PU載せ替えのマクラーレン、開発制限有りでもマシンは“ほぼ新車”状態に?
マクラーレンは2021年にパワーユニットをメルセデス製へと変更するが、実質的に“新しいマシン”を設計するほどの変更が必要だったという。
Lando Norris, McLaren MCL35, Carlos Sainz Jr., McLaren MCL35
Charles Coates / Motorsport Images
マクラーレンF1チームは、2021年シーズンからパワーユニット(PU)をルノー製からメルセデス製へと変更する。レギュレーションでマシン開発に凍結部分がある今シーズンだが、マクラーレンはPU変更によって実質的には“全く新しいクルマ”を作っているようなものだという。
F1は新型コロナウイルスの世界的流行による影響を鑑みて大幅なレギュレーション変更を2022年へ延期。さらに2021年シーズンには2020年のマシンの大半を持ち越すことで、経済的な影響に対処するためのコスト削減を目指した。
各チームは2つずつ所持する開発トークンを使うことで、凍結されている2021年マシンのシャシー開発を行なうことができる。しかし、マクラーレンはこの制度策定以前からPUをルノーからメルセデスへと変更することを決定していたため、2つのトークンをPU載せ替えのために使用することを余儀なくされた。
多くのチームは2021年に向けて、マシンの60%ほどを持ち越す形となると見られているのに対し、マクラーレンは、PU載せ替えによって“実質的に新しいクルマ”を作っているようなものだと、彼らは主張する。
「他チームはクルマの大半を(2021年に)持ち越すだろうが、メルセデス製PUに変更する我々はそうではない」
マクラーレンのプロダクション・ディレクターを務めるピアース・タインはそう語る。
「これは大量の変化をもたらし、実質的に我々は新しいクルマを作ってきたようなものだということだ。(2021年マシンの)MCL35Mの新パーツの数は、(2020年の)MCL35を作り上げた時とほぼ同じ数なんだ」
「シャシー後部、そしてエンジン周りのギヤボックスベルハウジングは、新PUに適応するためにかなりの変更があった」
「パワーユニットの変更はマシンの構造、そしてパッケージング方法を大きく変える。だから冷却レイアウトや配管、電気ハーネスやコントロールボックスなどが影響を受けるんだ」
「予算制限の時代へと入るが、いくつか重要な要素を持ち越すことになる。FIAが作成した今年のコスト上限対象外となる暫定持ち越しコンポーネント(TCO)リストだ。それらのパーツは昨年のマシンで使用していた場合、2021年に使用が可能となっているものだ」
「我々はこのTCO制度を最大限に活用し、ギヤボックス内部やサスペンションのコンポーネントなどを、できるだけ引き継げるようにした。そのためそれらに関しては、設計に2021年の予算を使う必要はない」
マクラーレンは昨年12月にMCL35Mの設計の承認を取得。3月の公式プレシーズンテストでドライバーのランド・ノリスとダニエル・リカルドがこのマシンをテストすることになる。
そして1月に2022年マシンの空力開発が解禁されて以来、チームは2022年のマシン設計へとシフトしている。
ピアースは新レギュレーション導入で大きく変わる2022年のマシンについて、現在は「風洞実験でのスタートラインに立つことができた」と話し、今後も検証を続けていくと語っている。
「2022年マシンの実際の生産についてだが、まだ非常に初期の段階で、主に風洞でテストされる部品に焦点が当てられている」と、ピアース。
「空力設計が成熟するにつれて、我々は風洞試験用の空力コンポーネントを更に作っていく。それらのテストは何が機能し、何が機能しないのかを確かめる非常に重要なものだ。我々は2022年のマシンを最初から適切なモノにしたいと思っているからね」
「テストパーツによって空力的な限界を押し広げる必要がある。それこそがパフォーマンスを向上させる方法だからだ。それらが機能してくれれば、素晴らしい。機能しないようなら生産の段階に一度戻れば良いんだ」
「高い目標を達成する必要がある。まさにそれが、”グリッドの先頭に戻る”ために我々がやってきたことなんだ」
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