F1では”言論の自由”が守られる。ドメニカリCEO「適切な形で発言する機会を全員に与えたい」FIAとは距離を置く
FIAがドライバーの発言を厳しく取り締まることについて物議を醸す中、F1のステファノ・ドメニカリCEOは、シリーズ側が「誰かに猿ぐつわをはめることはない」と語っている。
FIAは2023年に向けて国際モータースポーツ競技規則を変更し、FIAの事前許可を得ずに”政治的、宗教的、個人的”な問題について発言を行なうことを禁止した。
新シーズンに向けてメディア活動が活発化する中、この変更についてアレクサンダー・アルボンを始め複数のF1ドライバーから不満の声が挙がり始めている。
物議を醸すこの取り締まりについてF1のステファノ・ドメニカリCEOは、シリーズ側が「猿ぐつわをはめることはない」と語り、FIA側がこの新しい規制が意味するところを正確に明らかにすることを期待していると強調した。
ガーディアン紙のインタビューでドメニカリは、FIAの決定からは距離を置く姿勢を見せ、F1はよりリベラルな見解を持っていると主張した。
「F1では決して口封じをすることはない」とドメニカリは言う。
「誰もが話したいと思い、正しい方法で言いたいことを言えるプラットフォームがあるのなら、それに越したことはない。F1というスポーツが、ますますグローバルで多文化、多価値になってきているからこそ、我々は大きなチャンスを持っている」
「20人のドライバー、10つのチーム、そして多くのスポンサーがいて、彼らには異なる考えや見解がある。私が何が正しくて何が間違っていると判断することはできないが、必要とあらばオープンな形で意見を交わす場を提供することは正しい行ないだ」
「スポーツとしての姿勢を変えるつもりはない。攻撃的な口調で誰かを怒らせるためではなく、敬意を持って発言する機会を全員に与えること、それが我々のスポーツが進むべき路線であるべきだ」
Zhou Guanyu, Alfa Romeo C42, Valtteri Bottas, Alfa Romeo C42
Photo by: Alfa Romeo
またドメニカリは、この件に関してドライバーたちと定期的に連絡を取り合っているという。
「私は去年、この件についてドライバーたちと話し合いを行なったんだ」と彼は言う。
「F1がプラットフォームとなり、我々が声を挙げるべきと考える特定のトピックについてスポットライトを当てることができるかということだ。ドライバーたちが特定のテーマについて議論したい場合に、F1側としてはそれをサポートする必要がある」
「非常に建設的な対話をすることが重要だ。もしそれができなければ、混乱を生んだり問題がないはずのところで新たな問題が発生したりする可能性がある」
「我々は状況を見守り続けている。ドライバーには常に情報を提供し、GPDAと話し合いを行なっている。どうすればドライバーたちが人間としてオープンでいられるのか、ということをね」
「アスリートという生き物は非常に感情的かつ情熱的なところがある。だからこそ、彼らは信頼できる人たちと建設的な話し合いを行なう必要があるのだ」
そしてドメニカリは、この新しい規制が何を意味するのか、そしてそれがドライバーにとって何を意味するのか、FIAが詳細な説明を行なうことを期待していると強調した。
「我々はレギュレーションについて話していて、それを決めるのはFIAだ」と彼は言う。
「FIAは行なってはいけないエリアを尊重するという意味で、これまで語ってきたことを明確にしてくれると思う」
「FIAとF1は同じ見解を持つだろう。ただ彼らはオリンピック連盟の加盟団体であり、従わなくてはいけない規定がある」
なお、アルファロメオのドライバーであるバルテリ・ボッタスも、FIAの規制について否定的な意見を持っている。
motorsport.comが取り締まりについての意見を求めると、彼は次のように答えた。
「正しいとは思えないというのが、僕の正直な気持ちであり意見だ」
「あるいは、自分が望むことを言ったり支持したりすることは基本的に許されないということを、実際にレギュレーションへ入れる必要はないと思う」
「しかし彼らの立場に立って考えてみると、僕らは色々な国へ行き、誰かがある問題について語ったり声を挙げたりする。そうするとF1やプロモーターにとっては、ある種の問題が引き起こされる可能性があるんだ」
「だからそういう面では、今のところ少し理解できる。でも僕らにとってはフェアじゃないと思う。この世界では誰もが自分の意見を持つべきだと思うからだ。そう感じるよ」
またGPDAメンバーで構成されるWhatsAppのチャットでこの件について話し合いが行なわれたかと訊かれ、ボッタスは次のように答えた。
「それは機密情報だよ! 実はチャットはかなり静かだったけど、言及はされたよ」
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