「“ロッシ”は継げるモノじゃない」と、来季ファクトリー入りのクアルタラロ

　2020年はバレンティーノ・ロッシにとってヤマハファクトリーチームで過ごす最後のシーズンとなった。

　ヤマハは今年初頭に、2019年にMotoGPへデビューし驚異的な速さを示したファビオ・クアルタラロを昇格させ、マーベリック・ビニャーレスとチームを組ませることを発表。クアルタラロがドゥカティから関心を寄せられている状況から、契約に動いたと考えられている。

　ロッシは当初から2020年以降の現役続行についてはシーズン序盤の走りを見てから決めたいという意向を示していたが、そういった外部の状況もあり、ファクトリーチームを離れることを余儀なくされた。　

　今季は既に3勝を挙げ、チャンピオンシップをリードする存在となっているクアルタラロ。9回のタイトル獲得を誇るロッシという伝説的なライダーの後任としてファクトリーチームに赴くことについてどう考えているのか？　motorsport.comの独占インタビューに彼は考えを語ってくれた。

「今年の始めにとても早くに選択があったので、かなり驚かされたよ」

　ヤマハによるロッシ後任としての起用によって、彼の自信は高められたのか？　
そう訊かれたクアルタラロは、まずそう語った。

「去年の終盤ですら驚いていた。でもそれは良いことだった。次の2年に向けてヤマハが僕のことを信じてくれているのは、本当に嬉しい」

「ただ“バレのバイク”を手にすることは不思議な感じだろうね」

「本当に嬉しく思ってるんだ。でも僕らは今年直面しているグランプリに集中する必要がある」

「僕としては、バレンティーノはバレンティーノだから自分が彼を継ぐようなことはできないと思う。僕は“彼のバイク”を手にすることになるけど、もちろんそれは新しいバイクなんだ」

「僕は彼の場所を取ってしまうわけじゃない。彼はヤマハと歴史を紡いでいていて、そこには彼の席がある。彼らは10年近くを共に過ごしてきたんだと思うから」

「だからバレンティーノの席は誰にも触れられないものだと思うし、僕はただ彼のバイクを手にするだけだ。彼の席はずっとあり続けるだろう」

　ロッシは9月末に2021年はペトロナス・ヤマハSRTから参戦することを正式に発表。彼は来季ヤマハからの全面的なファクトリーサポートを受け、クアルタラロやビニャーレスと同じマシンで戦うことになる。