岩佐歩夢、モンツァでの失格はシャシーのダメージが原因?「普通ならありえない感じだった」 最終戦アブダビに新モノコック投入へ
先日行なわれたFIA F2のモンツァ・ラウンドのフィーチャーレースで、3番手でフィニッシュしながらも失格処分を受けてしまった岩佐歩夢(DAMS)。一体何があったのか? 岩佐本人に訊いた。
写真:: Red Bull Content Pool
先日モンツァ・サーキットで行なわれた、FIA F2の第13ラウンド。DAMSの岩佐歩夢は予選でクラッシュした後、スプリントレースではペースが全く上がらずに後方に沈み、フィーチャーレースでも序盤は大いに苦しむことになった。ただレース後半はペースを取り戻して後続を抑え、さらに他車の後退もあって3番手でフィニッシュ。これでランキング4番手に浮上し、F1参戦に必要なスーパーライセンス獲得に向けて大きな一歩を踏み出した……かのように見えた。
しかしレース後、非情な裁定が待っていた。車体の底に取り付けられているプランクが規定以下の薄さだったとされ、失格処分を受けてしまったのだ。
「プランクの厚さが0.2mmとか0.3mm足りずに失格になってしまいました。厚さを測る部分は何ヵ所かあって、その中の1ヵ所でも規定以上であればいいんですが、全ての箇所で規定よりも薄かったんです」
岩佐は失格になった状況についてそう説明した。プランクが規定よりも薄かったということは、レース中に削れてしまったということを意味する。本来なら、車高が低すぎるセッティングだったため、必要以上に床下が路面にボトミングしてしまったのではないかと疑われる。しかし岩佐曰く、チームとしてはセッティングに問題があったわけではないと考えているようだ。
「エンジニアのミスではないと考えています。というのも、実はレース中にだんだんボトミングが大きくなっていくような感覚がありました。これは普通ならあり得ないことです。走れば走るほどタイヤの内圧は上がっていきますから、徐々に車高は上がり、ボトミングは減っていくものです。しかもそのボトミングは、”擦る”というよりも”当たる”という感覚でした」
岩佐はそう語る。
「スプリントレースの時もそういう傾向がありました。このレースの後に検証したところ、リヤの車高が2mmも下がっていました。おそらく予選でクラッシュした後にモノコックやシャシーに目に見えないような問題があって、その結果車高が下がってしまったと考えています」
「ファクトリーに戻った後でのセットダウンでも、ダメージは見つからなかったという報告を受けています。今チームとしては、モノコックやシャシーを全て交換する方向で動いています。原因が分からないなら、そうするしかないということだと思います」
ただ岩佐は、予選でのクラッシュだけが、マシンにダメージを及ぼした原因だとは考えていないとも語る。実は金曜日のフリー走行の段階から、マシンには違和感があったという。そのため、シーズンを通じて、モノコックにダメージが蓄積していた可能性があるという。
「エンジニアとも、おそらく予選でのクラッシュ一発でモノコックをダメにしてしまったわけではないだろうという話をしていました」
「FPからスピードはありませんでしたが、それについては僕のドライビングが大きな要因を占めていました。そこを改善した結果、予選の最後でポールポジションを狙える位置までいけたという部分はあります。でもクルマのフィーリングはすごくピーキーで、動きが読めませんでしたし、ドライブがすごく難しかったです。それでも無理すればタイムを出せる、そういう感じだったので、最後のクラッシュに繋がってしまいました」
「クラッシュをデータで見てみると、スピードとかドライビングは、1回目のアタックと同じでした。スピードは1〜1.5km/hほど遅い程度でした。もちろんギリギリを攻めるんですが、いつもは自分の中でコントロールできる部分は残してあります。ただあの時は、リヤがスッと出てしまって、どうしようもない感じでした」
「僕は今年、大きなモノから小さなモノまで、いくつかクラッシュを経験してきています。それがモノコックに悪い影響を与えてきて、今回の予選でのクラッシュでトドメを刺してしまった、そんな感じではなかったかと予測しています」
今回失格となってしまったことで、ランキング9番手に後退してしまった岩佐。ただそれでも、ランキング3番手のローガン・サージェント(カーリン)とは21ポイント、ランキング4番手のジャック・ドゥーハン(ヴィルトゥオーシ)とは12ポイント差と僅差だ。
岩佐は今季ランキング4位以内に入れば、スーパーライセンス獲得に必要なスーパーライセンスポイント”40”を満たすことができる。モノコックを交換して臨む予定のアブダビでの最終ラウンドの活躍に、注目が集まる。
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