F1ドライバーをNBAスター選手に例えてみた。日本バスケ界の至宝・八村塁はF1で言うなら誰? 角田裕毅と共通点のあるNBA選手は?
モータースポーツの最高峰、F1で戦う男たち……彼らを米国・バスケットボールの最高峰、NBAのスタープレイヤーに例えるなら、一体誰になるだろうか?
写真:: Martin Keep / AFP via Getty Images
近年、世界的な人気が高まっているF1。特にアメリカ市場での人気が爆発的な伸びを見せていることで知られる。
そのアメリカ(北米)には4大プロスポーツリーグが存在し、世界中のファンに愛されている。その中のひとつ、バスケットボールのNBAは、F1と競技としての直接的な共通点はないにしても、スター選手の個性や集団における序列などが意外なほどよく当てはまる。絶対的な王者、ついに日の目を見た苦労人、輝かしい未来が約束された若手……これらはF1のグリッドにもNBAのコートにも存在する。
両スポーツのファンであれば、完璧な比較などあり得ないことは分かりきっているだろうが、本稿ではF1ドライバーをNBA選手に例えるならば誰になるのか、いくつかピックアップした。
際立つ才能
アンドレア・キミ・アントネッリ(メルセデス)——クーパー・フラッグ(ダラス・マーベリックス)
Andrea Kimi Antonelli, Mercedes
Photo by: Artur Widak / NurPhoto via Getty Images
F1参戦2年目ながら、今季は連勝を記録して19歳にして最年少ポイントリーダーに立つなど、既に歴史に名を刻み始めているアンドレア・キミ・アントネッリ。そんなアントネッリは、同じく19歳のクーパー・フラッグに例えることができる。
フラッグもデビュー前からアントネッリ同様に圧倒的な逸材として注目を集め、当然の如くNBAドラフトの全体1位でマーベリックスに指名された。恵まれた身体能力を持つ彼は今季がルーキーイヤーだがその成績は際立っており、史上最年少で50得点を記録したという点もアントネッリを想起させる。今季新人が豊作とされた中でも、ルーキーオブザイヤーの最終候補に残っている。
アントネッリとフラッグに対する世間の注目は「次にどんな記録を破るか」に向けられている。彼らの才能は明白であり、チャンピオンとなるのも時間の問題か。
ついに“主役”に
ジョージ・ラッセル(メルセデス)——ジェイレン・ブラウン(ボストン・セルティックス)
George Russell, Mercedes
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ジョージ・ラッセルはデビュー時からその才能を高く評価されており、確かな実績を残してきたが、話題の中心になることは少なかった。デビューから3年は弱小ウイリアムズでほとんどのレースを下位で走っていたし、メルセデス加入後も度々勝利を挙げながらも、タイトルの候補にはなれなかった。
そんなキャリアはセルティックスのジェイレン・ブラウンと近いものがある。ブラウンはそのオールラウンドさを武器に名門セルティックスで主力として活躍してきたが、コート内では1年後輩のエース、ジェイソン・テイタムに次ぐ“セカンドオプション”に甘んじることが多かった。
しかし今季は、どちらも主役としてスポットライトを浴びることになった。ラッセルはF1新規則元年の今季にメルセデスが好調なスタートダッシュを切ったこともあり、チャンピオン最有力候補と言われている。そしてブラウンは、怪我で長期離脱したテイタムに代わってエースとしてチームを牽引。テイタム抜きのセルティックスは上位争いは厳しいという声もあったが、見事イースタン・カンファレンスの第2シード(レギュラーシーズン2位)でプレイオフに進んだ。
現役最強
マックス・フェルスタッペン(レッドブル)——ニコラ・ヨキッチ(デンバー・ナゲッツ)
Max Verstappen, Red Bull Racing
Photo by: Mark Thompson / Getty Images
近年のF1とNBAで、それぞれ圧倒的な活躍を見せてきたのが、マックス・フェルスタッペンとニコラ・ヨキッチだ。
4度のF1王者であるフェルスタッペンは、勝てるマシンを与えられれば勝利を逃すことはほとんどなく、完璧な走りで淡々とチェッカーまでマシンを走らせる。2023年には22戦中19勝という前人未踏の大記録を打ち立てたことも記憶に新しい。
