいことに、それがレースペースの良さに結びついている。どうなるか見てみよう」
Carlos Sainz Jr., Ferrari SF21
Photo by: Erik Junius
ルクレールも先週末の第8戦シュタイアーマルクGPで見せたレースペースが、チームの励みになっていると語った。
「間違いなく、僕らに自信を与えてくれた」とルクレールは言う。
「でもその一方で、僕らに似た戦略を採るマシンが前に沢山いる。彼らはミディアムタイヤを履いて予選Q3に進出できているから、簡単にはいかないだろう」
長きに渡りフェラーリを悩ませてきたタイヤの問題を解決するためにチームが行なってきた作業について、サインツJr.はこう付け加えた。
「それについて、僕らはまだ確信を得られてはいない。特にもし明日(の決勝で)路面温度が下がれば、僕らは限界をさらけ出すことになるだろう」
「同時に、まだ解決できていない小さな問題が残っているという点を、心に留めておく必要がある。でも先週はそれに悩まされることはなく、僕らはとても強かった」
「明日(の決勝)は笑う人と悲しむ人に分かれるだろうけど、今日は0.006秒負けたことで24時間に渡って苦痛を味わうことになる」
フェラーリのスポーティングディレクターを務めるローレン・メキースは、決勝レースでソフトタイヤの使用を避けるためにレース週末の計画を建ててきたと明らかにした。
「レースでは、C5タイヤは我々に適さないという結論を持ってここに臨んだ」と彼は言う。
「ライバル勢と比較して、ある条件下で我々はタイヤ摩耗が激しいことを理解している。柔らかいタイヤコンパウンドが持ち込まれる今回、レースでC5タイヤが機能するとは考えていない。それ故に、レースにそれを使うことを避けるように、我々は週末を組み立ててきたのだ」
予選で8番手を記録したアストンマーチンのセバスチャン・ベッテルが、予選Q2でアルピーヌのフェルナンド・アロンソの走行を妨害したとして3グリッド降格を受けたことで、サインツJr.は10番グリッドから決勝スタートを迎えることになる。
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