スーパーGT 富士合同テスト

つちやGRスープラのシェイクダウンは順調に終了。土屋武士監督、若き職人たちの意欲作で「親父と勝負」

スーパーGT富士テストで初登場した、HOPPY team TSUCHIYAのGRスープラ。若き職人たちが作り上げたマシンの“シェイクダウン”を終えて、土屋武士監督は「やって良かったと思っている」とコメントした。

戎井健一郎

編集: 2022/03/29 3:21

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#25 HOPPY Schatz GR Supra

 富士スピードウェイで2日間にかけて行なわれたスーパーGTの公式テスト。そこには、2週間前の岡山テストを欠席していたつちやエンジニアリング(HOPPY team TSUCHIYA)の新車両、25号車HOPPY Schatz GR Supraの姿があった。テスト初日が文字通りシェイクダウンになるという慌ただしいスケジュールではあったが、無事マシンを“転がす”ことができ、順調なテストになったようだ。

 MC 86での参戦を終えた後、昨年までGT3規定のポルシェ911 GT3Rを使用していたつちやエンジニアリング。しかし、ポルシェでの2シーズンは性能調整の影響もあってか苦しいレースが続いた。そして今季からは、GT300規定(かつてのJAF-GT)のGRスープラを自社製作して参戦することとなった。

 GRスープラの製作にあたり、陣頭指揮をとったのは31歳の木野竜之介エンジニア。土屋監督の父であり、つちやエンジニアリング創設者、故・土屋春雄氏の薫陶を受けた20代、30代の生え抜きスタッフたちが、ほぼイチから車両製作に取り掛かった。まさに「職人を育てる」というチームの信念に基づいたプロジェクトであり、土屋武士監督も基本的には「見守るだけ」。「普通チームには大ベテランがいるものですが、うちはクルマをイチから作った経験のないスタッフが自分たちでやっているので、お金がかかってしょうがない(笑)。彼らには『この後しっかり稼げよ』と言っています」と土屋監督は言う。

 “ホピ子2”との愛称がついた実際の車両を見せてもらうと、様々な箇所に創意工夫がなされている。フレームに関してはGT300クラスを戦うその他のスープラと共通だが、その他のパーツは全てオリジナル。カウルを「つちやMR2時代と同じ方にお願いした」以外は若き職人たちの手によって仕上げられた。

 各所にアルミ板やベニヤといった、いわゆるホームセンターで手に入るような素材が用いられているのも特徴。例えばリヤウイングの翼端板やディフューザーの両端も、遠目には気付きにくいものだが、軽くノックしてみるとベニヤの乾いた音がする。「ここ(ディフューザー両端)なんて、頻繁に壊れて飛んでいくところですからね」と土屋監督は話す。またミラー、ワイパー、ヘッドライトといった部品などは、オークションサイトで揃えたという。

#25 HOPPY Schatz GR Supra

#25 HOPPY Schatz GR Supra

#25 HOPPY Schatz GR Supra

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 そんな25号車スープラは、富士で無事シェイクダウンを完了。「クルマを作りたかった」と語る木野エンジニアも初日を終えて「今までも自分で“作った”クルマを転がしてきて、その延長線のイメージなので初めてという感覚はありませんが、思った通りに機能してくれるのは嬉しいですね」と頬をほころばせる。自分でコンセプトを決めてクルマを作り上げる。今や貴重となったそんな機会を心から楽しんでいる……そんな雰囲気が感じられた。

 シェイクダウンとなったテスト初日を終えて「ものすごく順調です」と語った土屋監督。若いスタッフたちの努力がこのような形でまずひとつ実ったことについては、次のように語った。

「すごく遠回りしていると思うけど、肥やしになっていると思いますし、将来意味を持たせてくれよ、という気持ちです。今日まではやって良かったと思っています。……これから『やっぱりやらなきゃ良かった』と思うかもしれませんけどね(笑)」

「レース生活長いですし、やっぱりこういうことをやりたいんですよ。僕はこれしか知らないので。やると決めたらとことんやる。そこは親父に負けていません」

「僕の中では、親父と勝負しているという感覚があります。勝たないと対等なところまでいけないから、勝つ、ぶっちぎる、チャンピオンを獲る……そこからかなと思っています」

「(スーパーGTは)そんなに甘くはない……でもやっぱり、どこかにはあるんです。開幕戦からとは言わなくても、1年目から(結果を残す)というのは捨て切っていません」

 つちやエンジニアリングの新たな挑戦は始まったばかりだ。

 

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