F1メカ解説|2021年、レッドブル・ホンダRB16B大解剖〜その1
レッドブル・ホンダの2021年用マシンRB16Bを、イラストとクローズアップ写真でチェック。その”開発史”を振り返る。
Red Bull Racing RB16B flexi rear wing
Giorgio Piola
ジョルジョ・ピオラ【F1メカ解説】
Analysis provided by Giorgio Piola
2021年最速の座を、メルセデスと激しく争ったレッドブル。最終的にはコンストラクターズタイトルこそメルセデスに奪われたものの、マックス・フェルスタッペンのドライバーズタイトル獲得に貢献した。
シーズン終盤は、確かにメルセデスが速さを発揮した。しかしシーズン中盤には、レッドブルがライバルを圧倒するシーンもあった。
ではレッドブルの2021年用マシンRB16Bは、どのようなマシンだったのだろうか? イラストとクローズアップ写真で振り返ってみる。
■テスト仕様”先細り”フロア
Red Bull Racing RB16B rear suspension
Photo by: Giorgio Piola
レッドブルは、2020年の段階で2021年仕様のフロアをテストしたチームだった。当初テストされたフロアは、レギュレーションに忠実に従って後方に向けて先細りする形状だった。これにより、2021年のレギュレーション変更でどんな影響が及ぶのか……それを理解するために時間を費やすことができた。しかしプレシーズンテストでは、Z字型のフロアを採用。これは今季のトレンドのひとつとなった。
■Z字型フロア
Red Bull Racing RB16B floor comparison
Photo by: Giorgio Piola
レッドブルが実戦で採用したフロアは、レギュレーションに従って後方に向かうにつれて先細りするモノではなく、最大幅と最小幅に合わせて段差が付けられた。この段差の部分はZ字型に切り欠きが設けられ、その先端で気流の渦を作ることによって、周辺の気流をコントロールしていたモノと考えられる。
■リヤサスペンション
Red Bull Racing RB16B comparison rear suspension
Photo by: Giorgio Piola
レッドブルは、RB16Bのリヤエンドに開発トークンを使った。これにより新しいギヤボックスを投入し、空力効果を改善。さらにリヤサスペンションを再パッケージ化できるようにした。トラックロッドとウイッシュボーンのレイアウト変更により、空力パッケージの改善に寄与したはずだ。
■リヤサスペンションのアッパーウイッシュボーン
Red Bull Racing RB16B rear suspension
Photo by: Giorgio Piola
RB16とRB16Bのリヤサスペンション、アッパーウイッシュボーンの車体側取り付けポイントの比較。横方向から見ると、どれだけ引き上げられたかがよく分かるだろう。
■ギヤボックス
Red Bull Racing RB16B gearbox suspension
Photo by: Giorgio Piola
ギヤボックス、リヤサスペンション、衝撃吸収構造、ブレーキなどを下方から確認。サスペンションのパッケージング変更はもちろんのこと、空力的にサポートするためのキール形状(後端の先細りになっている部分)もしっかりと確認できる。
■ノーズ
Red Bull Racing RB16B front wing
Photo by: Giorgio Piola
RB16Bのフロントウイング、ノーズ、ケープなどを真上から確認。
■ノーズの比較
Red Bull Racing RB16B nose comparison
Photo by: Giorgio Piola
RB16(2020年)とRB16B(2021年)のノーズを比較。RB16Bではケープの後端にボックス状のエリアが設けられ、コクピット下のエリアを区切るような形になっている。
■ノーズの後端
Red Bull Racing RB16B nose detail
Photo by: Giorgio Piola
ノーズを後端から確認。ケープ上のボックス状の部分によって気流が左右にしっかりと分けられ、車体の下に流れるように導いている。またバルクヘッド部分には開口部(青色の矢印の部分)が設けられている。これはSダクト用の開口部で、シャシー側に設けられた開口部に接続。コクピット前で上方に吹き出すような形になっている。
■ディフレクター
Red Bull RB16B sidepod deflector comparison
Photo by: Giorgio Piola
サイドポッドディフレクターは、シーズン序盤に複数回変更が加えられた。メインのイラストでは、ディフレクターの最も前方の垂直のフィンが、ディフレクターの全高とほぼ揃い、その中心部には縦にスリットが入れられている。開幕当初は、この垂直方向のフィンは下半分が大きく湾曲し、その前方部分に2本のフィンが前方に突き出すように存在していた。
■リヤウイング(高ダウンフォース仕様)
Red Bull Racing RB16B rear wing
Photo by: Giorgio Piola
RB16Bに採用された、ハイダウンフォース仕様のリヤウイング。メインプレーンは前年型とほとんど変わらないが、翼端板には曲がりくねったスリット、気流を上方に向けるためのストレーキ、後端上部の切り欠きなどが設けられている。
■ブレーキダクト
Red Bull RB16B front brake duct comparison
Photo by: Uncredited
レッドブルはシーズン前半の間に、ブレーキの冷却に必要な気流の量、そして空力のバランスを取るべく、複数パターンのブレーキダクトを用意した。
■ディフューザーの”角”
Red Bull Racing RB16B diffuser comparison
Photo by: Giorgio Piola
モナコGPでレッドブルは、RB16Bのディフューザーの角に、鋸状の縁を追加した。このソリューションは、フェルスタッペン車にのみ投入された。
■フレキシブルリヤウイング
Red Bull Racing RB16B flexing rear wing
Photo by: Giorgio Piola
レッドブルはシーズン中、リヤウイングを故意にたわませ、直線スピードを稼いでいるのではないかと疑われた。ウイングに一定以上の負荷がかかると、リヤウイング全体が後方に向けて倒れるような形となり、その結果空気抵抗が減るのだ。
■リヤウイング(低ダウンフォース仕様)
Red Bull RB16B rear wing, Azerbaijan Grand Prix
Photo by: Giorgio Piola
アゼルバイジャンGPにレッドブルが持ち込んだ低ダウンフォース仕様のリヤウイング。メインプレーンの両端部分は薄くなっているため、より顕著なスプーン形状になった。翼端板もよりシンプルになり、曲がりくねったスリットやストレーキなどは廃された。
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