苦境ペレス、続投決めたレッドブルF1は何ができる? 解決の糸口は両ドライバーが“使える”マシンへの改良

レッドブルF1は、セルジオ・ペレスが「使える」ようにマシンスピードを引き上げていくと語った。

Max Verstappen, Red Bull Racing, Sergio Perez, Red Bull Racing

Max Verstappen, Red Bull Racing, Sergio Perez, Red Bull Racing

写真:: Red Bull Content Pool

 レッドブルはベルギーGP終了後、苦境にあるセルジオ・ペレスの続投を決定したとされている。数週間におよぶドライバー交代の憶測に終止符を打ち、サマーブレイク後もペレスがマックス・フェルスタッペンのチームメイトとしてRB20に乗ることとなる。

 ただ厳しい状況が続いていることから、チームはマシンスピードを引き上げて、ペレスが「使える」ようにしていきたいと考えている。

 5月以降、ペレスはRB20からパフォーマンスを引き出すことに苦しんでいる。ライバルチームがレッドブルに肩を並べてからは、フェルスタッペンがダメージを抑えている一方で、ペレスはチームのコンストラクターズタイトル争いにおいて十分なポイントを稼ぐことができていない。

 5月のエミリア・ロマーニャGP以降、わずか28ポイントしか獲得できていないペレス。RBの角田裕毅やダニエル・リカルド、リザーブドライバーのリアム・ローソンと交代するかどうか……レッドブルは選択肢を見直すこととなったが、最終的にペレス続投を決めた。

 とはいえ、マクラーレンが迫っている今、レッドブルがペレスにペースアップを切実に求めているという事実は変わらない。では、この選択肢に賭けたレッドブルがペレスの不調を救うためにできることは何だろうか?

 motorsport.comの独占インタビューに応じたレッドブルのテクニカルディレクター、ピエール・ワシェは、RB20へのさらなるアップデートは両ドライバーにとってパフォーマンス向上に繋がると考えている。そして、既にハンガリーGPで投入されたパッケージにもそのアイデアが反映されていたという。

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 レッドブルのマシン操作が難しくなり、フェルスタッペンよりもペレスの方が苦戦するのではないかという質問に対して、ワシェは次のように答えた。

「説明のひとつとして、『それは正しい』ということになるかもしれない」

「我々が望むのは最速のマシンだが、ドライバーが使える形であってほしい。それがメインの狙いだ」

「チェコ(ペレス)が使えるような形でマシンを速くできれば、両ドライバーが最大限の力を引き出すことができる。両ドライバーのニーズや好みが違っていても、マシンに求められるモノは非常に似ている」

Sergio Perez, Red Bull Racing, Christian Horner, Team Principal, Red Bull Racing

Sergio Perez, Red Bull Racing, Christian Horner, Team Principal, Red Bull Racing

Photo by: Red Bull Content Pool

「基本的には同じだ。ドライビングスタイルに違いがあるのは確かだが、それをマシン開発に適応することはない。マシンのセットアップで使うのだ」

 ワシェは、ペレスがフェルスタッペンよりもマシンハンドリングに苦戦している理由について、レッドブルが「いくつか傾向」を掴んでいると説明した。

 しかし、そうしたマシン特性をシミュレータで再現するのは、現行グラウンドエフェクトカーでは非常に難しく、各チーム共通の課題となっているようだ。

「我々はいくつかの傾向を見出そうとしているが、それを浮き彫りにするのは非常に難しい」とワシェは言う。

「我々が抱えている最大の問題は、シミュレーションでマシンや全てのことを再現しようとしているのに、全てのコンディションにおいてマシンがシミュレーション通りに機能する訳ではないということだ」

「タイヤとの相互作用は、ベストを尽くしたとしても再現が難しい。この部分を改善することが、我々のプロセスの重要な部分なのだ」

Sergio Perez, Red Bull Racing RB20

Sergio Perez, Red Bull Racing RB20

Photo by: Andy Hone / Motorsport Images

 車高が低い現行レギュレーションのマシンでは、ダウンフォースを増やすだけでは解決にならず、低速コーナーと高速コーナーでのマシンバランスを取ることが難しいとされている。

 ワシェ曰く、こうしたレギュレーションの性質上、アップデートによってマシンバランスが取りにくくなるリスクが増えるという。その結果、操作が難しくなり、フェルスタッペンよりもペレスの方がマシンに対する自信を失っている。

「この種のレギュレーションにはリスクがつきものだ」とワシェは付け加えた。

「これは他のチームでも見られることだ。例えばメルセデスは、以前バランスが大きな問題だと言っていた。マクラーレンだって今季の初めはそうだった」

「これらのマシンのバランスは非常に難しいもので、メカニカルな面で調節することができない特定のエリアにダウンフォースを発生させると、その上がり幅を活用することが難しくなる」

 

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