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MotoGP

【インタビュー】まさにMotoGP界のニューウェイ。最強ドゥカティ率いるダッリーニャに聞く、“成功する企業”の在り方

ドゥカティのジジ・ダッリーニャが独占インタビューに応え、ドゥカティのMotoGPでの成功、サーキットを離れての日常生活などについて語った。

Oriol Puigdemont

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公開日時: 2025/01/16 11:06

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Luigi Dall'igna

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写真:: Gold and Goose / Motorsport Images

 ドゥカティMotoGPのゼネラルマネージャーであるジジ・ダッリーニャは、技術者としての卓越した才能を誇っているが、彼の影響力はMotoGP史上最も支配的なマシンのひとつであるデスモセディチの設計にとどまらない。サテライトチームでチャンピオンとなったホルへ・マルティンを陣営から放出し、マルク・マルケスとフランチェスコ・バニャイヤというラインアップを形成したのも彼の影響力が大きい。

 motorsport.comはそんなダッリーニャに独占インタビューを実施。MotoGPを席巻した昨シーズンを経て、何を語るのか? さらにコース上での出来事に限らず、様々なテーマについても聞いた。

Q. 自宅には何台ほどのバイクが?

 実はかなりある。10台くらいだ。

Q. その中で特に気に入っているものは。

 ひとつではない。ただ全てのバイクに素晴らしい思い出がある。シーズンごとに様々な状況や問題、そして解決策があるからね。もちろんタイトルを獲得したバイクはとても大切だが、私がバイクを保管するのは、そういった特別な思い出があるからだ。

Q. MotoGPバイクも全て保管している?

 全てではないが、いくつか持っているよ。

Q. バイクに乗ること自体は好き?

 バイクに乗るのが好きでたくさん旅行もしたが、サーキットで走るタイプではない。ひとつ問題なのは、家族みんなで楽しめるものではないということだね。それに今は旅行するための時間を見つけるのが難しい。今は家の周りを少し乗るくらいにとどめているよ。

Q. あなたが2014年にドゥカティに加入して以来、同ブランドは明らかに上り調子となっている。特に昨年は過去最高の成績だった。常に上昇し続けることに一種の不安のようなものを感じたりはしないか?

 私にとって重要なのは勝つことで、圧倒することではない。支配的になると嫌われてしまうからね。私は勝ち続けるために働いているが、時には少しやりすぎてしまい、現在のような状況に陥ることもある。毎年前年を上回ることが目標というわけではなく、単純に勝つことが目標なんだ。

マルク・マルケス(左)とダッリーニャ

マルク・マルケス(左)とダッリーニャ

写真: Gold and Goose / Motorsport Images

Q. 過去数年の実績を鑑みて、ドゥカティはまだ他メーカーから好かれていると思うか?

 パドックでは私のことを嫌われ者だと思っている人が多いようだ。なんだか少し申し訳なく思うよ(苦笑)。

Q. あなたがMotoGPに携わって以来、MotoGPにおける最大の技術的進歩は?

 間違いなく空力だ。それがバイク開発の方向性を大きく変えた。しかし、ライドハイトデバイス(車高調整デバイス)も非常に賢く応用された素晴らしいアイデアだ。

Q. リヤのライドハイトデバイスのアイデアはどのようにして生まれた?

 いつもそうだが、物事は時間が経つと考案された当初よりもずっと簡単に思えるものだ。このアイデア自体は非常にシンプルで、テレメトリを観察することから生まれた。

 リヤデバイスが登場する以前は、エンジンの限界、つまりバイクの性能がエンジンの能力によって制約されるポイントに非常に早く到達することが分かっていた。バイクがウイリーする傾向があったんだ。例えばムジェロでは、馬力を10増やしても、ラップタイムへの影響はほとんどなかった。バイクが余計に持ち上がるだけだった。そこで、走行中の各ポイントに応じてバイクが自動的に重心を調整するシステムを考えることにした。

 それは非常に複雑な課題だった。その後、F1ドライバーがラップ中に行なう操作から着想を得て、もしかするとこれが(ライドハイト)システムの簡素化につながるのではないかと考えた。レース中にただバイクを操るだけでなく、ライダーに何かもうひとつやらせる、という発想だ。

Q. これまでの軌跡、特にこの3年間を踏まえて、いつまでMotoGPにいたいのかについて。

 1992年にレース部門に配属されてから、2輪では色々なことをやってきた。コンピュータの電源を切って全く違うことをする時も来るだろう。いずれにせよ、ドゥカティで働く人々や幹部の技術レベルは非常に高いので、私がいなくてもファクトリーはうまくやっていけるだろう。

Q. 6、7年前にドゥカティにいたエンジニアと話をすると、当時から技術ミーティングのレベルが他のブランドを大きく上回っており、その差はさらに広がったという話が出た。このような作業プロトコルはどのように実施され、それが他を凌駕している理由は何なのか?

