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マクラーレンがウイリアムズ同様、チームの株式売却を検討する理由

先月、ウイリアムズがチームの株式売却を検討していることが明らかになった。そして先日、マクラーレンも株式を売却しようとしていることが分かった。歴史ある2チームに、一体何が起きているのか?

Carlos Sainz Jr., McLaren MCL35

Carlos Sainz Jr., McLaren MCL35

Steven Tee / Motorsport Images

 今年の5月、ウイリアムズはF1チームの株式を売却することを検討していることを発表した。そして先日、マクラーレンもチームの株式の一部を売却することを検討していることが明らかになった。

 ウイリアムズとマクラーレンは、F1の中でも素晴らしい歴史を持つチームである。そんなチームが危機的状況にあるということは、現在のF1の状態を示しているとも言える。新型コロナウイルスの感染拡大により各F1チームは財政的なダメージを受けたが、2チームはそれ以前に、不安定な状況へと向かいつつあった。

 これらの2チームは、チームの規模と必要経費が比較的大きいチームだ。しかしかつてはトップチームだった彼らも、近年は競争力が低下。そして獲得賞金額も減り、チームに直接的な影響を与えた。スポンサーにとっても、魅力的な投資先ではなくなりつつある。

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 また以前彼らが成功を収めた際には、大手自動車メーカーのワークスチームとしての参戦だった。しかし今ではワークスチームではなく、カスタマーパワーユニットを使うために、その代金を支払う立場である。

 アロウズやプロスト(リジェ)など、歴史あるチームの将来を奪ったのは、エンジンの使用料だった。プロストはチームの歴史上終盤、フェラーリとのエンジン供給契約を交わしていた。そして2001年には2800万ドル、翌年には3000万ドル、さらにその翌年には3200万ドルを支払う契約が結ばれた……しかしチームは倒産し、2002年シーズンに参戦することはできなかった。

 それからおよそ20年。今ではF1の活動予算におけるエンジンの供給コストが占める割合は小さくなった。しかしそれでもまだ、巨額であることは言うまでもない。

 マクラーレンはワークスチームへの復活を目指し、2015年からホンダ製パワーユニットを搭載した。しかしそのパートナーシップはうまくいかず、2017年限りで終了することになってしまう。ただ、マクラーレンと別れた後のホンダは、レッドブルと組み、成功を収めている。そうした状況は、マクラーレンの評価をさらに下げることになった。

 F1のモータースポーツ面のマネージングディレクターを務めるロス・ブラウンは最近、コース上でのパフォーマンスは、経済的影響に繋がると指摘した。

「実際にはF1はかなり残酷だ。コース上では2週間ごと、あるいは毎週(パフォーマンスが)測定される。今後数ヵ月で、この問題が発生するだろう」

 ブラウンはそうmotorsport.comに対して語った。

「隠れる場所はない。正直なところ、ここ数年のウイリアムズが記録したようにランキング最下位で終えれば、そういう結果が出るだろう。そして残念ながら、彼らはそういう点に達してしまった」

「誰がそのポジションに陥ったとしても、なぜパフォーマンスを発揮できなかったのか、ただ財政的な問題なのか、構造的な問題なのか、それともアプローチの問題であるのか、その理由を検証する必要があるはずだ。正直、そのどれが理由になっているのかは分からない」

「しかし、理解する必要がある。もし財政的な理由だけなのであれば、追加の財政的支援があれば、彼らは競争力を発揮できるかもしれない。何が起きているのか、それを理解しようとする人が必要なのだ」

 ブラウンは、結果に勝るモノはないと強調する。

「どちらもチームも、良いパフォーマンスを発揮することができなかった。マクラーレンがチャンピオンシップに勝っているのに、こういう状況に陥っていたのなら、F1に問題があると言えるだろう」

「しかし実際には、マクラーレンのパフォーマンスはここ数年かなり貧弱だった。だからF1はかなり残忍なのだ」

「F1は無料の乗り物ではないし、このレベルのパフォーマンスを数年間続けた場合、その代償を支払うことになり、スポンサーを失うことになる。そしてそれまで手にしていたような賞金も受け取ることができず、負のスパイラルに陥ってしまう」

「素晴らしいチームが立ち止まっていた場合、何が悪いのかを見極めなければいけない。でも実際には、何年もの間十分な成果を上げていない2つのチームを見ているのだ」

Lando Norris, McLaren MCL35

Lando Norris, McLaren MCL35

Photo by: Steven Tee / Motorsport Images

 マクラーレンが新たな出資元を探しているのは、そのパフォーマンスを取り戻すためだ。親会社であるマクラーレン・グループの主な収入源は、市販スーパーカーの売り上げである。しかし新型コロナウイルスの危機によりその販売数は低迷しており、財政面を健全に保つのは容易ではない。

 グループの総収入の20%を占めるレースチームは、新たな資金を必要としている。これが、F1チームの株式のみを売却することになった理由のひとつだ。

 なお2021年は、2022年から導入される予定の新たなテクニカルレギュレーションに向け、すべてのチームが大規模な開発プログラムに取り組む年となる。そのため、コース上での戦いはもちろん重要ではあるものの、コース外での業務もそれ以上に重要だ。そして遅れをとっている場合には、それを取り戻すチャンスであるとも言える。

 ただこの新テクニカルレギュレーションの導入は、新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、当初2021年から導入予定だったモノが1年延期された。ただ、予算上限の制限は2021年から適用されるため、すべてのチームが同じ開発費で新レギュレーションに沿ったマシンを開発することになる。

 ただ、2021年シーズンに予算上限額まで使ってしまっても大丈夫かどうか、そういう問題もある。言い換えれば、例えばマクラーレンであれば、F1の中で生き残り、参戦を続けていくだけではなく、資金面で平等に活動できる機会を活かし、競争力を取り戻すチャンスであるとも言えるのだ。

 そして結果を出すことができれば、当然賞金額も上がり、スポンサー収入の増加も期待できる。

Lando Norris, McLaren MCL34, leads Robert Kubica, Williams FW42

Lando Norris, McLaren MCL34, leads Robert Kubica, Williams FW42

Photo by: Sam Bloxham / Motorsport Images

 新型コロナウイルスの影響を受け、F1全体の財政状況が今後数年の間にどうなるのか、開催権料や放映権料、そしてスポンサー収入がどのように変わり、どう回復していくのかは、まだ見通せない状況である。

 しかしポジティブな兆候もある。予算上限策が導入されるのと同時に、新たに締結される予定のコンコルド協定では、F1全体の収入が、これまで以上に公平に各チームに分配されることが目指されている。

「これで、ほとんどのチームにとって持続可能なモデルが手に入ったと思う」

 ルノーのマネージングディレクターであるシリル・アビテブールは、motorsport.comに対してそう語った。

「それは少し遅いかもしれない。一部のチームは、それまでのシーズンでの借金を積み上げた状態で、その状況がもたらされるかもしれない」

「ウイリアムズのことだけを考えているわけではない。株式売却のニュースを発表したのは、ウイリアムズだった。しかし、他の多くのチームにも、それは当てはまると確信している。我々が話しているのは、チームがそれまでに抱えてきた遺産を、どう処理していくかということだ」

「将来を見据えれば、明らかに持続可能なモデルがある。スポンサーシップに関して合理的な仕事を行ない、パフォーマンスも合理的なモノである場合、予算上限と収益の間での見通しを持つことができるはずだ」

「これは枠組みの完全な変化だ。歴史的に巨額の損失を生み出してきた組織を、利益を生み出すことができる組織に変えることになるからだ」

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