レッドブル代表とメルセデス代表、F1最終戦を前に舌戦は一旦停止へ「リスペクトしているが、熱くなることもある」
F1サウジアラビアGP後にレッドブルとメルセデスの間では緊張が高まっていたが、最終戦を前に両者が会見に出席すると、一転してお互いを尊重した内容となった。
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FIA Pool
F1の2021年シーズンの戦いが、いよいよ最終戦を迎えている。今シーズンはマックス・フェルスタッペン(レッドブル)とルイス・ハミルトン(メルセデス)がホイール・トゥ・ホイールの激しい戦いを繰り広げ、チームやドライバーは互いに口撃を交わしてきた。
フレキシブルウイングの問題をはじめとした抗議や、クラッシュに関する裁定と抗議、コース外での争いは止むことがなく、カタールGPでレッドブルのクリスチャン・ホーナー代表は「これまでに経験した中で最も激しい政治的タイトル争い」と語っていたほどだ。
フェルスタッペンとハミルトンは最終戦アブダビGPを同ポイントで迎え、両陣営の緊張感はピークに達していると思われた。ただ、木曜日に行なわれた記者会見に双方のチーム代表が出席すると、それまでのような緊張した雰囲気ではなく、冷静に互いをリスペクトしている様子を見せた。
「幸運を祈る」
メルセデスのトト・ウルフ代表は、お互いにかける言葉を尋ねられた際、そう口にして右手を差し出した。
ホーナーは「最高のドライバー、最高のチームの勝利に」と返答し、ふたりは握手を交わした。
チーム代表のふたりは、今シーズンの争いが最終戦まで持ち越されたことに驚きを示している。ホーナー代表は「シーズン序盤に、誰がタイトル争いを決める”一手”をここに持って挑めると思っていただろうか?」と話した。なお、レッドブルがコンストラクターズタイトルを獲得するためには、28ポイント差を逆転する必要がある。
「この8年間、誰もメルセデスにここまで接近して挑めはしなかった。ここで最終戦に我々は、コンストラクターズタイトルにチャンスを残しているし、ドライバーズタイトルは全くの均衡状態だ。本当にエキサイティングだと思う」
「ここに同点で挑んでいるのは、もうちょっとした“イカゲーム“のような感覚だ。日曜は見ごたえのあるものになるだろう」
最終戦に向けては、インターネット上でそれぞれのチームのファンが過激な言動をとるようになってきていた。レッドブル代表とメルセデス代表の互いを尊重する方向に変わったような会見での様子は、過熱する周囲の言論に対する火消し役にもなったはずだ。
それぞれのチーム代表は「”友達”ではない」のだから、熱くなってしまうこともあると語っている。
「私は自チーム、そしてそのドライバーを間違いなく守る。それは自分が誰を代表としている存在なのか、誰を守るためにいるのかというモノに過ぎない」と、ホーナー代表は言う。
「私にとって、ここに座って、最大のライバルと笑顔を見せ合うことは、完全に”ニセモノ”だ。それは本質的なことではないし、誠実でもないだろう」
「もちろん、感情が爆発することもある。我々は競争するスポーツの世界に身を置いているんだ。それがF1というものだと思う。競争の激しさ、チーム間の激しさを示している。皆さん方(メディア)に書くモノも提供している」
「何よりも正直であることだと思う。私がここに座って、互いに好きだとか、レースが終わったら休暇に行こうと言っても、そんなものはウソでしかないだろう……まあ私はこのレースの後、休みには入らないわけだからね!」
一方のウルフ代表も次のようにコメント。激しい争いから、感情的になってしまうこともあると述べている。
「私もチームのためにある存在で、時には激しさを増すこともある。戦いはコース上のドライバー同士の争いだけではないからだ。それはレギュレーション面のアドバンテージであったりする。そして、当然我々には別の視点からのバイアスなどもかかる」
「私自身も、感情的になる瞬間がある」
「クリスチャンも言っていたように、自分なりの対処法があるが、人となりも違う。しかし、それがこのスポーツにおける最重要なトロフィーを巡る戦いだ。それが世界選手権だ」
「だからこそ、ドライバー間、チーム代表間で多くのお喋りをするようなことは期待できないんだ」
なお最終戦に向けては、レースディレクターのマイケル・マシからチームもドライバーもスポーツマンシップに則った行動をとること、そして違反にはポイント剥奪などの厳しい処分もありえると通達している。この点について、ホーナー代表はスチュワードのペナルティへの判断の一貫性が必要だと注文をつけている。
「誰もチャンピオンシップがグラベルで終わる姿や、スチュワードルームで終わったりするような事態は望んでいない」と、ホーナー代表。
「これまでホイール・トゥ・ホイールの戦いを繰り広げてきたトップドライバーふたりの対決を見たいものだ」
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