トヨタ、WRC実戦投入を断念した”GRヤリス”ベースの2021年仕様マシンを公開「このマシンは素晴らしいものだった」
トヨタが、2021年のWRC(世界ラリー選手権)に投入することを目指し開発が行なわれていた、GRヤリスベースのマシンを公開した。
写真:: Tom Howard
トヨタは、2021年のWRC(世界ラリー選手権)に投入予定だった、GRヤリスをベースとしたマシンをフィンランドのファクトリーで公開。過激なエアロパッケージを持つ姿が披露された。
トヨタは2021年のWRCに、2020年の東京オートサロンで公開されたGRヤリスをベースとした新型車両を投入することを計画。2020年の2月には、実走テストをスタートさせた。
【ギャラリー】開発が進められていた2021年仕様GRヤリスベースのWRCマシン
しかしその直後、新型コロナウイルスのパンデミックが発生したため、WRCはテスト禁止を決定。トヨタはこれを受け、このGRヤリスをベースをした車両の投入を諦め、2022年からのハイブリッドレギュレーション”ラリー1”規定マシンの開発にリソースを集中させた。そして従来モデルのマシンをアップデートし、2021年シーズンを戦うことを決めた。
このお蔵入りとなったGRヤリスをベースとしたWRCマシンが、フィンランドのファクトリーで初めて公開された。このマシンは過激なエアロパッケージを持ち、わずかな日数しかテスト走行を行なえなかったものの、すでに従来のマシンよりも速かったという。
「このマシンは素晴らしいモノだった。信じられないほどだ」
テクニカルディレクターのトム・ファウラーは、取材に訪れたメディアに対してそう語った。
「コロナウイルスの状況がなければ、2021年シーズンを走っていただろう」
「そんな状況下で、完全に新しいマシンの完全に新しいホモロゲーションを取得するのは、本当に実現不可能なことだった」
「2020年の半ばには、WRCは完全にテストが禁止された。我々は4日間テストを行なった後に、テスト禁止が発令された。そのマシンは、もう数ヵ月後に実戦投入することになっていたんだ」
「非常に複雑な状況だった。しかしその4日のテストを終えた段階で、すでにヤリスよりも速かった。このマシンはとても素晴らしかったので、実戦投入できないのはとても残念な状況だった」
ただファウラー曰く、このお蔵入りとなったGRヤリスをベースとしたマシンを開発したことは、全く無駄だったわけではないという。ここで学んだことの一部が、2022年仕様のラリー1規定のGRヤリスに活かされ、それが今季の好結果に繋がっているという。
「我々はこのマシンから、ラリー1規定に向けて多くのことを学んだ。学べることがいくつかあったんだ。情報の一部を使って、以前のWRCマシンをアップデートすることができたんだ」
「市販車とのパッケージとして開発することは、非常に多くのアドバンテージをもたらしてくれた。このマシンが実戦に出なかったことは、おそらくWRCにとっては良いことだっただろうね」
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