NBAで3度のMVPに輝いたヨキッチも同じく、派手さはなくとも淡々としたプレーでコートを支配する。今季リバウンド王とアシスト王を同時受賞するという快挙を成し遂げたことは、彼が“ポイントセンター”(長身のセンターながらポイントガードのようなパススキルを持ち合わせた選手)という新たなジャンルにおいて究極の領域に達したことを示している。
あと一歩支配力が欲しい
ランド・ノリス(マクラーレン)——ジェイソン・テイタム(ボストン・セルティックス)
Lando Norris, McLaren
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ランド・ノリスは昨年、キャリア7年目でついにワールドチャンピオンに輝き、今やF1を代表するトップドライバーのひとりだ。彼は圧倒的な速さを見せる時もあるが、その一方でここぞという時に隙を見せることもある。
2024年のNBA王者であるジェイソン・テイタムもそれに近いところがある。NBAを代表するスコアラーと評されるテイタムだが、安定感に欠くところがあると指摘されることもあり、セルティックスを優勝に導いた2024年のNBAファイナルでもシュートに波があり、ファイナルMVPを同僚のジェイレン・ブラウンに譲っている。
どちらも世代最高の選手であることには疑いの余地はなく、“史上最高”の領域に近付くにはあと一歩というところだ。
静かなるスター
オスカー・ピアストリ(マクラーレン)——カワイ・レナード(ロサンゼルス・クリッパーズ)
Oscar Piastri, McLaren
Photo by: Andy Hone/ LAT Images via Getty Images
オスカー・ピアストリは、参戦3年目の昨年にチャンピオンまであと一歩というところまで迫った。終盤戦こそやや取りこぼしが目立ったが、基本的には安定感があり、若くして冷静沈着な振る舞いで注目を集めた。
こういった要素は、若き日のカワイ・レナードを思い起こさせる。寡黙ながら、攻守ともに堅実かつ正確無比なプレーで勝利に貢献するレナードは、デビュー3年目にしてサンアントニオ・スパーズで優勝を経験してファイナルMVPに輝いた。
GOAT
ルイス・ハミルトン(フェラーリ)——レブロン・ジェームズ(ロサンゼルス・レイカーズ)
Lewis Hamilton, Ferrari
Photo by: Dom Gibbons / Formula 1 via Getty Images
F1とNBA、両スポーツで“GOAT”(史上最高の選手)の論争をする際、真っ先に名前が上がるのがルイス・ハミルトンとレブロン・ジェームズだ。デビュー時からスーパースターとして活躍してきた彼らは共に現在41歳だが、晩年に差し掛かってもなお輝きを放っている。
ハミルトンはF1の通算勝利数で歴代トップであり、タイトル獲得数もミハエル・シューマッハーに並んで歴代最多だ。レブロンも通算得点記録でトップに立っており、前人未踏のキャリア4万得点を突破している。
地元球団のクリーブランド・キャバリアーズ、そしてマイアミ・ヒートを王座に導いてきたレブロンは2018年に名門ロサンゼルス・レイカーズに移籍し、そこでもチャンピオンリングを獲得。これはハミルトンも似たような道筋を辿っており、マクラーレンとメルセデスでチャンピオンとなった後、キャリア終盤は名門フェラーリで新たなレガシーを築き上げようとしている。
王座に手が届いていない天才
シャルル・ルクレール(フェラーリ)——ルカ・ドンチッチ(ロサンゼルス・レイカーズ)
Charles Leclerc, Ferrari
Photo by: Ferrari
シャルル・ルクレールとルカ・ドンチッチ——彼らはモータースポーツ界とバスケットボール界において、誰もが認める天才である。しかしどちらもチーム体制が十分でなかったりと環境に恵まれなかった部分もあり、未だF1とNBAのチャンピオンには届いていない。
どちらもタイトルを獲得してキャリアに箔をつけたいところ。ルクレールとしては、今季メルセデスが強さを見せる中、2番手チームのフェラーリが強力なアップデートで戦闘力アップを果たせるかが鍵と言える。昨季NBA史にも残ると言われる超大型トレードでレイカーズに移籍したドンチッチにとっては、自身を含めた主力が健康体でプレーすることがまずは何より重要。現在はプレイオフ中だが、レイカーズはエースのドンチッチと2番手のオースティン・リーブスを共に怪我で欠いている。
