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解任の決定打になったのはどれ? クリスチャン・ホーナー元代表がレッドブルで直面した問題のすべて

レッドブルのチーム代表職を突如解任されたクリスチャン・ホーナー。解任の理由は不明だが、ここ1年半ほどで彼の周囲でいくつかの問題が起きたのは確か……その全てを振り返る。

Christian Horner, Red Bull Racing Team Principal

 レッドブルがチーム代表のクリスチャン・ホーナーを突如解任した。チーム創設から20年に渡って指揮をとってきた人物の退任は衝撃的なニュースとなったが、ホーナーはこれまで数々の成功を収めた一方で、ここ最近は数々の論争となる出来事の当事者となっていたのも確かだ。

 現時点ではホーナー代表が解任されるに至った理由は明らかになっていないが、今回は彼の失脚までの主要な出来事を時系列で振り返る。

2024年2月:不適切行為疑惑への調査開始

Christian Horner, Team Principal, Red Bull Racing

Christian Horner, Team Principal, Red Bull Racing

Photo by: Erik Junius

 2024年2月に、ある女性従業員がチームに対して、ホーナー代表による不適切行為を訴えた。これがホーナー代表の立場が崩れ始めた最初の出来事と言える。女性の名前や詳細は明かされていないが、レッドブルは外部の弁護士とともに正式な調査を開始した。

 当時チームは「当社はこの問題を極めて重大に受け止めている」としつつ、調査中であることから詳細なコメントを避けた。一方ホーナー代表は、上記の告発を完全に否定すると述べていた。

 この調査は2024年新車発表の時期と重なり、チームの将来に大きな影を落としたが、最終的にはホーナー代表の不適切行為は確認されず……これで問題は収束するはずだった。

2024年3月:メッセージの流出

Christian Horner, Team Principal, Red Bull Racing, is surrounded by media

Christian Horner, Team Principal, Red Bull Racing, is surrounded by media

Photo by: Mark Sutton / Motorsport Images

 しかし、これで終わりではなかった。レッドブルの調査が終了した直後、匿名のメールアドレスからこの件に関するとされる文書の一式がF1関係者向けに送信されたのだ。

 メールにはGoogleドライブへのリンクが記載されており、以下のようなメッセージが添えられていた。

「レッドブルによる調査と声明を受けて、この添付資料を見ることに興味があるはず」

 レッドブル側はこの資料の真偽については認めなかったが、チームは当時「匿名での憶測にはコメントしない」とするホーナー代表の声明を掲載した。

2024年4月:ニューウェイ離脱決定

Adrian Newey, Chief Technology Officer, Red Bull Racing, arrives at the track

Adrian Newey, Chief Technology Officer, Red Bull Racing, arrives at the track

Photo by: Carl Bingham / Motorsport Images

 上記の騒動と直接関係があるかどうかは不明だが、伝説的デザイナーのエイドリアン・ニューウェイは、ホーナー代表に対する疑惑が報じられてから数週間後、チームを去ることを発表した。

 ニューウェイはウイリアムズやマクラーレンでチャンピオンを設計し、2006年にレッドブルに加入。秀逸なマシンを生み出し、ホーナー代表と共にレッドブルの黄金期を支えた伝説的人物だ。

 しかしニューウェイはアストンマーティンへと移籍し、2026年のF1大規模レギュレーション変更に向けて既に動き出している。またレッドブルからはスポーティングディレクターのジョナサン・ウィートリーも離脱し(ザウバー/アウディのチーム代表に)、コアメンバーが相次いでチームを去ることになってしまった。

2024年5月:マクラーレンの戦闘力向上

Max Verstappen, Red Bull Racing RB20, Lando Norris, McLaren MCL38

Max Verstappen, Red Bull Racing RB20, Lando Norris, McLaren MCL38

Photo by: Andy Hone / Motorsport Images

 レッドブルがコース外で騒がせる中、コース内でのパフォーマンスにもかげりが。彼らは開幕5戦で4勝を記録する好調なスタートを切ったものの、第5戦マイアミGPで大規模アップグレードを実施したマクラーレンが優勝を飾ると、以降はレッドブルと互角、もしくはそれ以上の速さを見せるようになったのだ。

