マクラーレンCEO、リカルドとの契約に早期”解除条項”の存在を示唆……後任最有力は誰に？

　マクラーレンのダニエル・リカルドは2023年末までチームと契約を結んでいるものの、早期の契約解除が噂されている。その中でマクラーレンのザク・ブラウンCEOは、リカルドとのドライバー契約には早期契約終了の仕組みがあると示唆している。 

　ブラウンは先週、リカルドがチームの期待に十分応えられていないとコメント。ブラウンの不満に対して、リカルドは自身とチームが望む結果を出せていないことを認めた上で、2023年末までチームに残留できるよう最善を尽くすと語っていた。 

　しかし、チーム側から2023年末の契約満了を待たずに放出を行なうことが契約上可能なら、リカルドのマクラーレンでの将来は約束されていないこととなる。 

　契約を早期に打ち切る場合における、ドライバー側またはチーム側の契約破棄条項は存在するかと尋ねられたブラウンは、次のように答えた。 

「契約について立ち入った話をするつもりはないが、我々がお互いに義務を負うメカニズムもあれば、そうではないメカニズムもある」 

「ダニエルとはそのことで話をした。我々はお互いに望んでいる結果を手にしていないが、お互いがこれからもプッシュし続けていく」 

「（昨年）彼がモンツァで示した通り、彼はレースで勝てる存在だ。我々としてもマシンを開発していく必要がある。今のマシンにはレースで勝てる性能がない」 

「だが我々としては、彼がもっと上のグリッドにいるのを見たいのだ。そしてどう改善していくか、彼がどうしたいかを見ていくことになる。（若手ドライバーの）テストプログラムも活発化しているが、我々は急いでいない」 

Arrow McLaren SP driver Pato o' Ward on the McLaren pit wall

Photo by: Mark Sutton / Motorsport Images

　ではリカルドの後任候補リストには誰の名前が載っているのだろうか？

　その一番上には、インディカー・シリーズをアロー・マクラーレンSPから戦う若手のパトリシオ・オワードの名前があるはずだ。

　オワードはメキシコ出身の23歳。レッドブルジュニア時代の2019年にはTEAM MUGENからスーパーフォーミュラにも出場している。

　2020年からはマクラーレンSPからインディカーにフル参戦を果たし、昨年はシリーズ初優勝を含め2勝を挙げドライバーズランキング3位。今シーズンもアラバマで既に勝利を挙げており、モナコGPと同じ週末に行なわれるインディ500では7番手で決勝レースをスタートする。

　マクラーレンが若手をF1チームに招き入れるリスクを負うのであれば、彼がリカルドの後任候補の最有力として挙げられるだろう。

　2022年からリカルドの後任としてオワードをF1チームで走らせるのは時期尚早とも思われるかもしれないが、昨シーズン終了後にアブダビで行なわれた若手ドライバーテストにマクラーレンから参加。さらに今シーズン後半にもF1マシンを走らせる予定となっている。 

「契約済みのテストドライバーがふたりいる」とブラウンは言う。 

「パト（オワードの愛称）は間違いなく、そのひとりと言える。彼はアブダビでも彼は非常に良い仕事をした」 

「インディカーのスケジュールは過密なのは知っての通りだが、今年の終わりに彼がどちらか1台に乗っていてもおかしくない」 

　そのオワードは以前からF1転向を目指しているが、年齢的な問題でその道が絶たれるまではあと2〜3年しかないと考えている。 

「年齢的な問題で、期限はあると思う」とオワードは言う。 

「25歳とか26歳になってしまったら、その窓はかなり閉ざされる。だからチャンスが来たら、それを掴むんだ。そうだろう？」 

「僕がレーシングドライバーになりたいと夢みたのはF1がキッカケだ。それは決して忘れることのない、僕の一部だ。僕の心をこんな別世界に開いてくれたんだ」