【F1分析】アゼルバイジャンGP初日大苦戦のメルセデス……まだまだ侮れない理由がある?
F1アゼルバイジャンGPの初日は、メルセデス勢が大不調に陥り、上位に顔を出すことができなかった。優勝争いからはもはや脱落した……という感もあるが、ロングランのペースを見ると、特にハミルトンはまだまだ侮れないということが分かる。

F1アゼルバイジャンGPの初日、レッドブル・ホンダ勢が速さを見せ、FP1ではマックス・フェルスタッペンが、FP2ではセルジオ・ペレスが、それぞれトップタイムを記録した。FP2で行なったロングランでも、レッドブル勢はソフトタイヤを履いて1分46秒台のタイムを連発。他を圧倒しており、モナコに続き連勝を果たす公算が高まりつつある。
一方で、レッドブルの最大のライバルであるメルセデス勢は、アゼルバイジャンGPの初日大苦戦。FP1、FP2共に下位に沈んだ。前回のモナコでも厳しい戦いを強いられたメルセデスは、今回も同じような状況に置かれているように見える。
ただFP2のロングランを分析すると、特にルイス・ハミルトンまだまだ侮れない存在であるということが分かる。
ハミルトンのFP2のベストタイムは11番手となる1分43秒156。首位ペレスからは1秒も離されてしまっており、太刀打ちするのは難しいように見える。しかし、ミディアムタイヤを履いて行なったロングランは、実に秀逸だった。
ハミルトンは1分48秒0でロングランを走り始めると、1周ごとにタイムを縮めて3周目には1分46秒921を記録。その後は1分47秒0を3周(その間に1分56秒台のラップを1周挟んでいる)続け、8周目に1分46秒876というこのロングランでのベストタイムを計測している。

アゼルバイジャンGP FP2ラップタイム分析 VER vs PER vs HAM
Photo by: Motorsport.com / Japan
ロングランで1分46秒台を計測できたのは、レッドブルの2台(ソフトタイヤ)と、アルファタウリ・ホンダのピエール・ガスリー(ミディアムタイヤ)のみ。そのうちガスリーは、ソフトからミディアムへと、途中でタイヤを交換するロングランの終盤に記録したタイムであり、安定性という面ではハミルトンに軍配が上がる。しかもハミルトンはガスリーと同じくミディアムタイヤでのロングランだったが、安定した”ハイペース”……ソフトタイヤとミディアムタイヤのペース差は0.8秒あると言われており、それを考えれば、決勝ペースではレッドブルに匹敵する速さを発揮しても不思議ではない。
ハミルトンは金曜日のセッション終了後、次のように語っている。
「誰もが頭を悩ませているし、データを調べ、改善するための方法を見つけようとしていると思う。ロングランは良かったけどね」
そう、アタックラップは優れずとも、レースペースについてはすでに自信を持っているということだろう。
メルセデスはアタックラップ不調の原因を掴み切れていないようで、「なぜ僕らがこんなところにいるのか、よく分からないんだ」とハミルトンも語っている。その問題が土曜日までに解決されていればいいが、それができなかった場合、グリッド後方に沈む可能性もある。
ただそうなったとしても、ここアゼルバイジャンは長い全開区間と、その後にハードブレーキングゾーンがあるため、レース中のオーバーテイクは十分可能。つまり、下位グリッドからのスタートとなっても、優れたレースペースさえあれば十分に挽回することができるということだ。
そういう意味では、初日大苦戦を喫したとしても、ハミルトンを優勝候補の一角から外すことはできそうもない。
とはいえメルセデスにとっては、簡単なレースにならないだろうというのもまた事実。ハミルトンのチームメイトであるバルテリ・ボッタスはハミルトン以上に苦しみ、FP2で16番手に沈んでしまったからだ。ボッタスの場合はロングランのペースも優れたモノではなく、この状況を改善できなければ、決勝での挽回は見込めそうもない。そうなってしまえば、ハミルトンは援軍なしでレッドブル勢に挑まなければならない。
レッドブルは、ペレスがマシンの特性を掴みつつあり、前述の通りFP2ではトップタイム。レッドブル2人(フェルスタッペン&ペレス)vsメルセデス1人(ハミルトン)という戦いに持ち込めば、勝利の可能性は格段に上がる。今季序盤戦でメルセデスがやっていたように……。
まずは土曜日、メルセデスが初日の不調の原因を突き止め、ペースを上げてくるかどうかに注目である。
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