F1

生まれてはじめて「レースをしたくない」と思った……ユベールの事故死が、F1王者ベッテルの“レース観”に与えた影響

セバスチャン・ベッテルは、2019年に起きたアントワーヌ・ユベールの死亡事故が、自身にどれほど深い影響を与えたかを明かした。

Fabien Gaillard

公開日時: 2026/07/15 2:35

Copy link

Facebookでシェアする

Twitterでシェアする

WhatsAppでシェア

Linkedinでシェアする

Pinterestでシェアする

Viberでシェア

Google検索でmotorsport.comをお気に入り登録

Sebastian Vettel, Ferrari

 2019年F1ベルギーGP。併催されたF2のフィーチャーレースでは、序盤の多重クラッシュによりアントワーヌ・ユベールが命を落とすという悲劇が起きた。当時フェラーリのF1ドライバーだったセバスチャン・ベッテルが、この事故が自身に与えた影響について語った。

 ベルギーGP土曜日の予選でベッテルは、チームメイトのシャルル・ルクレールと共にフロントロウを獲得。メルセデス勢を抑え込むことに成功した。F2のレースが始まったのは、その後のことだった。

 そこで起きた出来事は誰もが知っている。ラディオンの頂上で連鎖的なアクシデントが発生し、バリアにヒットして跳ね返ったユベールのマシンに、ファン・マヌエル・コレアが避けきれず激突。コクピット付近に大きな衝撃を受けたユベールは命を落とし、重い沈黙がパドック全体を包み込んだ。

 翌日、ユベールの追悼が行なわれた後、F1のレースは予定通り実施された。ルクレールはメルセデスのルイス・ハミルトンを抑え切って感動のF1初優勝。一方4位に終わったベッテルのレースは人々の記憶にほとんど残っていないが、彼はニューヨーク・タイムズ紙に寄稿したコラムの中で、キャリアで初めてレース出走を躊躇ったことを明かした。

 当時の心境について、彼はこう綴っている。

「何かが壊れたり、プッシュし過ぎたりして、コントロールを失ったことは何度もあった」

「僕も数多くのクラッシュを経験してきた。クラッシュは一瞬の出来事だが、その瞬間には時間がゆっくり流れるように感じる。そして、スピードを追い求めた結果の厳しい現実を理解し始めるんだ。クラッシュの凄まじい衝撃は、自分がどれほど危険なものを扱っているかを思い知らせてくれるが、それでも僕はレースを続けてきた」

「20年以上にわたるレース人生で一度だけ、再びマシンに乗ることを真剣にためらったことがあった。それが2019年8月のベルギーGPだった。若手のフランス人ドライバー、アントワーヌ・ユベールがレース中の事故で22歳で亡くなった」

「自分も何度も事故を経験してきたが、幸いなことにどれも軽傷で済んだ。他のドライバーのクラッシュも見てきたが、同様だった。しかし彼はまだまだこれからの人生だったのに、その人生が皆が見守る中で突然終わってしまった」

「僕は妻のハンナに電話をして、『明日はレースをしたくない』と伝えた。その夜はほとんど眠れなかったけど、最終的にはレースに出場することを決めた」

 ベッテルは当時32歳だったが、この出来事が自身のレース観を変えることになったという。

「あの週末の後、僕は自分がやっている競技に対して違った見方をするようになった。そのことを本当に理解したのは引退後だったが」

「僕はスピードそのものを恐れたことはない。しかし今では、ただ体感するだけではなく、そのスピードを客観的に見ることができるようになった」

「それまで感じたことのなかった責任感を抱くようになった。スピードや進歩、イノベーションというものは、それが我々を正しい方向へ導くものであってこそ価値があるのだと理解するようになった」

関連ニュース:

【PR】2026年のF1™を見るならFOD。至極の体験『F1® TV』連携プランも!

【PR】2026年のF1™を見るならFOD。至極の体験『F1® TV』連携プランも!

 

あなたの意見が聞きたい!

Motorsport.comで何を見たいですか?

