F1 バーレーンGP

不安定な挙動をシミュレータ上で再現できない危機……苦戦するレッドブルは、解決策を見つけられるのか?

F1バーレーンGPの決勝レース終了後、レッドブルの首脳陣は、今回の戦いぶりを早急に検証するための会議を開いた。そこでの主な議題は、競争力の低下を止められるかどうかだった。

Stuart Codling Ronald Vording

編集: 2025/04/15 2:31

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Max Verstappen, Red Bull Racing

Max Verstappen, Red Bull Racing

写真:: Anadolu - Getty Images

 バーレーンGPの金曜日の夜、バーレーン・インターナショナル・サーキットでは、表彰台セレモニーの準備作業が行なわれていた。そして表彰台の背後に設置されている巨大スクリーンには煌びやかなグラフィックが次々に映し出された。その中には「マックスが今シーズン2勝目!」と叫ぶモノものあった。

 レッドブルの現在のパフォーマンスから判断すると、そのグラフィックが実際に使われるのは、しばらく先になるかもしれない。

 決勝レース直後、レッドブルのクリスチャン・ホーナー代表は、テクニカルディレクターのピエール・ワシェ、チーフエンジニアのポール・モナハン、そしてモータースポーツ・アドバイザーのヘルムート・マルコといったチームの幹部たちと、問題点を議論した。

 レッドブル昇格2戦目の角田裕毅は、チームの絶対的エースであるマックス・フェルスタッペンの3つ後ろの9位でフィニッシュした。他の日であったならば、その功績は大いに賞賛されるべきであろう。しかし今回の会議では、それずら議論に挙がらなかったと言われる。

 フェルスタッペンのフィニッシュは、勝ったオスカー・ピアストリ(マクラーレン)から30秒遅れの6位。「起こり得るあらゆる問題が起きた」とフェルスタッペンが語るほど、実に多くの問題に見舞われた。ブレーキトラブル、不安定なハンドリング、ピットストップ・システムの不具合などである。

Max Verstappen, Red Bull Racing

Max Verstappen, Red Bull Racing

Photo by: Bryn Lennon - Getty Images

 現行のグラウンド・エフェクトカーは、各チームの開発が成熟し切っており、さらなるパフォーマンスを見つけるのが難しくなっている。ピークのパフォーマンスを発揮するためには、路面の特性や天候の条件に大きく左右される度合いが大きくなっている。特に上位チームはそれが顕著だ。

 レッドブルのマシンもその典型例だ。マシンには特に厳しいとされる鈴鹿サーキットでは、涼しい気候の中レッドブルのマシンが十分な速さを見せた。しかし一転、灼熱のバーレーンではバランスを取るのに苦労し、パフォーマンスが著しく低下した。

 ブレーキの問題は素材の変更でも改善されず、ピットガントリーには配線に問題があり、作業が完了したことを示すシグナルがうまく作動せず、タイムロスに繋がった。

「最終的にはセットアップによってある程度は隠すことができる。先週末の鈴鹿では、それができた」

 ホーナー代表はバーレーンGP後にそう語った。

「しかし今回のレースでは、明らかにいくつかの落とし穴が露呈してしまった。早急に克服しなければいけない」

「問題点は理解している。解決策の導入には、もちろんもう少し時間がかかるけどね」

Yuki Tsunoda, Red Bull Racing

Yuki Tsunoda, Red Bull Racing

Photo by: Fadel Senna - AFP - Getty Images

 ホーナー代表は、現在抱えている問題を解決するのが難しい理由のひとつが、シミュレーションでマシンの状況を正確に再現できていないことであると認めている。角田もB21の実車を初めてドライブした時、シミュレータで感じたモノとは違っていたと発言している。

「ツールで確認できるものと、現時点でコース上で確認できるものとでは、解決策が一致していない」

 そうホーナー代表は語った。

「そこを突き止めなければいけない。サーキットで確認できているものが、なぜツールで確認できていないのだろうか」

「こういう断絶が生じてしまった場合には、それを解消しなければいけない。我々には強力な技術チームがいて、ここ数年で素晴らしいマシンを何台も生み出してきた。彼らがこの問題を解決してくれると確信している」

「しかし文字通り、ツールはコース上で我々が見ているモノを再現できていない。そうなると、まるでふたつの異なる時計で時間を確認しているようなモノなんだ」

 レッドブルにとって厳しいのは、今のF1は予算だけでなく、空力開発にかけられる”時間”も制限されているということだ。風洞実験やCFD(数値流体力学)に費やせる時間が限られているため、精度の高いシミュレーションを事前に行なっておく必要性が高まっている。

 予算も時間も限られている今、ただアイデアを出しまくって、どれがうまく働くか……という解決方法を採るのは不可能なのだ。

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