F1 アゼルバイジャンGP

F1分析|ルクレールがスプリントで苦しんだのはブラフだったのでは? そう思えるほど安定していた決勝のレースペース

フェラーリのシャルル・ルクレールは、スプリントで激しいデグラデーションに悩まされたものの、決勝では安定したペースでアロンソを抑え切り3位となった。この結果は、スプリントから伏線が張られていたのかもしれない。

田中 健一

編集: 2023/05/02 3:15

Copy link

Facebookでシェアする

Twitterでシェアする

WhatsAppでシェア

Linkedinでシェアする

Pinterestでシェアする

Viberでシェア

Google検索でmotorsport.comをお気に入り登録

Charles Leclerc, Ferrari SF-23, Fernando Alonso, Aston Martin AMR23

 F1アゼルバイジャンGPの決勝レースで、フェラーリのシャルル・ルクレールが3位に入った。この結果は、ルクレールにとっても、そしてフェラーリにとっても、今季初の表彰台獲得ということになった。

 フェラーリは今季開幕から、厳しいタイヤのデグラデーション(性能劣化)に悩まされてきた。今回のアゼルバイジャンでも、スプリントでは同様の傾向が見て取れ、決勝では厳しい戦いを強いられるものとみられていた。

 しかし実際には、レース終盤までレースペースが衰えることなく、アストンマーチンのフェルナンド・アロンソを抑え切った。アロンソはこれで、開幕から続いてきた連続表彰台獲得記録が途切れた。

 ただレースペースを見ると、アロンソはルクレールのペースに翻弄された感がある。

F1アゼルバイジャンGP決勝レース レースペース推移

F1アゼルバイジャンGP決勝レース レースペース推移

Photo by: Motorsport.com / Japan

 上のグラフは、F1アゼルバイジャンGPの決勝レースにおける各車のレースペース推移だ。これを見ると、ルクレールとアロンソは、レースの終盤までデグラデーションに悩まされることなく、レースを走り切った。

 特にアストンマーチンのアロンソは、レース最終盤に前を行くルクレールはおろか、レッドブル勢よりもかなり速いペースで走った。決め手を欠いたためルクレールを抜くことはできなかったが、レース中のパフォーマンスは、やはりフェラーリを遥かに凌ぐと言えそうだ。

 アロンソはレース後、「今回のフェラーリは運が良かったね」と余裕とも言えるコメントを発しているが、それは強がりでもなんでもなく、彼が本当に感じていることなのだろう。

 それでもフェラーリが決勝でほとんどデグラデーションに悩まされなかったのは、不思議である。それはハードタイヤを履いた時だけでなく、レース序盤にミディアムタイヤを履いた時も同じだった。

 アロンソはフェラーリのデグラデーションが決勝で小さかった理由について、路面温度が下がったことを挙げていた。しかし実際には、スプリントのスタート時の路面温度は36度。決勝は終盤でも38度と、決勝の方が厳しいコンディションだった。そこからすると、路面温度が下がったことだけが、フェラーリのデグラデーションが小さくなった原因だとは考えにくい。

 もちろん、走行が重なったことで路面にラバーグリップが載ったことも一因だと言えようが、スプリントのルクレールのペースは、レッドブルには勝てないこと、そして決勝でアロンソ以下を牽制することを見越してのブラフだったとは考えられないだろうか?

 ルクレールはレース後、こんなコメントを残している。

「最初から彼の意図は分かっていた。彼はいつもそうしている。スティントの始めはタイヤをキープし、最後はプッシュしてくるんだ」

「だから僕は今日、同じことをしようとした。最後は接戦になったけど、今日のフェルナンドにはそれじゃ十分じゃなかったみたいだね」

 アロンソは「いつかフェラーリのペースは落ちてくるさ」と思い、そのチャンスを狙っていた。しかしルクレールは、あえてペースをコントロールしていた。スプリントのペースダウンも、決勝で相手を油断させるためも策だったように思える。

 実際にルクレールのペースはなかなか衰えず、アロンソが接近すると逆に逃げる……そうこうしているうちにレース終盤、そしてチェッカーを迎えることになった。

 確かにスプリントでは、ダメージを負っていたとはいえ、戦闘力で勝るレッドブルのマックス・フェルスタッペンを抑えなければならない厳しいレースだった。しかし決勝でのペースを見ると、そのスプリントのデグラデーションを隠れ蓑にした、頭脳戦でもぎ取った結果なのかもしれないと勘繰ってしまう。そしてアロンソは、パフォーマンス的には余力を残していたのに、その頭脳戦に屈した……そんなことも想像できるアゼルバイジャンGPの決勝レースであった。

 

関連ニュース:

あなたの意見が聞きたい!

Motorsport.comで何を見たいですか?

