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2022年、F1用ホイールは全て”日本で鍛造”したBBS製に。既にアブダビテストで走行済み

BBSが、2022年から3年契約でF1のワンメイクホイールサプライヤーになったことが、1月14日に正式発表された。同社のF1用ホイールは市販車用と同じ工程で製作され、鍛造は全て日本で行なわれるという。

Lando Norris, McLaren MCL35M Mule

写真:: Mark Sutton / Motorsport Images

 BBSが、2022年から3年契約でF1のホイールリム単独サプライヤーになったことが、東京オートサロンの会場で発表された。

 2022年から、テクニカルレギュレーションが一新されるF1。本来ならば2021年にこの新レギュレーションが導入される予定だったが、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う各チームの財政的な影響を考え、1年後ろ倒し……ようやく2022年から施行されることになった。

 今回のレギュレーション変更は、接近戦やオーバーテイクの増加を促進するためのモノ。しかし同時にコスト削減という側面もあり、複数のパーツがワンメイク化される。

 ホイールリムもそのひとつであり、その初代オフィシャルサプライヤーにBBSが選ばれた。そもそもこれは、既に2019年の12月に行なわれたWMSC(FIA世界モータースポーツ評議会)で決定され、FIAからは発表済みだったものであり、F1のテクニカルレギュレーションにもBBSの名が記載され、本来ならば2021年シーズンから使われる予定だった。しかし正式発表は2022年の1月14日ということになった。

「今のF1は、上位の順位がほぼ決まってしまうという状況がずっと続いています。白熱した、スリリングなレースが求められる中で、マシンの性能で順位が決まってしまうという要素を減らし、ドライバーの腕の差がもっと出やすいようにしたいという要望があったと聞いています。その中で(ホイールを)ワンメイク化するという話があり、我々にも打診がありました。複数の会社が手を挙げる中で、長い経験と、ホイールの高い性能、そして開発力を評価していただいて、我々に決めていただきました」

 BBSジャパンの執行役員であり、BreB推進室室長である田中康博氏はそう語る。

「今回の決定は、2019年にはF1の方から発表されています。しかし、オフィシャルプロバイダ契約がしっかり結ばれたのが今年になってからだったので、今回公式に発表できるようになりました」

 F1全チームに供給されるワンメイクホイールは、マグネシウム鍛造。しかも製造工程の約半分は、日本の富山県で行なっているという。

「鍛造ホイールは、鍛造(金属を整形する際、高い圧力かけて強度を高める製造技術)プレスして、リムを伸ばして(スピニング加工)、その後機械加工をして完成します。(F1用は)そのうちのスピニング加工までを富山でやって、ドイツに輸送して最後の機械加工をします」

 田中氏はそう語る。しかもこのF1用ホイールは、市販用と同じラインで作られているという。それを説明してくれたのは、同社の技術部部長の村上貴志氏である。

「F1用ホイールに限らず、BBSでは市販車とレース用とで、製造工程を分けるようなことはしていません。分けてしまうと、絶対に落とし穴がある。常に両方、同じ目線で作っています」

「市販だからこれでいいということはありませんし、レース用だから何か特別なことをしなきゃいけないということもない。素材の面でも、大きな違いはありません。あくまでBBS品質でご提供しています」

「弊社の市販車用ホイールを着けていただければ、F1と同じ品質を味わっていただける。それの気分を感じていただけると思いますし、同列のモノを手にしていただいていると考えていただいて構いません」

 BBSはかつてフェラーリを皮切りに、トヨタやフォースインディアといったチームにF1用ホイールを供給していた。最大7チームに供給した年もあったが、近年ではアストンマーチンなど、限られたチームに対してのみホイールを供給する形になった。

 そして今季からは一気に全チームにホイールを供給するわけだが、それを実現するためには様々な苦労があったようだ。ホイールを設計するにあたって、各チームとの折衝は子会社であるドイツのBBSモータースポーツ社が担ったというが、各チームからの要望が大きく異なったため、それをまとめるのは大変だったという。田中氏は次のように語る。

「我々のホイールを採用していただくにあたって、各チームからの要望は大きく違いました。剛性を高くして欲しいとか、空力性能をこうしたいとか、要求がそれぞれ違うんです。それをまとめるのに、大変苦労したと聞いています。今後も各チームからの要望が出てくるでしょうが、それをまとめるのが、課題として出てくるのではないかと思います」

 今回の契約により、製造しなければいけないホイールの数は2000〜3000本にもなるという。正式導入が1年後ろ倒しされたことにより、製造時間には猶予が出来たのではないかとも考えられるが、そうではなかったと村上氏は言う。

「導入が1年遅れましたが、1年前から作っていいかと言われると、そうではありません。確かに少しは時間的な猶予ができましたが、F1のような世界は『時間ができたなら……』ということで、見直したい部分があるという話があったりしました」

 なおBBSのホイールは、すでに複数のチームに先行供給され、2021年のF1最終戦アブダビGP後に行なわれたポストシーズンテストでも、実際に走行したと田中氏は明かす。

「現時点では、テスト走行を少し行なっただけです。実はアブダビで、メルセデスやマクラーレンなどに、我々のホイールを供給しました」

 その走行では今のところ問題はなかったようで、日本側にはフィードバックは伝えられていないという。村上氏は言う。

「ドイツ(BBSモータースポーツ)にはフィードバックがあったと思いますが、我々には特に何も伝えられていません。素材の形状を変えたいなどということになれば大騒ぎになりますが、そういう話はないので安心しています」

 東京オートサロンで初公開されたBBSのワンメイク18インチF1用ホイールは、市販ホイールでも採用されている、ある意味”BBSの顔”とも言える意匠となっている。ただシーズン中にはホイールカバーが取り付けられることになっているので、残念ながらこのデザインを目にする機会は、非常に限られることになるだろう。

 実際展示されたホイールを見ると、ホイールカバーの取り付けポイントが設けられていたのが確認できる。

BBSのF1用ワンメイクホイール。スポークの間にはホイールカバー装着用の突起が見える。

BBSのF1用ワンメイクホイール。スポークの間にはホイールカバー装着用の突起が見える。

Photo by: Motorsport.com / Japan

 
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