 レッドブルは第11戦以降の14レースでフェルスタッペンが2勝するにとどまったが、同期間でマクラーレンが5勝、メルセデスが4勝、フェラーリが3勝を記録。ドライバーズタイトルはフェルスタッペンが手にした一方で、コンストラクターズタイトルはマクラーレンに奪われた。

2024年5月:セルジオ・ペレスの不振

Marshals remove the damaged car of Sergio Perez, Red Bull Racing RB20

Marshals remove the damaged car of Sergio Perez, Red Bull Racing RB20

Photo by: Andy Hone / Motorsport Images

 上記の通り、レッドブルはライバルからの追撃に遭ったが、それでもフェルスタッペンはポイントを積み重ねてドライバーズ選手権のリードを守り切った。一方でもう1台のマシンを駆るセルジオ・ペレスの不振は深刻だった。

 ペレスは序盤4戦で3度2位に入ってフェルスタッペンとワンツーを手にするなど、申し分ない働きを見せていた。しかしマイアミで4位に入って以降は「6位、7位に入れば良い方」という状況に陥り、予選Q1落ちや入賞を逃すレースも目立つようになった。

 レッドブルはペレスの安定を期待して同年6月に契約更新を発表したが、パフォーマンスは上がらず。結果的にチームはペレスとの契約を解除し、2025年シーズンから若手のリアム・ローソンを昇格させる決断をした。

2025年3月:ローソン、わずか2戦で降格。後任角田も低迷

Liam Lawson, Red Bull Racing

Liam Lawson, Red Bull Racing

Photo by: Red Bull Content Pool

 レッドブルにとって、2台のドライバーのパフォーマンス差の大きさは、成績低迷の一因とされていた。そのため、ペレスに代わって抜擢されたローソンはフェルスタッペンに匹敵するパフォーマンスを見せられるのではないかと期待されていたが、蓋を開けてみれば大苦戦した。

 開幕戦オーストラリアGPではリタイア、続く中国GPでは12位。フリー走行や予選ではほとんど最下位という状況だったため、レッドブルはわずか2戦でローソンの降格を決定。彼をレーシングブルズに戻し、角田裕毅を母国日本GPから昇格させた。

 ただその角田も、ここまでの10戦で9位入賞1回、10位入賞1回(スプリントで6位1回)という成績となっており、状況は改善していない。

 これにより、レッドブルはコンストラクターズ4番手に転落した。ただしこの失速の責任をすべて角田に押し付けるのは酷だ。前任のペレス、ローソンから続く不振により、問題はドライバーではなくマシンであるという認識が以前よりも明確になっている。

 レッドブルの2025年マシンRB21は、ごく狭いパフォーマンスウインドウの中でしか速さを発揮できない。フェルスタッペンはかろうじてその小さな“ゾーン”の中に入って躍動することが何度かあり、今季ここまでの12戦で優勝2回と2位3回を記録している。しかしそれにもやはり限界はあり、前戦イギリスGPの5位はフェルスタッペンでさえ奇跡は起こせないことを示している。

 現在チームはRB21の根本的な問題、つまりウインドウの狭さとペース不足を解決すべく懸命に作業している。残りレースではまだアップデートが残されていると言われているが、それでも先頭争い返り咲きに向けては壁が高い。

2025年6月:フェルスタッペン移籍の噂が加熱

Max Verstappen, Red Bull Racing, Lando Norris, McLaren

Max Verstappen, Red Bull Racing, Lando Norris, McLaren

Photo by: Jakub Porzycki / NurPhoto / Getty Images

 こういった成績低迷は、2028年までレッドブルと契約を結んでいるフェルスタッペンとチームの将来に疑問を投げかけた。

 ホーナー代表も上記の契約を盾に憶測を打ち消そうとしたが、フェルスタッペンがパフォーマンスに関する契約解除条項を行使するのではとの噂が絶えなかった。特にリタイアに終わってタイトル防衛に黄色信号が灯ったオーストリアGPの後には、メルセデスと話し合いをしているという報道が話題に火をつけた。

 フェルスタッペン自身は、これらの噂について公の場で沈黙を保ったが、フェルスタッペンの移籍(もしくはその可能性)がホーナー代表解任の引き金となったのか? それとも彼を解任することでフェルスタッペンを慰留しようとしたのか? 未だ憶測を呼んでいる状況だ。

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