eSports
グランツーリスモ世界王者イゴール・フラガが語る、リアルレースとの“二刀流”「バーチャルからリアルに行くと、クルマを感じやすい」
eモータースポーツ界のトッププレイヤーであり、リアルのレースでも実績を持つイゴール・フラガ。スーパーフォーミュラの『e-Motorsportアンバサダー』でもある彼が、リアルとバーチャルの“二刀流”について語った。
戎井健一郎
公開日時: 2022/11/27 23:15
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先日、日系ブラジル人ドライバーのイゴール・フラガがスーパーフォーミュラの『e-Motorsportアンバサダー』に就任したことが発表された。フラガはeスポーツ界で活躍する傍ら、リアルのモータースポーツにも参戦する、いわゆる“二刀流”ドライバーだ。
フラガがeスポーツ界で残した実績は枚挙にいとまがない。FIAが主催する『グランツーリスモ ワールドシリーズ』では、各国の代表によって争われるネイションズカップの初代王者に輝き(2018年)、メーカー対抗のマニュファクチャラーズシリーズでも2019年、2021年にタイトルを獲得している。そして11月25日に行なわれた『TOYOTA GAZOO Racing GT Cup』でも4代目チャンピオンになったばかりだ。
Photo by: Sony
フラガはリアルのモータースポーツでステップアップする上で日本にチャンスを求め、幼少期を過ごした日本に今年の夏に戻って来た。スーパーフォーミュラは、そんな彼の日本での活動をサポートしつつ、eスポーツ界のトッププレイヤーであるフラガの持つグローバルな発信力で、スーパーフォーミュラ並びにモータースポーツの発展をサポートしてほしい……そう考えているという。
「モータースポーツの面白さを色んな人に届けたいです。スーパーフォーミュラは日本最高峰のカテゴリーではありますが、あまり知られていない部分もあるので、日本国内だけじゃなくて、世界中に(魅力を)届けられるよう活動していきたいです」と、アンバサダーとしての抱負を語るフラガ。バーチャルとリアル、両方のレースで活躍する彼にしか聞けない質問をぶつけてみた。
やはり気になるのは、eスポーツで培った経験はリアルのモータースポーツにどれほど活かすことができるのかという点だ。もちろんバーチャルと現実の間には隔たりがあるのは確かで、両者が完全にイコールで繋がることはないだろう。とはいえ、eスポーツを通してレーシングドライバーとしての引き出しを増やすことができるとフラガは語る。
「特にグランツーリスモの世界選手権は色んなクルマに乗らないといけないし、色んなコースを走らないといけないので、リアルとはちょっと違う走り方を求められるかもしれませんが、色んなドライビングスタイルを学ぶ必要があります」
Igor Fraga, Charouz Racing System with damage
Photo by: Andy Hone / Motorsport Images
「そうすると、リアルに行った時に『リアルだとこうすればいいんだな』という工夫ができるようになると思います」
さらに具体的なところに踏み込んでいこう。eスポーツとリアルモータースポーツの大きな違いのひとつに、身体で感じられるインフォメーションの量が挙げられる。リアルのレーシングドライバーは、ステアリングの動きや振動だけでなく、シートを通じて“お尻”からもマシンの挙動を感じるとよく言われる。しかしそういったインフォメーションをバーチャルで得られるのは大規模かつハイクオリティなシミュレータなどに限られており、基本的にはインフォメーションがリアルよりも少ない方向となる。
しかし、だからこそリアルのレーシングドライバー以上に五感を研ぎ澄ませてプレイするため、eスポーツのドライバーはリアルのマシンに乗った時に、よりフィーリングを感じやすくなるとフラガは解説する。
「例えば、インフォメーションはないんだけど、ここでこうするとクルマはこうなっちゃうよな、という予測をする能力も高まると思います」
「あとはクルマが横に向き始めているのかどうかを、身体ではなく目で感じられるようになったり、目とか耳とか色んな部分からインフォメーションを得てドライブできるようになります」
「逆にバーチャルのドライバーがリアルに行くと、インフォメーションが増すだけなので、クルマを感じやすいと思うんですよ。ちゃんとしたコーチングがあれば、結構速くなると思います」
最近では、eスポーツ出身の冨林勇佑がスーパーGTのGT300クラスに参戦しており、TGR-DCレーシングスクール育成ドライバーとしてFIA F4に参戦している小林利徠斗もeスポーツで活躍するなど、二刀流ドライバーは確かに増えている。
現状、eスポーツで挙げた実績がそのままリアルでも評価されるとは言い難いが、それでも経済的な事情でリアルのレースに参戦できないドライバーが腕を磨く機会として、もしくは自らのレーシングドライバーとしてのスキルの幅を広げる選択肢として、二刀流がよりポピュラーになっていくかもしれない。
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