日本版向け番外編
ここまでF1ドライバーをNBA選手に例えてきたわけだが、日本のF1ファン、NBAファンにとっては、「八村塁はF1ドライバーに例えると誰だろう?」「角田裕毅をNBA選手に例えるなら?」といった疑問が湧くのではないだろうか。そこで番外編として、motorsport.com日本版スタッフのチョイスで、八村と角田をそれぞれF1ドライバーとNBA選手になぞらえてみた。異論があればぜひ、SNS等でコメントいただきたい。
八村塁(ロサンゼルス・レイカーズ)——周冠宇(キャデラック・リザーブドライバー)
Zhou Guanyu, Stake F1 Team KICK Sauber
写真: Zak Mauger / Motorsport Images
現在レイカーズの主力として活躍する八村は、中国人ドライバーの周と共通点があるように思える。ふたりは日本のバスケットボール界、中国のモータースポーツ界における“パイオニア”と言えるからだ。
厳密には八村は、日本人初のNBA選手ではない。初めてNBAのコートに立ったのは田臥勇太で、次いで渡邊雄太がいる。八村は3人目だが、彼はNBAドラフトの1巡目上位で指名されると、ワシントン・ウィザーズ、レイカーズでいずれもスタメン主力で活躍。ミドルレンジやスリーポイントといった外角シュートの精度はNBA屈指と言われている。こんな活躍ができた日本人選手は誰もいなかった。
一方で周の母国中国も、長らく中国GPを開催しており同国にF1が根付いていなかったわけではなかったが、周が2022年にデビューするまではグランプリに出走するドライバーはなかなか出てこなかった。余談だが、日本でもNBAプレイヤーが誕生する前からNBAの公式戦が行なわれており、こういった背景も共通点のひとつだ。
アルファロメオ/ザウバーで3シーズンに渡って活躍した周は、下位チームでの参戦となったため目立った成績は残せなかったが、決して“ぽっと出”のままキャリアが終わったわけではなく、特に2024年は実力者のバルテリ・ボッタスにも引けを取らないパフォーマンスを見せた。そして2025年はフェラーリ、2026年はキャデラックのリザーブドライバーに指名され、今もF1パドックにとどまり続けている。
角田裕毅(レッドブル・リザーブドライバー)——河村勇輝(シカゴ・ブルズ)
Yuki Tsunoda, Red Bull Racing
写真: Sam Bloxham / LAT Images via Getty Images
日本人選手を日本人選手で例えるのは芸がないと言われるかもしれない。ただ、角田裕毅と河村勇輝には“ユウキ”という名前以外にもいくつか共通点がある。
ふたりはパーソナリティ的に特段似ているといった印象はないが、共に「低身長の愛されキャラ」だ。角田は同僚のドライバーたちから「一番面白いドライバー」として名前が挙がるほど、ひょうきんなキャラクターで通っていることがF1ファンにとってはお馴染みとなっている。
一方河村は下部リーグのGリーグとNBAを行き来する2way契約の選手ながら、既にその華麗なパスやスピードで多くの現地ファンを魅了しており、NBA公式のYouTubeでも「ユウキ・カワムラはハイライトマシーンだ!」と題したハイライト動画がアップされるなど、おおよそ2way契約選手とは思えないほどフィーチャーされている。チームメイトとの会話ではアメリカ英語のスラングも使いこなして軽口を叩くなど、すっかりチームに溶け込んでいる。
そして実は、ふたりとも元同僚の兄貴分がいる点でも共通点がある。角田裕毅はアルファタウリ時代のチームメイトであるピエール・ガスリーと非常に親密であることで知られるが、そんな存在が河村にもいる。それが彼が最初に所属したメンフィス・グリズリーズのスター選手、ジャ・モラントだ。
モラントは河村がグリズリーズに加入するや否や彼の虜となり、河村が出場するGリーグの試合に娘を連れて応援に行くほどの間柄だったという。河村がブルズに移籍した後も、“弟”の活躍をフォローしていることがSNSの投稿でうかがい知れる。
以上はあくまで独断と偏見に基づいたセレクトだが、皆さんなら誰を誰に例えるだろうか?
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