レーシングポイントが控訴を取り下げたのは驚き? マクラーレンCEO主張
マクラーレン・レーシングのザク・ブラウンCEOは、レーシングポイントが今季マシンのブレーキダクトを”コピー”とした判決への控訴を取り下げたことについて、「驚いた」と語る。
マクラーレンのCEOであるザク・ブラウンは、レーシングポイントのオーナーであるローレンス・ストロールが”ピンクメルセデス”騒動に関する控訴を取り下げたことについて「驚いた」と語った。
今季躍進を遂げているレーシングポイント。しかし彼らのマシンは昨年型のメルセデスF1マシン”W10”に酷似しているとプレシーズンテストの際から指摘され、”ピンクメルセデス”と揶揄されたりもした。レギュレーションで許されていない手法……つまり他チームのマシンをコピーしたのではないかと疑われたが、実際にそれに抗議を起こすチームはなかった。
ただルノーは、レーシングポイントのマシンのブレーキダクトが、W10のそれに酷似しているとして、FIAに対して正式に抗議。FIAもこの訴えを認め、コンストラクターズポイント15の剥奪と40万ユーロ(約5000万円)の罰金という処分を言い渡した。ただ問題のブレーキダクトは、そのまま使い続けることが許された。
これについてルノー、マクラーレン 、ウイリアムズ、フェラーリなどは、罰則が甘すぎるとして控訴。またレーシングポイントは変わらず無罪を主張し続け、やはり抗議を提出した。この際、レーシングポイントのチームオーナーであるローレンス・ストロールは、チームが公開した動画の中で、怒りに満ちた表情で無罪を訴えた。
「私は公の場で話すことはあまりない。しかし、我々が秘密裏に不正を行なったというあらゆる話に、非常に怒っている」
そうストロールは語っていた。
「特に、ライバルのチームから寄せられたコメントについてだ」
「私は自分の人生の中で、誰かを騙したことはない。こういった非難は受け入れられるモノではなく、真実でもない」
「私の誠実さ、チームの誠実さは、疑いの余地はない。レーシングポイントの全員がFIAの判決にショックを受け、失望し、我々が無罪であるという主張を持ち続けている」
しかしレーシングポイントは最終的に、当初提出していた抗議を取り下げる決定を下した。
マクラーレンも、レーシングポイントに関する判決が下された後、FIAが他チームのマシンからコピーできるものとできないものをレギュレーションによって細かく規定することを推し進めていくことに合意したことで抗議を撤回。しかしその一方で、レーシングポイントが抗議を取り下げたのは「驚きだ」と語った。
「彼らが抗議を取り下げたのには驚いた。彼らはその抗議をすることで、不正行為をしたという彼らの汚名を返上しようと思っていたからだ」
そうブラウンは語った。
「でも彼らは抗議を取り下げた。それは大きな変化だ。このことは、彼らが主張していたこととは矛盾している」
ブラウンCEO曰く、コピーすることがF1の標準になることを避けるべく、FIAがレギュレーションの変更を約束したことに満足していると語った。
「それは非常に重要なことだ。そして彼らが迅速に対応し、真剣に取り組んでいるのは嬉しい」
「誰もが抱えていた問題、それは、ルールやこのスポーツの精神に反することが行なわれていたということだった」
「だからもしルールに抜け穴があったのなら、それを塞いで、その抜け穴によってチーム間の格差が広がらないようにしようということが目指された。FIAは、これまで目にしてきたことを気に入っていなかったのだろうと思う。その方向に進むのは良いことだ」
レーシングポイントの一件以降、マクラーレンはライバルチームのデザインをコピーすることについて、一貫して否定的な立場を保ってきた。しかし彼らは、先日行なわれたトスカーナGPにメルセデスのデザインに酷似した新型ノーズを持ち込み、そしてロシアGPでは実戦投入してみせた。これは、彼らの主張に反しているようにも感じる。
マクラーレンは、自らが反対してきたライバルチームのデザインを模倣する手法をなぜ採ったのか? ブラウンCEOは次のように説明する。
「まずひとつ目は、あれはあくまで実験的なノーズだということだ。そしてふたつ目は、マクラーレンで行なう全てのことは、自分たちでデザインし、そして自分たちで製造するということだ」
「他のチームのモノからインスピレーションを受け、彼らがそこで何をしているのか……それを学ぶ方法については、誰もが話していると思う。結局のところ、それはマシンの話ではなく、ノーズについての話だ。そのノーズについての設計図は、1000万枚以上あるよ」
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