2024年以降の”F1パワーユニット”はより電気的に?「世界は急速に変化している」
F1は、2024年以降のパワーユニットをどうすべきか、その議論を推し進めている。その中でルノーは電化の方向に進んでいくことを求めている一方、メルセデスは現在の形を維持することを望んでいるようだ。
写真:: Mark Sutton / Motorsport Images
現在のF1は、V6ターボエンジンにハイブリッドシステムを搭載したいわゆる”パワーユニット”が動力源として使われている。この形は、2014年から採用され、2021年からは変更される予定になっていたが、少なくとも2024年までは使い続けることになりそうだ。そしてその後、2025年もしくは2026年から、新たな形式のパワーユニットに置き換えることが検討されている。
ルノーF1チームの代表であるシリル・アビテブールは、F1の次世代のパワーユニットについて、自動車メーカーにとって費用対効果の高いものでなければならないと主張する。
「これはあくまで私見だが、世界の変化を見ると、F1が取り残されてしまうかもしれないという大きな懸念がある」
アビテブールはそう語る。
「グレタ・トゥーンベリ(現在16歳のスウェーデン出身の環境活動家)の例を見て欲しい。そして、電化の進み具合もだ。今、人々が話していることは、6ヵ月前には考えもしなかっただろう。フェラーリだって、完全電動のクルマについて話をしている」
「世界は非常に早いペースで動いている。だから、市販車の業界に取り残されないようにする必要があるんだ。電化について考えれば、それが消えることはない」
「つまり、基本的に私はできる限りのことをしようとしているということだ。新しいパワーユニットに対して考慮すべきことを迅速に考えるよう、みんなに促しているんだ。それがどうあるべきか、どのように見えるべきか、そして費用感がどうあるべきかということについてね。そうした上で、とんでもない額を費やすことをやめるんだ」
「我々4つのメーカーは全て、とんでもない額を費やしている。そして、将来に向けた支出も同時に開始するんだ」
アビテブールは、新しいパワーユニットの形式について構築を進める間は、現在のエンジン開発を凍結し、開発への支出を制限する必要があると考えている。
「おそらくそのことは、ある時点で内燃機関への投資を減らし、電子部品の開発を増やすことを意味するだろう」
「もしかしたら、燃料電池など、新しいエネルギー源を検討することになるかもしれない。それはおそらく、F1の未来の姿ということになるだろう」
「現時点で我々は、エンジン開発の凍結を伴う計画を、構築する過程にある。1年に使うことができる仕様を削減することで、2026年には新しいパワーユニットに移行することができる」
「でも率直に言って、それは今から7年後のことだ。とても遠い未来のように感じる。私自身だけでなく、F1のコミュニティ全体を考えてもね」
一方でメルセデスF1のチーム代表であるトト・ウルフは、F1は現在のパワーユニットの効率を高めるべきだと主張する。しかし、長期的には変化が必要であることも認めた。
「コストの観点については、我々はFIAやリバティ・メディアとともに熱心に働いている。現在の形を維持するためにね」
そうウルフ代表は語る。
「現在のモノは、非常に効率的なハイブリッド・パワーユニットである。ただ、それを世界に発信するだけでは十分ではない」
「世界は常に進化している。何百万人もの人が、気候変動について抗議しているんだ」
「ダイムラーとしては、持続可能性(サスティナビリティ)はマーケティングツールよりも重要になっている」
「我々はパワーユニットのサプライヤーとして、自問自答しなければいけない。将来のF1エンジンのビジョンとは、一体何かということについてね」
「コストを念頭に置きながら、ハイブリッドのコンポーネントを拡大する必要がある。それが、我々が検討しているものだ。でも明らかに、追加のコストなしでは、簡単なことではない」
ウルフ代表はこの変更について、予定よりも早く行われる可能性があることを示唆した。
「他のサプライヤーも含めて全員が、2025年のエンジンの見通しと、それがどう見えるかということについて検討している」
「問題は、我々がそのスケジュールを早める必要があるかどうかということだ。世界は、これまで以上に早く進んでいる。これは、我々が議論しなければいけないことだ」
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