ナカジマからSFテスト参加の佐藤蓮、初日は2度クラッシュも山本尚貴にも劣らないセンスに高評価。2年目のシート獲得なるか?
スーパーフォーミュラの合同/ルーキーテストにTCS NAKAJIMA RACINGから参加している佐藤蓮。初日午前から好タイムをマークするなど、2年目のシート獲得に向けてまずまずの滑り出しを見せている。
Ren Sato, TCS NAKAJIMA RACING
Masahide Kamio
鈴鹿サーキットで行なわれているスーパーフォーミュラの合同/ルーキーテスト。ホンダ/M-TECエンジン勢は今季とはかなり異なる顔ぶれでテストに臨んでいるが、TCS NAKAJIMA RACINGから参加の佐藤蓮もそのひとりだ。
佐藤は今季、TEAM GOHからスーパーフォーミュラデビューを果たした。レッドブルジュニアドライバーという、チャンスでありながら大きなプレッシャーものしかかる肩書きでシーズンを戦ったが、特に前半戦は速さを見せるも結果に繋がらないレースが続いた。後半戦こそコンスタントに入賞争いに加わり、第9戦鈴鹿では3位表彰台を手にしたものの、ランキングは12位に終わった。
Photo by: Masahide Kamio
2019年のFIA F4でチャンピオン獲得、2020年はフランスF4で2位、2021年はスーパーフォーミュラ・ライツで3位と、順調なステップアップを果たしてきた佐藤だが、最高峰カテゴリー1年目は一筋縄では行かず。「今までやってきたカテゴリーとは全然違って、関わっている人の数も違います。クルマ自体も難しく、苦戦しました」と最終戦後に振り返っていた。
ただその一方で、後半戦に見せた果敢なオーバーテイクやディフェンスを通して、自信を深めることもできたと語る佐藤。「レース人生の中でも特に成長できた1年だったと思います」として、来季こそは優勝を目指したいと意気込んでいた。
そんな佐藤はこのオフに、NAKAJIMA RACINGのマシンをドライブするチャンスを得た。このテストに参加することは直前になって決まったようで、これまで入っている噂を総合すると、ホンダ陣営の来季ラインアップが二転三転する中でNAKAJIMA RACINGのシートに収まる方向で話が進んでいるものとみられる。
Photo by: Masahide Kamio
そして佐藤は初日午前のセッションで他のドライバーよりも早いタイミングでアタックに入り、1分36秒117というタイムでトップに立った。ただその直後に自らが2コーナーでクラッシュしたことにより、他車がほとんどアタックできないままセッションが赤旗終了となったため評価の難しいところだが、今回佐藤を担当した加藤祐樹エンジニア曰く、チームメイトの山本尚貴よりも速い区間があり、センスを感じたという。
「午後に尚貴さんが35秒台(1分35秒613)に入っていますが、尚貴さんより速い場所が結構ありました」
「今週初めてうちのクルマでニュータイヤを履くという点で、攻め切れていなかったと思いますし、午後の方が(ホームストレートで)追い風が強かったので、そこと比べると午前中はS字のダウンフォースが取れていませんでした。また午前中には、ブレーキング中にスロットルを踏んでしまうようなペダルの硬さになっていたので、フロントロックするようなこともありました。その中であのタイムです」
Photo by: Masahide Kamio
「蓮選手はデグナーがめちゃめちゃ速いんですよ。そういう意味でも(山本と)遜色なく、ポテンシャルのあるドライバーだと思います。センスがあるな、すごいなと」
またセッション終盤のクラッシュについては、1コーナーから2コーナーにかけての区間でアウト側にラインをとったスロー走行の車両と交錯してしまい、それを避けようとしてコースを外れたことで2コーナーのバリアにぶつかってしまったという。「今回はルーキーテストであまり慣れていないドライバーもいますし、そういうところは気を付けるべきでした。僕のミスです」と佐藤は振り返るが、幸い修復可能なレベルのダメージだったため、14時からの午後セッションでは無事復帰を果たしている。
午前にクラッシュした佐藤のマシン
Photo by: Masahide Kamio
しかし、佐藤は午後のセッションでもデグナーふたつ目を曲がり切れずバリアに突っ込み、この日2度目のクラッシュを喫してしまった。ただ加藤エンジニアによると、佐藤はシフトダウンができないトラブルに見舞われてしまい、それにより止まり切れなかったという。とはいえ、チームとしてはスペアのフロントウイングをふたつ共使い切ってしまったため、もう後がない状況。「明日は慎重に行って欲しいですね」と加藤エンジニアは言う。
そして佐藤と言えば気になるのがレッドブルとの関係。彼曰く、来季以降もレッドブルジュニアとして残れるかどうかはまだ正式には決まっていないという。
「まだ正式には聞かされていません。この後行なわれる最終のミーティングで決まると思いますが、それまではまだ分かりません」
またレッドブルからの評価について尋ねると、佐藤は「毎回レポートは送らせていただき、定期的にコミュニケーションは取らせていただきました。最終ラウンドでようやく(一定の結果が出せた)、というところでしたが、あまり芳しくないシーズンだったので……」と多くを語らず。TEAM GOHの山本雅史は前半戦終了時点でのインタビューで、レッドブルのヘルムート・マルコが佐藤のリザルトを「厳しく言っています」と話していたが、後半戦でもその評価が劇的に変わった訳ではなさそうだ。
ただレッドブルとの関係如何にかかわらず、スーパーフォーミュラ継続参戦が叶えば佐藤のキャリアにとっても大きな意味を持つはず。注目のホンダ体制発表は12月12日(月)に行なわれる予定だ。
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