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【MotoGPコラム】ビフォア・コロナに近づくMotoGP。久しぶりの現地取材で見えたコト

2020年初頭から始まった新型コロナウイルスのパンデミック。世界中が影響を受け、MotoGPも様々な対応をとりつつなんとかレースを成立させてきた。ウイルスの広がりとワクチンなどの対策の広がり……MotoGPが正常化に向かっている現状が、現地取材から見えた。

Paddock atmosphere

写真:: Gold and Goose / Motorsport Images

 欧州へ来るのは久しぶりだ。2019年の最終戦バレンシアGP以来だから、ちょうど2年ぶりになる。その2年ぶりのヨーロッパのサーキットパドックで、木曜の各種事前会見や金曜の各クラス走行初日を久々に体験した印象をいえば、パドック内はかつての活気をかなり取り戻しつつあるような印象がある。

 とはいっても、観戦客はパドック内に入場することはできないため、中にいるのはなんらかの形でレースの仕事に関わっている人々に限られている。それでもとくに今回の場合は、シーズン最終戦、しかもバレンティーノ・ロッシ選手の現役最後のレースということもあって、自分を含むメディア関係者の数が多い。そのため、メディアセンターを中心に活動していると、新型コロナウイルス感染症が世界中に蔓延する前のにぎわいにかなり近い状態になってきた、とも感じる。

ロッシ関連で取材陣も多い

ロッシ関連で取材陣も多い

 そんなふうに思うのは、おそらく、自分自身がこの2年間で現場を訪れたのは2020年開幕戦カタールGPと、2021年開幕2連戦のカタールGP・ドーハGP、というごくピンポイントのみで、しかもこの2回の取材機会はいずれも、パンデミックに世界が翻弄されてゆく象徴的なタイミングでもあったため、なおさら今回は活気を取り戻しつつある印象が強くなってしまうのかもしれない。

 2020年の開幕戦は、欧州で感染が最初に急激に広がり始めた時期で、MotoGPクラスが中止され、Moto2とMoto3のみの開催になった。このときは、感染防止のための諸対策はまだ確立しておらず、マスク着用も義務化されていなかった。

 この開幕戦後に、世界のあらゆる動きがピタリと止まった。

 MotoGPが厳密な衛生管理プロトコルを作成し、レースを再開したのが7月。欧州のみの転戦で、現場への取材アクセスは禁止。選手たちとの質疑応答は、Zoomなどのオンライン形式に限定された。

 この7月の再開以降、我々活字メディアの取材方法などについて、レースを運営するドルナと何度も協議や交渉を重ねてきた。その結果、9月ごろから欧州を拠点とするごく数名の取材陣が中に入ることができるようになった。とはいっても、フォトグラファーやテレビ取材陣用のメディアセンターとは別の、隔離された小さな〈メディアセンターB〉からいっさい外に出ることはできず、パドックはもちろんコースサイドに出ることも禁止、という厳しさだった。

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 この非常に厳しい取材行動制限は、2021年開幕時も継続していた。世界各地で感染爆発と多少の沈静化が繰り返される状態のなか、このときの開幕2連戦は、1年ぶりの欧州大陸以外の場所での興行だった。このイベントに際し、ドルナは2020年から運用されている厳格な衛生管理プロトコルに加え、レース関係者のカタール現地との接触を徹底的に遮断する厳密な〈MotoGPバブル〉を作り上げた。

 出国前にPCR検査で陰性であることを証明してから飛行機に搭乗し、カタールの空港に到着して降機する段階で、MotoGP関係者は別の動線で移動。空港内施設で再度PCR検査を実施し、入国後は事前に手配した専用タクシー等で指定ホテルへ即座に移動する。この指定ホテルでは、MotoGP関係者専用の出入り口を設けて、その出入り口からサーキットへの移動はシャトルバスを使用。イベント期間中は〈サーキットーシャトルバスーホテル〉という閉鎖空間を作り出して、数日ごとにPCR検査を実施しながら、サーキットのパドックやホテルから一歩でも外に踏み出すことを禁止する、という徹底したバブル形成と管理、運用が行われた。

 この後、8月に行われた東京オリンピックとはイベント規模や関係者の人数が異なるとはいえ、あの日本でのバブルとは名ばかりの、穴だらけのざるのようなお粗末なありさまと比較すれば、このときのドルナのバブル運用の徹底した手法は、じつに見事で完璧に近かった、という印象がある。

 このときのカタールパドックでは、取材制限が2020年よりも少しだけ緩やかになった。

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 サーキットに入ることができる取材人数を制限し、選手たちとの会話はオンラインのみに限定、パドックのチームオフィスやピットボックスの取材訪問は禁止、というありかたはまだ以前と同じだが、活字メディア用の小さなメディアセンターBは撤廃されて、あらゆる取材陣が、かつてと同様にひとつのメディアセンターで仕事をできるようになった。また、メディアセンター内に共用取材スペースを設けて、そこでソーシャルディスタンシングを維持すれば、たとえばチームの技術スタッフたちとの対面取材は可能になった。ちなみにこの開幕戦段階では、ロサイル・インターナショナルサーキットのパドックに入った活字メディア取材陣は、たしか7名ほどだったと記憶している。

 そして、このレースイベント開催時にはカタール政府との連携で、希望者へのワクチン接種も実施した。すでにイスラエルなどごく一部の国では接種が始まっていたものの、日本はもちろん欧州各国でも接種が始まる前の時期だ。そんな時期のワクチン事業は画期的で、これはドルナの英断といっていい。

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 その後、2021年シーズンのMotoGPは、レース開催間隔に関するかぎり、かつてと同様のスケジュールで興行が行なわれていった。日本や東南アジア、オーストラリアは今年も中止になり、欧州内部のみで転戦していったのは昨年同様だが、10月にはアメリカへ渡ってレースを開催することもできた。

 パンデミックは再流行と沈静化を繰り返しながらも、各国のワクチン接種率は上昇し、それと歩調を合わせるように、パドックの取材制限もさらに少しずつ緩やかになっていった。今回の最終戦バレンシアGPでは、パドックのアクセス制限に開幕当初のような厳しさはすでになく、かなりの部分でパンデミック前に近い状態へ戻りつつある。

 我々活字メディアの、日々のセッション後ライダー取材はオンライン限定で、ガレージを訪問したりピットレーンに出ることも相変わらず禁止、というルールはまだ継続している。だが、マスクの着用とソーシャルディスタンシングの維持を遵守すれば、パドックに出て普通に歩き回ることはOK。また、これら衛生管理ルールを守れば、チームのホスピタリティやオフィスなどで、ライダーと一対一の対面取材を行うことも可能になった。

 パドックがかつての姿を取り戻しつつあるのと同様に、観客席にも少しずつ人々の姿が戻ってきた。とくにシーズン後半戦は少しずつ観戦の門戸を広げ、日々の入場者数は1万人、2万人という実数を数えるようになっている。

 とくに今回は、バレンティーノ・ロッシ選手の応援Tシャツやキャップを身につけた年配の夫婦や、バイク乗り仲間数人連れで観戦に訪れているのであろう人々の姿を、自分が宿泊しているホテルでも、ごくあたりまえのように見かける。おそらく決勝レースが行われる日曜早朝は、サーキットのアクセスロードから高速道路出口までの区間は、2019年以前のように、日の出前の暗いうちからレース関係者と観戦客の車列が混み合って、かなり渋滞しそうな気がする。そしてそれはおそらく、世の中がかつての姿を取り戻しはじめていることの、よい兆候でもあるのだろう。

 
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