フェルスタッペンやライコネンは、F1デビューできていなかったはず……マクラーレンCEO、スーパーライセンスシステムの改善を求める
マクラーレン・レーシングのCEOであるザク・ブラウンは、コルトン・ハータがスーパーライセンスを獲得に苦労していることを受け、「フェルスタッペンもライコネンも、スーパーライセンスを取れなかったはず」と同システムを改善するべきだと主張している。
写真:: LAT Images
レッドブル・グループは、来季のアルファタウリのドライバーとして、今季はインディカーに参戦したコルトン・ハータを起用することを目指した。しかし特例でのスーパーライセンスを取得することは難しい状況であり、レッドブル陣営もハータの獲得を諦めたものとみられている。
マクラーレン・レーシングのCEOであるザク・ブラウンは、ハータがスーパーライセンス獲得に苦しんでいることを受け、スーパーライセンスのシステムは改善する必要があると主張。現状のシステムでは、マックス・フェルスタッペンやキミ・ライコネンは、F1にデビューすらできなかったはずだと語った。
アルピーヌは、来季のドライバー候補として考えていたフェルナンド・アロンソを失い、その後任としてリザーブドライバーのオスカー・ピアストリを起用しようとしたが、これも失敗に終わった。
その後アルピーヌが獲得を狙っているのは、現アルファタウリのピエール・ガスリーだと言われている。ガスリーはすでにレッドブル/アルファタウリとの契約を結んでおり、当初これは不可能な話だとみられていた。しかしレッドブル側は、ガスリー放出の可能性を徐々に匂わせるようになった。
ただガスリーを放出するためには、ひとつの条件があった。それが、インディカーに参戦中のハータを、ガスリーの後任として獲得することだった。しかしハータは、F1参戦に必要なスーパーライセンスを取得する際に必要なスーパーライセンスポイント40のうち32しか獲得できていない。そのため、来季F1に参戦するには、特例でスーパーライセンスの発給を受けるしかなかった。
ただF1ライバルチームもFIAもこれには否定的な見方を示し、レッドブルもハータを起用することを諦めたと伝えられている。
そんな中でもハータは、プライベートテストでマクラーレンのF1マシンを走らせる予定。そして同チームのCEOであるザク・ブラウンは、インディカーはFIAに過小評価されていると感じており、その発給要件を見直すべきだと考えている。
現在はFIA F2とインディカーのチャンピオンは、いずれもスーパーライセンスポイントを獲得することができる。しかしFIA F2はランキング3位までスーパーライセンスポイント40を獲得できるのに対し、インディカーは2位30、3位20と、配点が少ないのだ。
「ライセンスシステム全体を見直す必要があると思う」
ラグナ・セカで行なわれたインディカー・シリーズの2022年最終戦の現場で、ブラウンCEOはそう語った。
「ルールはルールであり、それを破るべきではないということは理解している。ただ、それは現在実施されているルールというだけで、それが正しい内容なのかということには疑問を抱いている」
「コルトンやパト(パトリシオ・オワード)はもちろん、その他インディカーにいるドライバーの半分が、F1で戦う能力を備えている」
「多くのインディカーのレースで勝利したコルトンのような人物にスーパーライセンスの資格がない場合、スーパーライセンスのシステムを見直す必要があると思う」
ブラウンCEOは、F1のワールドチャンピオンまでたどり着いたマックス・フェルスタッペンとキミ・ライコネンは、いずれも現在のFIA F2と同格のカテゴリーに参戦することなく、若くしてF1デビューを果たした。もし現在のシステムが当時導入されていれば、彼らはF1にデビューできなかっただろうと語る。
「マックス・フェルスタッペンに、当時スーパーライセンスを取得する資格があったとは思わない。キミ・ライコネンにも、スーパーライセンスを取得する資格があったと思わない」
そうブラウンCEOは語る。
「過去に遡って見てみると、今の環境ではスーパーライセンスを取れなかった世界チャンピオンが何人かいたはずだ」
現在のスーパーライセンスシステムは、フェルスタッペンが史上最年少でF1デビューを果たしたことにより、経験不足のドライバーがF1に参戦するのを避けるために設けられたシステムである。そのため、スーパーライセンスポイント40以上を獲得していればいいというわけではなく、普通自動車免許を取得していること、18歳以上であることなど、複数の条件が付け加えられている。
マクラーレンは来季のドライバーとして、ピアストリを起用することを決めた。しかしピアストリはまだアルピーヌとの契約が残っているため、マクラーレンでの仕事をシーズン中から行なうのは難しいと思われる。
ただ今季は全チームとも、シーズン中2回にわたって、ルーキードライバーを金曜日FP1で走らせることが義務化されているため、マクラーレンはハータをこのFP1で起用する可能性があるとみられる。また、アレックス・パロウやパトリシオ・オワードも、その候補であると考えられる。
「コルトンを排除するつもりはない。しかしアルファタウリを助けるということではなく、マクラーレンにとって最善の形になるようにするだろう」
そうブラウンCEOは続けた。
「誰を投入するかは、コースの知識をどれだけ持っているかということも重要だ。メキシコは明らかに、パトに向いたシナリオになるだろう」
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