夢の女性F1ドライバーを目指して! カルデロン「SFでのチャンスを最大限に活かしたい」
アルファロメオF1チームの開発ドライバーであり、スーパーフォーミュラにも参戦するタチアナ・カルデロンが、オンラインインタビューでその思いを語った。

アルファロメオF1チームの開発ドライバーを務め、今季はThreeBond DragoCORSEから全日本スーパーフォーミュラ選手権にも参戦しているタチアナ・カルデロン。現在日本に滞在中の彼女が、オンラインインタビューで日本の記者の質問に答えた。
姉に連れられ、9歳の時に乗ったカートでレースの楽しさに目覚めたというカルデロン。母国コロンビアの英雄であるF1ドライバー、ファン・パブロ・モントーヤの活躍を目にしながら、シングルシーターのキャリアを歩んできた。
2016年から、GP3(現FIA F3選手権)に参戦。その翌年にザウバーF1チーム(現アルファロメオ)と開発ドライバー契約を結ぶと、2018年にはテスト・開発ドライバーへと昇格。2020年も引き続きアルファロメオで開発を担いながら、スーパーフォーミュラなどのレースに参戦している。
ザウバーと契約した時を振り返り、カルデロンは「夢がひとつ叶ったような気がした」と語った。
「F1チームのメンバーになるということは私の夢でしたので、夢が叶ったと言えると思います。そしてこの4年間チームと成長できていると思っております」
「今でもF1のマシンをドライブできているということが信じられない時もありますが、その機会を与えてくれたことに感謝しています。光栄な経験です。そして女性ドライバーとして参画できたことは誇りに思っています」
カルデロンは、男性ドライバーとは様々な違いがあると語り、女性ドライバーとして試行錯誤しながらキャリアを進めてきたと明かした。彼女曰く、マシンのセットアップやドライビングも男性ドライバーとは異なるのだという。
「F1への道は簡単なものでもスムーズなものでもありません。やはり厳しいトレーニングを積んでいかなくてはいけません」
「特に女性の身体は男性とは異なっています。モーターレーシングでは身体能力だけでなく、メンタル面も重要だとされてはいますが、女性の筋肉量は男性よりも30%少ないと言われていますから、女性特有のトレーニングをしなければなりませんでした」
「女性として、いろいろな形で適応する必要がありました。身体つきも違うので、色々と試行錯誤しながらやってきました」
「考え方や感情も男性と違いますし、ドライビングの仕方やマシンのセットアップも異なったものが必要です。エンジニアの方にそれを理解してもらうのも簡単なことではありません。しっかりと実力を証明し、リスペクトしてもらえるようにしていかなくてはいけません。高いレベルのレースに参戦し、勝つために活動をしているわけです。なので、新しいシリーズやチームに加わった時に、そうしたことを納得してもらうためのチャレンジが必要になります」
F1チームの一員になったとはいえ、『F1ドライバーになる』という彼女の夢は道半ば。さらに研鑽を積み重ね、F1のシートをつかみ取りたいと意気込んだ。
「3年前、メキシコで初めてF1マシンに乗ることができました。テストドライバーとして、私のために用意されたクルマだったので、コックピットに座った時に身体がぴったりハマるような感じでした。私のことを信じてくれて、機会を与えてくれたチームに感謝しています」
「F1ドライバーになるという目標に向けた道のりが長いものだということは理解しています。ただ最終的にはF1の正ドライバーに、できればアルファロメオのドライバーとしてF1に参戦できることを楽しみにしています」
彼女は自身のレース活動に加えて、FIAの『Women in Sports』コミッションのメンバーとして、女性のモータースポーツ参画にも積極的に携わっている。
その一環として、フェラーリのドライバー育成アカデミーとも連携し、今年からライジングスターという新たなプログラムも始動している。このライジングスター・プログラムには、日本のJuju(野田樹潤)も参加。残念ながら最終選考には残れなかったが、貴重な経験を積んだ。
「カートの段階から女性に機会を与えていくことがとても重要だと思います。より多くの女性が、モータースポーツは男性のみのスポーツではないということを知ること、見方を変えていくことをしなければならないと思います」
「3年前から、FIAの女性とスポーツ委員会のメンバーとして活動しております。今年は、ライジングスターというプログラムをスタートさせました。その結果、フェラーリのドライバーアカデミーに女性が参加し、優れた方々から学ぶ機会を実現させることができました。女性がより高いレベルで活動できるような働きかけをさらに進めていきたいと思っています」
また、女性ドライバーが競い合うフォーミュラシリーズ『Wシリーズ』が来年からF1のサポートレースとなったことも、大きなトピックと言える。しかしカルデロンは、自身はあまりWシリーズ参戦には興味がないと明かした。
「Wシリーズにはあまり関心がありません。というのも、モータースポーツは男性と女性が同じ土俵で競い合うことができる限られたスポーツだと思っているからです。メンタル面もそうですが、マシンを介して性別に関係なくベストを尽くして戦うことができるスポーツです」
「なので、女性だけのシリーズを設けるということに関しては、私は必ずしも賛同できているわけではありません。とは言っても、女性ドライバーの存在感を高めるという点において得るものがあると思うので、Wシリーズを見てインスピレーションを得た次世代が育っていくことにはつながると思います」
「最も優れたドライバーが集まって競い合うのがF1ですので、F1は男女両方が参戦できるレースであってほしいと私は思っています」
今季はさらなる成長を目指し、スーパーフォーミュラへの挑戦を決めたというカルデロン。その決断は大成功だったと感じているようだ。
「日本でレースを戦うということを決めたのは、人生の中でも最も優れた判断のひとつだと思っています。今年はコロナの影響もあって、誰にとっても大変な年になっています。私はF1ドライバーになりたいという夢を追いかけていきたいと思っています。そんなドライバーにとって、日本のスーパーフォーミュラは素晴らしいシリーズだと思っています」
「スーパーフォーミュラで良い成績を出すことができれば、アルファロメオにとってもF1のシートを私に与えるひとつのきっかけになりうると思っていますので、ここでの機会を最大限に活かせるように努力していきたいです」
スーパーフォーミュラは第5戦/第6戦を鈴鹿サーキットで12月5~6日に開催する予定であり、観戦チケットも発売中だ。しかし新型コロナウイルスの感染は再び拡大傾向にあり、不安定な状況は続いている。
カルデロンは状況が早く良くなり、ひとりでも多くの日本のファンに、自分のレースを観てもらいたいと語り、最後は勉強中だという日本語でインタビューを締めくくった。
「残念なことに、ファンの方々がレース観戦に訪れにくい状態が続いています。サーキットにみなさんがレースを観に来られるような日が早く来ることを願っています。私は日本が大好きなので、もっと多くの方に会いたいです。アリガトウゴザイマス」
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