分析

F1 イギリスGP

フェルスタッペン、タイトル争い”脱落”で吹っ切れる? マクラーレン勢の新たな悩みの種になるか

F1イギリスGPは、マックス・フェルスタッペンの今季を要約したような結果だった。しかし、依然として彼がチャンピオンシップにおける重要な要素であることを示した。

Ronald Vording

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公開日時: 2025/07/13 8:49

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Lando Norris, McLaren, Max Verstappen, Red Bull Racing

写真:: Glenn Dunbar / LAT Images via Getty Images

 マックス・フェルスタッペン(レッドブル)にとってF1イギリスGPは、苦しいシーズンをそのまま要約したような週末となった。

 金曜日は苦戦したものの土曜日は素晴らしいアタックでポールポジションを獲得し、日曜日の決勝レースで厳しい現実を目の当たりにする……そんな流れだったのだ。

 メディアデーで再び将来についての質問に直面したことも、フェルスタッペンにとっては毎週のことだ。レッドブルのパフォーマンスが低迷し、ほかチームが万が一に期待する限り、フェルスタッペンの将来はパドックでの話題の中心であり続けるだろう。

「ひどいレースだった」

 ウエットコンディションのイギリスGPは、コンディションの影響でスペクタクルなレースだったが、5位となったフェルスタッペン自身はそうレースを振り返った。

■極端なセットアップはレッドブルの現状を示す

 レッドブルは金曜日に苦戦し、フェルスタッペンはいつものようにアンダーステアで、マシンのハンドリングを「信じられない」と評した。レッドブルの今季マシンRB21は極めて、マシンのスイートスポットが小さいマシンになっているようだ。

 まず天候の面では、RB21は暑いコンディションを好んでいない。オーストリアGPで浮き彫りとなったように、低速コーナーで苦戦してしまうのだ。そのためレッドブルがマクラーレンに対抗するためには、特定のコースレイアウトと気象条件が必要となってくる。

 昨年の段階で既に問題だったものの、レッドブルの2025年型マシンのセッティングの幅は依然として非常に狭いままだ。さらにシミュレーションと実走行データが一致しないことが多く、その結果金曜夜に大幅な変更を強いられている。これが、レッドブルが金曜日から土曜日にかけて最も大きな進歩を遂げる理由でもある。

 ときには、そのために極端な措置が必要になる。イギリスGPがその典型例だ。レッドブルはリヤウイングを薄い低ダウンフォース仕様にしたことで、フェルスタッペンがポールポジションを獲得した。この措置は、空気抵抗を削って最高速を伸ばそうというより、前後の荷重のバランスを取ろうとしたことによるものだった。

 これは予選では機能したものの、レースでは不利に働いた。フェラーリは高ダウンフォースセッティングを選び、マクラーレンはその中間を選んでいた。

 レッドブルは競争力を維持するために賭けを迫られているのだ。これは彼らがF1を支配していた時代とは対照的だ。2022年と2023年、レッドブルはスパ・フランコルシャンでグリッド上の他のチームよりもダウンフォースを増やす余裕があった。RB18とRB19は空力効率が極めて高かったため、ダウンフォースを増やして空気抵抗が増えても、直線区間でスピードを維持でき、中盤セクターでそのセットアップの強みを活かすことができた。

 わずか2年足らずで、そのセッティングを自由に調整する余地は完全に失われた。現在、レッドブルは競争に留まるためにリスクを冒さざるを得ず、シルバーストンはその現実を痛烈に浮き彫りにした。

Max Verstappen, Red Bull Racing

Foto door: Red Bull Content Pool

 ウエットコンディションでのダウンフォース不足に加え、フェルスタッペンがスピンしたこともあってポジションを落とし、トラフィックに巻き込まれる結果に。ただフェルスタッペンは、スピンがなくても単純に速さが足りなかったと強調した。

「周囲のドライバーよりも速くなかった。それが僕のペースで、単によくなかったんだ。(低ダウンフォース仕様の)リヤウイングは役に立たなかったが、ダウンフォースを増やしたとしてもマクラーレンと戦うことはできなかった」

 レッドブルはオーストリア〜イギリスの連戦で新しいフロアを投入したが、これは機能したものの、勢力図を逆転させるには不十分だと、フェルスタッペンは主張した。

 レッドブルのアドバイザーであるヘルムート・マルコは、白旗を挙げている。

「まだ開発中のパーツはあるが、それが十分でないことは明白だ。マクラーレンが優位であることを認めなければならない。今シーズン、彼らに近づくのは非常に困難だ」

■フェルスタッペンは依然としてタイトル争いの鍵。ただしこれまでと違う形で

 シーズンの折り返し地点でピアストリに69ポイントの差を付けられているため、フェルスタッペンのタイトル獲得の可能性はほぼ消え去った。

 レッドブルはベルギーGPでさらにアップデートを投入する予定だが、他のチーム同様、ファクトリーでの焦点は既に2026年に移っている。1ペース不足だけでなく、セットアップの幅の狭さやマクラーレンとのタイヤマネジメントの違いのため、勢力図を覆すのはほぼ不可能だ。

 その結果、フェルスタッペンは各レースの勝利や目立つ瞬間、例えばイギリスGPのポール獲得やイモラでのオスカー・ピアストリへのオーバーテイクなど、そういったモノを目標にすることしかできない。

 それでも、フェルスタッペンの存在はマクラーレン同士のタイトル争いにおいて重要な要素となるだろう。

 フェルスタッペン自身はチャンピオンシップ争いに直接関わっていないものの、今シーズンすでに4回のポールポジションを獲得している。マクラーレンのドライバーは、ほとんどのレースをフロントロウからスタートするフェルスタッペンと、レースの序盤で戦う必要があるのだ。そして今や、フェルスタッペンは失うものは何もない。レースでの勝利に全力を注ぎ、好きなだけ激しいディフェンスをすることができる。これは2021年以前の状況に似ていると言える。

 当時、レッドブルはタイトル候補ではなく、フェルスタッペンは純粋に勝利を目指して走っていた。彼はイギリスGP前にその心構えについて話していた。

「タイトル争いから外れたので、今はただ楽しんで戦おう」

 これが、フェルスタッペンとマクラーレン勢の戦いに新たな展開をもたらし、トラック上のバトルにも影響を与える可能性がある。

 タイトルが既に手の届かないものだと分かっている中で、フェルスタッペンはどれだけハードにバトルするだろうか。ペナルティポイントが嵩んでいることは、あまり影響しないだろう。

 出場停止にリーチがかかった状態だったフェルスタッペンだが、そのうち2ポイントは6月30日に失効している。とはいえ、たとえ1戦出場停止になったとしても、大して影響はない。コンストラクターズランキングも、角田裕毅が一気に復活しない限りは4位が限界だろう。そして先日、これまで長年にわたってチームを率いてきたクリスチャン・ホーナーがCEO兼チーム代表を解任されたことが、チーム内にどんな影響を及ぼすのか……フェルスタッペンの戦い方にも、大きく変化が加わるかもしれない。

 マクラーレンのドライバーたちは、フェルスタッペンに慎重に対応する必要がある。しかも、彼のレースは、これまでよりも大胆なモノとなるかもしれない。しかしマクラーレンとしては、チーム内でのポイント争いを考慮すると、過度に警戒することは避けなければならない。

 今後もマクラーレン勢にフェルスタッペンがプレッシャーをかけるという構図が続くだろう。しかし、フェルスタッペンがタイトル争いを繰り広げるのが難しくなったことで、その対立の次元が多少変化する可能性がある。

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