 チーム全体の文化、全般的なレベルを可能な限り底上げする必要がある。スペシャリストたちに自分の専門分野だけの会議に参加させるのではなく、たとえばエンジン関連の会議には、シャシーや電子制御系の担当者にも参加してもらうようにする。そうすることで、他が抱えている問題を把握できるようになる。そうやって全体のレベルを引き上げようとしている。レーシング部門内でバイクに関する技術を最大限に広げたいのだ。

写真: Gold and Goose / Motorsport Images

Q. ファビアーノ・ステルラッキーニ、マックス・バルトリーニといった重要人物が抜けてからも、ドゥカティは勝ち続け、むしろ強さを増している。こういった人材流出の影響を受けないのはなぜか?

 バイクに関する技術文化を広げることで、後任の人材が成長し、上の人間の役割を引き継ぐ準備ができる。ドゥカティには常に後継者がいる。我々は他のブランドから人材を引き抜いたことが一度もなく、ガレージで活躍するエンジニアたちを常に社内で育ててきたのだ。

Q. インディペンデントチームがワークスチームと対等にタイトルを争えるようにするのが良いアイデアだと感じたのはいつか?

 それは常に私の哲学だった。ドゥカティのライダーたちに可能な限り最高のマシンを提供することで、システム全体のレベルが向上し、ワークスチームもその恩恵を受ける。あるライダーが速ければ、他のライダーもそれに引っ張られるからね。

Q. インディペンデントチームが勝つことに関して、ドゥカティのビジネス部門を説得させるのは容易だったか?

 そこは常に複雑だ。というのも、より重要なチームというのは常に存在するものであり、それはここで言うファクトリーチームだ。スポンサーたちも我々のブランドにお金を払っているわけだからね。しかし、勝利はすべての人に役立つものだ。我々は2021年以来常にタイトルを争ってきたが、我々を信頼してくれた人たち(スポンサー)は、彼らが求めていた露出を得ることができただろう。

Q. ドゥカティは2025年に向けてマルク・マルケスを起用することに決めたが、結果的には起用を見送ったホルへ・マルティンの方がタイトルを獲得した。これはドゥカティの人選ミスと言えるのか?

 それは起こり得る可能性のひとつだった。話はかなりシンプルだ。我々は3人のライダー(バニャイヤ、マルティン、マルケス)全員を維持したかったが、構造上いくつもの障害が立ちはだかり、最終的にはふたりに絞らなければいけなかった。その時点で、我々はペッコ(バニャイヤ)とマルクを選んだ。しかしその決定を下した時点で、マルティンがチャンピオンシップを獲得する可能性があることはすでにわかっていた。

Q. ドゥカティでまだ1勝もしていないライダーを選ぶというのは、非常に難しかったのでは?

 我々もライダーも人間だ。重要なのは、得られる成長のレベルを予測して、それが他の選択肢よりも良いのか悪いのかを見極めようとすることだ。それは簡単なことではないし、シンプルでもないが、それが我々の仕事だ。時には正しい選択をするし、時には間違いを犯すこともある。我々も人間だからだ」

Q. マルティンの移籍により、カーナンバー1をアプリリアに持っていかれることについて。

 ゼッケン1番は単なる数字に過ぎない。重要なのは、マルティンがドゥカティのバイクでタイトルを獲得したことだ。

Q. マルケスとバニャイヤに、バイクの開発において共通の利益を考えさせる上で、何かアイデアは。

 ライダーたちの意見は常に重視してきた。ただ、バイクに何をするかの決定はエンジニアに委ねられる。もちろんエンジニアはライダーのコメントを聞くが、設定を選ぶのはエンジニアだ。過去にはライダーごとに違いを設けたこともあった。我々は常に、ある解決策の利点と欠点を見極め、その間をとった選択肢を探すことを試みている。

Q. あなたの影響力がマシンデザイナーとしてF1で成功を収めたエイドリアン・ニューウェイと似ていると言われることについて、どう感じる?

エイドリアン・ニューウェイ

エイドリアン・ニューウェイ

写真: Aston Martin Racing

 私はよくニューウェイと比較されるが、我々の大きな違いは彼が正真正銘のエンジニアだということだ。ニューウェイはマシンに影響する決定のみを下す。私が決断しなければならないことは技術面にとどまらない。ライダーや、チームに影響することだ。私は技術者というよりマネージャーだと思っている。とはいえ、私はテクノロジーにも情熱を注いでいるし、技術面に関する決定もしなければならないがね。

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