5分間のアンケートにご協力ください。

- Motorsport.comチーム

関連ニュース :

記事をシェアもしくは保存

Copy link

Facebookでシェアする

Twitterでシェアする

WhatsAppでシェア

Linkedinでシェアする

Pinterestでシェアする

Viberでシェア

前の記事 マシン炎上にギヤボックストラブル。アルピーヌ、踏んだり蹴ったりのF1アゼルバイジャンGPに「未体験の週末だった……」

次の記事 F1発祥の地は揺るがない。シルバーストン、ロンドンGP構想について”無意味”と切り捨てる「誰が費用を負担するの?」

More from

田中 健一



小林可夢偉、”色々噛み合わなかった”母国富士戦。しかし旧友スティーブンスとの大バトルも魅せた「爪痕残さないとと思って……当たってないですよ!」

WEC

WEC

Fuji

2 時間前

小林可夢偉、”色々噛み合わなかった”母国富士戦。しかし旧友スティーブンスとの大バトルも魅せた「爪痕残さないとと思って……当たってないですよ!」



WEC富士大逆転勝利のトヨタ。アンカー平川亮、アルピーヌの猛攻凌ぐ「普通に走れば、抜かれないと思っていました」

WEC

WEC

Fuji

7 時間前

WEC富士大逆転勝利のトヨタ。アンカー平川亮、アルピーヌの猛攻凌ぐ「普通に走れば、抜かれないと思っていました」



WEC富士、レース終盤に衝撃のクラッシュ……マクラーレン720Sがメインストレートのガードレールに激突! その原因は”側面”スリップストリームだった!?

WEC

WEC

Fuji

18 時間前

WEC富士、レース終盤に衝撃のクラッシュ……マクラーレン720Sがメインストレートのガードレールに激突! その原因は”側面”スリップストリームだった!?

More from

シャルル ルクレール



フェラーリ、アゼルバイジャン初日苦しむ「マシンバランスとタイヤに苦戦。やるべきことは多い」とバスール代表

F1

F1

アゼルバイジャンGP

2 日前

フェラーリ、アゼルバイジャン初日苦しむ「マシンバランスとタイヤに苦戦。やるべきことは多い」とバスール代表



ルクレール、F1シンガポールGPは漆黒のレーシングスーツを着用「光に照らされた夜」をイメージ

F1

F1

スペインGP

7 日前

ルクレール、F1シンガポールGPは漆黒のレーシングスーツを着用「光に照らされた夜」をイメージ



フェラーリ、4戦連続表彰台ナシ。それでもバスール代表前向き「あと1回、SCなどがあれば今回は優勝を争えた」

F1

F1

スペインGP

11 日前

フェラーリ、4戦連続表彰台ナシ。それでもバスール代表前向き「あと1回、SCなどがあれば今回は優勝を争えた」

More from

フェラーリ



フェラーリが最速のシャシーだったのは過去の話? ハミルトン「僕たちが2番手ではないのは間違いない」

F1

F1

アゼルバイジャンGP

2 時間前

フェラーリが最速のシャシーだったのは過去の話? ハミルトン「僕たちが2番手ではないのは間違いない」



予選6番手に終わったハミルトン。直線長いバクーでトウを得られず最悪のQ3に「結局は前に誰かがいるかどうか、それだけだ」

F1

F1

アゼルバイジャンGP

2 日前

予選6番手に終わったハミルトン。直線長いバクーでトウを得られず最悪のQ3に「結局は前に誰かがいるかどうか、それだけだ」



ハミルトン、フェラーリにスタッフ入れ替えを要求? 伊メディアの報道を本人が否定

F1

F1

スペインGP

9 日前

ハミルトン、フェラーリにスタッフ入れ替えを要求? 伊メディアの報道を本人が否定

最新ニュース



次世代国産フォーミュラ『JMIA-DOME F113』が富士でデモラン! 開発ドライバーの大嶋和也も好感触「思ったよりも順調。楽しみです」

WEC

WEC WEC

Fuji

2 時間前

次世代国産フォーミュラ『JMIA-DOME F113』が富士でデモラン! 開発ドライバーの大嶋和也も好感触「思ったよりも順調。楽しみです」



フェラーリが最速のシャシーだったのは過去の話? ハミルトン「僕たちが2番手ではないのは間違いない」

F1

F1 F1

アゼルバイジャンGP

2 時間前

フェラーリが最速のシャシーだったのは過去の話? ハミルトン「僕たちが2番手ではないのは間違いない」



小林可夢偉、”色々噛み合わなかった”母国富士戦。しかし旧友スティーブンスとの大バトルも魅せた「爪痕残さないとと思って……当たってないですよ!」

WEC

WEC WEC

Fuji

2 時間前

小林可夢偉、”色々噛み合わなかった”母国富士戦。しかし旧友スティーブンスとの大バトルも魅せた「爪痕残さないとと思って……当たってないですよ!」



アルピーヌ、SNSでの誹謗中傷に「容認できない」と声明発表。アゼルバイジャンGPの多重クラッシュでヘイト渦巻く

F1

F1 F1

アゼルバイジャンGP

3 時間前

アルピーヌ、SNSでの誹謗中傷に「容認できない」と声明発表。アゼルバイジャンGPの多重クラッシュでヘイト渦巻く

Subscribe and access Motorsport.com with your ad-blocker.

フォーミュラ 1 から MotoGP まで、私たちはパドックから直接報告します。あなたと同じように私たちのスポーツが大好きだからです。 専門的なジャーナリズムを提供し続けるために、当社のウェブサイトでは広告を使用しています。 それでも、広告なしのウェブサイトをお楽しみいただき、引き続き広告ブロッカーをご利用いただける機会を提供したいと考えています。

次の 2 つのオプションがあります。

購読中 すでに購読していますか? ここからサインインします

広告ブロッカーを無効にしましたか?
ページをリロード

お知らせの管理

登録