5分間のアンケートにご協力ください。

- Motorsport.comチーム

関連ニュース :

記事をシェアもしくは保存

Copy link

Facebookでシェアする

Twitterでシェアする

WhatsAppでシェア

Linkedinでシェアする

Pinterestでシェアする

Viberでシェア

前の記事 メルセデス、パフォーマンス重視の姿勢は変わらず「本来なら9戦9勝だったはず。でも遅くて信頼性が高いマシンよりマシ」

次の記事 ローソン、同郷レジェンドが走らせたフォードGT40をグッドウッドでドライブ「特別な体験だった」

More from

Fabien Gaillard



ポール獲得ガスリー、決勝は7位でガッカリ? いえいえ、これが現実「ポジティブな収穫がたくさんあったよ」

F1

F1

イタリアGP

21 日前

ポール獲得ガスリー、決勝は7位でガッカリ? いえいえ、これが現実「ポジティブな収穫がたくさんあったよ」



アドバイスが裏目に? ルクレール、親友ガスリーに授けた助言を笑顔で後悔「まさかポールを争うことになるとは」

F1

F1

イタリアGP

22 日前

アドバイスが裏目に? ルクレール、親友ガスリーに授けた助言を笑顔で後悔「まさかポールを争うことになるとは」



角田裕毅、次戦スペインGPにも参戦か? ハジャーの復帰にはまだ時間がかかる見込み……レッドブル代表証言「最優先は彼が100%回復すること」

F1

F1

スペインGP

24 日前

角田裕毅、次戦スペインGPにも参戦か? ハジャーの復帰にはまだ時間がかかる見込み……レッドブル代表証言「最優先は彼が100%回復すること」

More from

アントワーヌ ユベール



共にF1を夢見た亡き親友のために……ガスリー、新天地アルピーヌでの成功誓う「移籍時、真っ先にユベールのことを思った」

F1

F1 2023/01/26

共にF1を夢見た亡き親友のために……ガスリー、新天地アルピーヌでの成功誓う「移籍時、真っ先にユベールのことを思った」



今もまだ受け入れられない……親友ユベールの死に、今も苦しむガスリー

F1

F1

ベルギーGP

2020/08/28

今もまだ受け入れられない……親友ユベールの死に、今も苦しむガスリー



FIA、ユベール死亡事故の調査結果を発表。複数要因により重大性が上がったと結論

FIA F2

FIA F2 2020/02/08

FIA、ユベール死亡事故の調査結果を発表。複数要因により重大性が上がったと結論

最新ニュース



負傷についてついに口を開いたハジャー「次ボクシングするなら、もうちょっと頭を使って戦いたい!」

F1

F1 F1

アゼルバイジャンGP

19 分前

負傷についてついに口を開いたハジャー「次ボクシングするなら、もうちょっと頭を使って戦いたい!」



グランツーリスモに収録決定! スポーツランドSUGOってどんなコース? フラガ&利徠斗が解説……実装前に難所を予習しよう

スーパーフォーミュラ

SF スーパーフォーミュラ 1 時間前

グランツーリスモに収録決定! スポーツランドSUGOってどんなコース? フラガ&利徠斗が解説……実装前に難所を予習しよう



ホンダMotoGP、レッドブルが3年ぶりスポンサー復帰へ。新加入クアルタラロはモンスターと離縁

MotoGP

MGP MotoGP 2 時間前

ホンダMotoGP、レッドブルが3年ぶりスポンサー復帰へ。新加入クアルタラロはモンスターと離縁



留まる所を知らぬF1人気。マクラーレンが売上10億ドル突破? 海外報道される

F1

F1 F1

アゼルバイジャンGP

6 時間前

留まる所を知らぬF1人気。マクラーレンが売上10億ドル突破? 海外報道される

Subscribe and access Motorsport.com with your ad-blocker.

フォーミュラ 1 から MotoGP まで、私たちはパドックから直接報告します。あなたと同じように私たちのスポーツが大好きだからです。 専門的なジャーナリズムを提供し続けるために、当社のウェブサイトでは広告を使用しています。 それでも、広告なしのウェブサイトをお楽しみいただき、引き続き広告ブロッカーをご利用いただける機会を提供したいと考えています。

次の 2 つのオプションがあります。

購読中 すでに購読していますか? ここからサインインします

広告ブロッカーを無効にしましたか?
ページをリロード

お知らせの管理

登録