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F1

外国人記者が見る、ホンダF1”活動終了”「ホンダF1は、永遠に終了なのかもしれない」

10月2日に突如発表された、ホンダF1の2021年限りでの参戦終了。これについて、外国人記者は、どう見たのか? motorsport.comグローバル版のジョナサン・ノーブルの検証である。

Jonathan Noble

Jonathan Noble

編集: 2020/10/06 6:49

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Honda Motorhome

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 ホンダが、2021年限りでF1活動を終了することを発表した。

 ホンダは1964年に初めてF1に参戦し、その後1983〜1992年、2000〜2008年の参戦を経て、2015年からF1に復帰……第4期として活躍してきた。

 ホンダは、F1のみならず、様々なモータースポーツに積極的に関与してきた自動車メーカーである。そういう企業にとって、モータースポーツのトップカテゴリーで競争することのメリットは間違いなくあるはず……第5期の参戦があるのは間違いないと考えたくもなる。

 しかし今回ホンダが参戦を継続しないと決定したその理由を掘り下げてみると、状況が大きく異なる。今回の参戦終了により、ホンダはF1に対して、“永遠の別れ”を告げた可能性があるのだ。

 ホンダが今回F1参戦を終了させるのは、市販車の販売にもっと集中したいからではない。また、F1での競争力が劣っているからというわけでもない。さらに、新型コロナウイルスの影響により自動車の販売数が落ち込んだため、早急に支出を抑えなければならなくなったということでもない。

 今回ホンダがF1参戦を終了することを決めた理由、それは同社の上層部が、会社を長期的に存続させるために必要だとした、30年にもおよぶ戦略の一部である。ホンダは2050年までにカーボンニュートラル(二酸化炭素排出量ゼロ)を実現したいと考えており、その第一段階として、今後10年以内に、四輪自動車の全販売数の2/3を電気自動車にすることを目指している。

 オンラインでの記者会見に登場した本田技研工業の八郷隆弘社長は、「短期的な収益の関係ではなく、2030年に四輪車販売の2/3を電動化することを目指して技術者のリソースを振り分けるために、今回の決断をしました。新型コロナウイルスの影響ではありません」と発言している。

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Daniil Kvyat, AlphaTauri AT01

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Photo by: Mark Sutton / Motorsport Images

 カーボンニュートラルの世界を目指すという動きは、特に目新しいモノではない。ただ最近になって変化が生じたこと、それはそこに到達するための速度だ。

 ホンダとしては、このカーボンニュートラルの競争を勝ち抜くためには、そのためのインフラと技術の構築に全てのリソースを振り分ける必要があると考えているのだろう。

 八郷社長は、現在各自動車メーカーが直面している課題は、100年に1度のことだと語る。

「環境への取り組みはモビリティメーカーにとって最重要テーマのひとつとして捉えています。2011年には『自由な移動の喜び』と『豊かで持続可能な社会』の実現をビジョンに掲げ、地球環境に与える負荷をゼロにすることを目指し取り組みを進めてきました。このたび、Hondaはこの取り組みをさらに加速させ持続可能な社会を実現するために『2050年にカーボンニュートラルの実現』を目指すことを決意しました」

「本日の発表は『カーボンニュートラル実現』という新たな挑戦に向けた決意表明でもあります」

 現在のF1のパワーユニット技術は、自動車メーカーの関心を引きつけることを目的に導入されたモノだ。それは、ルノーがF1から撤退するのを阻止し、2015年からホンダが復帰することを実現したという意味で、機能したと言えるだろう。

 しかしこのパワーユニットの開発には、複雑なテクノロジーと、莫大なコストが必要。これは、どんな大きな企業にとっても、簡単なモノではなかった。そして今、ホンダはF1に勝つために必要なことを理解した……それ以上に開発費を注ぎ込むモチベーションは、もはやないのだろう。

 ホンダのような自動車メーカーにとっては、特に2030年や2050年といった具体的な目標が見えている場合、研究開発費と頭脳を、新たな市販車や技術の開発に振り分けた方が理に適っている。そのため同社は今年の初め、「先進パワーユニット・エネルギー研究所」を設立。将来に向けた動きを加速させていた。

 八郷社長は次のように語り、カーボンニュートラル実現に向けた挑戦への強い意志を示している。

「将来、カーボンニュートラルを実現するために、今回大きく舵を切り、この新たなパワーユニットとエネルギーの研究開発に経営資源を集中していきます。その一環として、今回F1で培ったエネルギーマネジメント技術や燃料技術、そして人材を先進パワーユニットとエネルギーの研究開発に振り向けることにしました。こうして、さらに強化した研究開発体制の下、先進パワーユニットとエネルギー技術の創造、そして、将来のカーボンニュートラル実現に集中して取り組んでいきます」

「F1では、優勝という目標を達成でき、一定の成果を得ることができました。その力をこれからは、パワーユニットとエネルギーのカーボンフリー化『カーボンニュートラル実現』という新しいフィールドでの革新に注ぎます。これはF1同様に大変難しいチャレンジであり、社会とともに取り組んでいくべき大きなチャレンジとなります」

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Masashi Yamamoto, General Manager, Honda Motorsport

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Photo by: Andy Hone / Motorsport Images

 ホンダが考えるカーボンニュートラルに関する開発方針は、F1が考える方向性とはまったくの別物であるように見える。おそらく彼らにとっては、F1では、達成したいと考えるメリットはほとんどないのだろう。事実、八郷社長は会見で、現在F1で使われ始めているバイオ燃料の技術や、フォーミュラEのような電気自動車のレースシリーズにも、今のところ興味を持っていない旨を明かした。

 とにかくホンダが今集中すべきは、2050年の目標を達成すること。F1で戦うことが魅力的かどうかは関係がない。したがってホンダが市販車部門で成功したとしても、今後30年間は、突然F1に復帰する必要性を見出す……その可能性が少ないということが考えられる。

 それは、八郷社長が会見で使った言葉にも現れている。1992年、ホンダはF1への関わりを「休止」すると発言。2008年には「撤退」という言葉を使った。しかし今回はF1活動を「終了」すると語った。

 この発言を見る限り、ホンダのF1活動は、これで本当に終わりを迎える可能性がある。そのメッセージは確かに明確だった。八郷社長は、次のように語っている。

「今回は2050年のカーボンニュートラル実現という目標に向けて判断したものです。(F1への)再参戦のことは考えていません。ただ、レースはホンダのDNAであり、今参戦しているレースには、熱い情熱を持ってそこに参加していきたいと思います」

「その一方で、環境への対応も、ホンダのDNAだと思います。F1で培った先進のPUとエネルギーも、ホンダのブランドの価値になっていくと思います。そういう意味で、先進パワーユニット・エネルギー研究所を設立し、そこから出る技術、商品で、他社とは違うモノを作っていきたいと思います」

「これはホンダの新たな挑戦です。できれば、それに向けてもご声援をいただければと思います」

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