2026年は新機能たくさん! アクティブエアロの機能をおさらい……オーバーテイクモードとの組み合わせで、ドライバーの“実力勝負”に?
今季からF1に導入される多岐にわたる新機能……アクティブエアロやオーバーテイクモードなどによって、ドライバーの作業量はこれまで以上に増加する。その仕組みと、FIAが今後どのような対応を想定しているのかを整理する。
Andrea Kimi Antonelli, Mercedes W17
写真:: Mercedes AMG
バルセロナで行なわれているF1シェイクダウンテストの初日で、走行したほぼ全てのドライバーが口にした言葉がある。それが「これまで慣れ親しんだものとは全く違う」だ。
その最大の理由は、2026年の新規則下のマシンが大幅にダウンフォースを減らしている点にある。一般的にはダウンフォースが少ないほど、ドライバーからは不満が出るものだ。一方でFIAは、ダーティエア(乱流)が減ることで追い抜きが促進され、レース全体としてはポジティブな効果が得られると期待している。
またコクピット内での作業量が増加したことも、ドライバーにこれまでと異なる印象を与えている。今季から導入されるアクティブエアロもその一因だ。これはかつてのDRSのようなシステムで、ストレートでは空気抵抗を減らすために前後ウイングのフラップを寝かせることになる。これは新規定のパワーユニットがエネルギー切れを起こさないためにも不可欠な仕組みだ。
Lando Norris, McLaren
Photo by: McLaren
アクティブエアロを作動させられる箇所、いわゆる“アクティベーションゾーン”は、レギュレーションのB7.1.1条に基づき、各サーキットごとに設定される。条文は以下の通り。
「サーキットのドライバー調整式ボディワークの完全作動が許可される際のアクティベーションゾーン、および部分的な作動のみ許可される際のアクティベーションゾーンに関する情報を、FIAは該当競技開始の少なくとも4週間前までに、すべての競技者へ提供する」
さらにB7.1.1f条では「各アクティベーションゾーンの開始地点は、サーキットの少なくとも片側に設置された標識によって示される」として、従来のDRSと同様の形で表示されることが明記されている。ただ大きな違いとなるのは、アクティブエアロを起動できるゾーンはDRSゾーンよりもはるかに多いということだ。さらに、前走車から1秒差以内にいる必要はなく、毎周使用可能となる。
操作もDRSと同様にドライバーの手動だが、前述の理由から1周で何度も起動することになるため、結果として作業量は大きく増える。またウイングのフラップを元に戻すのは手動でもできるが、アクセルオフやブレーキング時には自動的に閉じる仕組みとなっている。
レギュレーション条文にも記載されていたように、アクティブエアロは前後ウイングのフラップをフルで稼働させられる場合に加え、部分的な稼働のみが許可される“パーシャル・アクティブエアロ”というオプションも用意されている。
パーシャル・アクティブエアロは昨年末に規則に追加されたもので、悪天候時(雨天など)にレースコントロールによって適用されることになる。これが適用されるとリヤウイングのフラップはコーナー走行時と同じクローズ状態だが、フロントウイングのフラップはストレート仕様に稼働する。これは基本的に、かつてウエット時にDRSが無効化されていたのと同じ考え方である。
電動パワー増加により戦略的思考も重要に
これに加え、ドライバーにはふたつの重要な要素が加わる。DRSに代わって追い抜きを促進するために設けられるオーバーテイクモード(いわゆるプッシュ・トゥ・パス)と、大幅に増加した電動パワーのマネジメントだ。
MGU-Kから供給される出力は350kWに達し、ドライバーはこれまで以上に多くの電力を操れるようになる。どこでエネルギーを回生し、どこで放出するのか――これは戦略的要素となる。
こういった理由から一部のチーム代表は、意外な場所でオーバーテイクを仕掛ける場面があるのではと予測している。ただし現実的には、各ドライバーは脆弱なポイントで“カモ”にされるのを避けるために、他と同じような戦略に収束する可能性が高い。
仮に戦略が似通えば、TV視聴者にとっては大きな変化として映らないかもしれない。しかしドライバーにとっては、これまで以上に重要な要素となるのは間違いないだろう。レーシングブルズのリアム・ローソンも、その点を強調している。
「ドライバーとして、自分たちが差を生み出せる余地がかなり増えたと感じる。それは良いことだ」とローソンは言う。
ただ、ドライバーが操作する要素が増えたことで、彼らの負担が大きくなりすぎるのではないかという疑問も浮上する。FIAはちょうど良い妥協点を見つけたと考えているが、プレシーズンテストで得られるデータとフィードバックを引き続き評価していく方針だ。
Lewis Hamilton, Ferrari
Photo by: Ferrari
FIAのシングルシーター責任者、ニコラス・トンバジスはmotorsport.comの取材に対し、次のように語っている。
「現時点では妥当なところだと思うが、まず実際に走ってみるまでは不確定要素もあるし、主観的な部分も大きい。あるドライバーにとっては全く問題なくても、別のドライバーにとってはそうではない場合もある」
FIAは以前から、ドライバーを競技の中心に据えることを目指してきたと説明している。トンバジスによれば、モータースポーツの最高峰は「ステアリングとふたつのペダルだけ」で成り立つものであってはならないという。
「だから、この問題に唯一の正解はない。我々は良い進歩を遂げていると思うが、何かがおかしいと分かれば対応策を講じる用意もある。我々の手元には議論の余地がある手札がたくさん残されている」
現時点では、ドライバーからの不満は表面化していない。確かに全てのドライバーが、「まったくの別物で、適応が必要」と口にしているが、若手のアンドレア・キミ・アントネッリ(メルセデス)は対応できるレベルだとしている。
「オーバーテイクモードやオーバーライドなど、すべてのモードを試すには少し時間がかかる」
「去年とはかなり違って、より多くのマネジメントが必要だけど、ちゃんとこなせるものだ」
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