予算制限をクリアできないとクビになる! ハース代表、インフレによるコスト増も「やり遂げるのが私の仕事」
世界的なインフレにより、各F1チームは予算上限額を超えずにシーズンを戦い抜くことに苦慮している。その中でハースのギュンター・シュタイナー代表は「やりくりすることが自分の仕事」だとして、上限引き上げに否定的な姿勢を示した。
Guenther Steiner, Team Principal, Haas F1
Andy Hone / Motorsport Images
ハースでチーム代表を務めるギュンター・シュタイナーは、世界的なインフレにより輸送コストなどが急増しているものの、予算制限額を引き上げる訳にはいかないと考えている。
2021年シーズンからF1に導入された予算制限。導入2年目の2022年シーズンは1億4500万ドル(2022年6月現在のレートで約188億円)という予算制限が各チームにかけられているものの、世界的なインフレとロシアのウクライナ侵攻に伴うエネルギー価格の上昇などによって、レッドブルやフェラーリ、メルセデスといった規模の大きいF1チームとしては、制限内の予算で1シーズンを過ごすことがさらに厳しくなった。
メルセデスのトト・ウルフ代表曰く、輸送と電力のコストは昨年比で3倍近くまで跳ね上がっており、約1000万ドル(約13億円)のコスト増となっているという。レッドブルのクリスチャン・ホーナー代表は、上限を越えないためにレースを欠場する可能性さえあるとして、予算制限の引き上げを訴えている。
一方で、規模の比較的小さなチームとしては、資金力のあるチームとの差を縮めるチャンスであり、上限引き上げに反対するチームも少なくない。ハースのシュタイナー代表は、予算制限の導入により既に中団の競争は劇的に激しくなっているとして、ゆくゆくは現在ビッグチームが持つアドバンテージも薄れていくだろうと考えている。
「ごちゃ混ぜになっている。いつも言っていることだが、短期的には何も変わらない。しかし中長期的にはさらに接近していくと思う。しかしだからといって、予算上限を変更したり、増やしたりするべきじゃない。現在、中団争いにおいてこれは実に良いことなのだ」
「どのチームが”ベスト・オブ・ザ・レスト”になるのかは誰にも分からない。このまま予算制限とそのルールが続いていけば、ビッグチームにも接近できるだろうね」
「我々は皆、(予算制限内で)やりくりする必要があるんだ。もしボスに対して『シーズン終了まで辿り着けない』などと言ったら、私はクビになる。私の仕事はそういうモノだ。シーズンエンドまで辿り着かなければ、翌年の給与はない。だからやらなきゃならないんだ」
Mick Schumacher, Haas VF-22, and Kevin Magnussen, Haas VF-22, in the pit lane
Photo by: Andy Hone / Motorsport Images
「(仮にレッドブルが欠場となれば)他の9チームはとてもハッピーになるだろう。彼らは翌年の配当金をもらえないし、我々はそれを分け合えるからね。彼らが最後の4戦に来なければ、もちろんフェラーリは喜ぶだろうね」
「私の考える解決策としては、(予算制限対象外の)雇用を何らかの方法で創り出すことだ。ほとんどのチーム代表が同じ指示をしていると思うね」
ウルフとマクラーレンのアンドレアス・ザイドル代表は、現在の予算制限を維持しながらも輸送と電力のコストの上昇による予算オーバーを解消するために、一時的な上限緩和を設けるようロビー活動を行なっている。
F1の物流をフォーミュラ・ワン・マネージメント(FOM)が管理していることを考えると、この案にはシュタイナーも納得できるだろう。
「我々は輸送費を受け取るだけだ。昨年よりも300万ドル高くなるのであれば、輸送費における予算上限を300万ドル引き上げればいい。全てFOMが行なっていることだから、取り締まりも容易になるだろう」とザイドルは言う。
「FOM側から請求書が送られてくるから、『ああ、(想定より)多く支出があった』とは言えないのだ。全てにおいて透明性がある」
「そして来年、1キロ単価の輸送費が下がったら、また300万ドル引けばいい。監視も管理もとても簡単だ」
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